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転生少女はスローライフを送りたい  作者: ハルセキライカ
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転生

長らく、眠っていたような微睡みをおぼえる。

意識があるということは死ねなかったのだろうか。

あの裏切られた世界でまた生きねばならないというのか。


それとも、ここは死後の世界だろうか。

そんな非現実的なことが存在していたのか。

想像もつかないこともあるのだろうか。


様々な思考をぐるぐると回していると、徐々に曖昧な体という輪郭が曖昧だった懐かしい感覚が戻っていく感じがする。


「……ん…」


開かないと思っていた目を開ける。

写ったものは朽ちた木の板らしきものでできた屋根だった。


ここは……?


どうやら体は寝床と思われる場所で横になっているらしい。

少し首をひねり、横を見ると屋根と同じく朽ちた木の壁があり、家具も散乱していた。

廃墟なのだろうか。見覚えのない建築様式のようだけども。


少し違和感を感じる馴れない体を粗末なベッドから体を起こし、ふと視線を下げて自分を見ると、目に飛び込む白い肌となだらかな山が二つ、そしてすらりとした腕が。


「ん?」


お、落ち着け。思考が急停止して声が出てしまった。なんだこれは。というかなんで裸。

そして今さら気がついたが、声が前よりかなり高い気がする。

今までにないぐらい脳内で情報が渦巻く。

そっと見えている腕を動かしてみる。

見間違いではなかった。

まさかと思い、見えているモノを触ってみる。

柔らかい。

はっと我に返り、慌てて朽ちた家具からちらっと見えた鏡とおもゆかしきもので自分の姿を確認する。

頭からさらりと流れた髪は銀色、横髪は毛先が黒に近い紫色の髪。

顔はきれいに整った小顔。目の色が翡翠色をしており非常に綺麗だ。

よく見ると右目の方が少し青みがある。

身長は150cmあるだろうか。長さの感覚が分からないから何とも言えないが、低身長ではあるだろう。

…そして極めつけは、『ツいていたモノ』が無い。


どうやら何かの手違いか体が少女になってしまったようだ。


なんてこったい。


しばらくモノの尊厳を失ったことへのショックに地に伏せていたが、落ち着いて辺りを探索する。

せめて服があればいいと思ったが見つからず、かわりに近くにあった朽ちかけの棚から不思議な手鏡とネックレスがあった。


手鏡を覗き込むとやはり飛び込んでくるは少女の姿。

すごくキレイで可愛いのだが急に性別が変わるとなると少し変な気持ちになってくる。


決してやましい気持ちはない…と思いたい。


次はこのペンダントだ。

この廃墟の中、無傷でいる上に驚いたことに中心で水色から黄緑色へと色が変わったりする澄んだ長さ3cmほどのクリスタルのようなものが浮いているのだ。

そして少し光っている…その光を見ると不思議と何か落ち着く。

これは何なのだろうか。さっきから見覚えのない物が大量に見つかっているが。

取り敢えずよく分からないため触っていないが、好奇心から持って観察することにした。

金とは言えない薄く青色が混じった金属がリング状にクリスタルを囲っている。その上不思議なな彫金が施されており、なんとなく神秘的なものに思えてくる。

クリスタルをよく見ると多少ひび割れのような模様があり、その亀裂に幾何学的な模様が中に幾つも浮いている…


「これは一体…」


表面にも延びているその模様に触れた時だ。


「んに゛っ!?」


ビリっと体の中に電撃が走ったような感覚をしながら何かが流れ込んでくるのだ。

すぐにペンダントをさっきまで横になっていたベッドに投げ出した。

それ以上はなにも起こらず、再び触れてもなにかが起きることはなかった。

少し気だるさを感じるが体には表面上の影響は無いようだった。


一回横になろう。これは悪い夢だ。


死後の世界でこんな悪い夢を見るとは…と頭を悩ませながら寝床にと、また寝ようとすると遠くで爆発音がした。


…何だろうか。


もしかしたら人がいるのかもしれない。

急いでペンダントを首から下げ、手鏡をベッドのシーツに包んで持ち、外に出るとこの場所は森林に囲まれていたということが分かった。


物音が聞こえた方向へ耳を傾けると何か人の声らしきものが聞こえる。

なにもしないのもよろしくない。

爆発音の先へ行くことにした。

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