大国《レイヴンガルド》
「うわぁ…広い…」
大国、《レイヴンガルド》。一応説明は聞いていたが広すぎる。
先程ハクウラさんと別れ、街の入り口に来たのだが街は活気がよい、そして中央と思われる場所には奥にある城より大きい時計塔、元の世界のスカイツリー並だろうか。
「…まずは宿を確保しましょう。その後あの方からもらったお金で生活に必要な装備を整えますか。」
あっけに取られているうちに日が暮れてしまっては困る。
そして、街に入ると、うわぁ…人がたくさん……
「こうも人が多いところは苦手なんだよなぁ…」
そうやって愚痴っているうちに小さな宿と思われる場所を見つけた。
最低限生活できたらそれでいいしここを拠点にしますか。
ガチャリと小気味良いドアノブを捻り、中に入ると…あれ?誰もいない。
こういうときどうすればいいんだっけ。
「えっと、すいませーん。」
「あ、ごめんなさい!アイタッ!お、お客ですか?」
「え、あ、はい。」
盛大に転び、急いでカウンターに戻って来た女性の方にお金を払い部屋に案内されたあと、改めて今の自分について確認する。
まずはこの体で扱える力だ。
街の至るところで見たがこの世界には元の世界にはない力の概念があるらしい。
明かり、各場所で見た不思議な模様が描かれた金属の板。
恐らくその力を使って街を照らし、生活に必要なエネルギーを生み出しているのだろう。
この体でその力が使えるならいいのだがどう使えばいいのやら。
そしてあの人間を逸脱したバカみたいな身体能力だ。
この体は人間ではない。これは確定だ。
自分が何の種族なのかこれを調べなければ。
「この問題を解決するならこの世界にも図書館という概念があればいいのですが…」
そう、図書館。元の世界でもよくこの場所で知識を集めた。
本さえ見れば一体自分が何のか、この力をどう扱えるのかわかるはず。
とりあえず部屋を後にして、カウンターの女性に図書館があるのか聞いてみよう。
「あの…」
「ひゃい!何用でございますか!」
この人の焦り癖は治らないだろうか。
「この街に図書館はありますか?あれば場所を教えてほしいのですが。」
「あぁ、王国の図書館ならここから時計塔の方向にあるわ。」
「分かりました。」
この世界にも図書館があってよかった。なかったら不貞寝するところだった。
しばらくし、目的の場所に着いた。
「これは立派ですね。探したいものが見つかりそうです。」
さすが国が建てた図書館。かなり大きい。
これなら時間はかかっても探したい情報がすぐに集まるだろう。
「さて、時間はかかりますが調べますか。」