紅き標
「第一陣、弓兵!構え…放てッ!」
王国の弓兵が一斉に国を襲う龍へ矢を放つ。
しかし龍の鱗はとても固くすべて弾き返されてしまう。
「く…魔弓じゃ通らないか…魔導砲はまだか!」
「準備完了!」
「よし、一斉に放てッ!!」
しばらく空を飛んでいると大砲のような爆音が聞こえた。
そろそろ目的地が近いようだ。
というか魔法で飛行も出来るのは驚きだ。
まだ魔法は理解しきれていない。そんなことを思っていると彼女が独り言を呟く。
「…お、居た…ってそんなちっぽけな攻撃が効くわけなかろうに…龍への攻撃はな、こうするのじゃよ。」
そう独り言を残し、僕の体は急降下する。
そして同時に全身に赤い血の魔力を纏う。
「ブラッドマジック・エクステンション…身体強化!」
「え、ちょっとレリィさん何をす」
「血桜一閃!」
そのまま超高速で落下し、龍の横から隕石のごとく突撃する。
ぶつかった龍からうめき声が聞こえるが直ぐに立ち直り、こちらを睨み付け巨大な鉤爪を薙ぐ。
「危ない!!」
一人の兵士がこちらに気づき大声で叫ぶ。
しかし、その頃にはもうすでに鉤爪が当たっていた。
そのまま体を瓦礫の山に吹き飛ばされ、盛大に突っ込む。
レリィさんに体の主導権があるためか僕に痛みはないが、あの威力で吹き飛ばされたら…
「…ふむ。これがお主のスキルといったものか、これまた珍しいものを。」
「あ、え?傷がない…?」
「《物理干渉型魔導障壁》。本来、詠唱を行い予め発動しておくものなのじゃが…お主の体が無詠唱で勝手に張りおったな。」
「ちょっとレリィさん、攻撃が…」
「問題ない。」
第二の攻撃が直撃した瞬間、目の前に魔術式で描かれたバリアが出現する。
これは一体…レリィさんが先に張っていたわけじゃありませんよね?
「《パッシブフラッシュキャスティング》。お主の体は外的要因による攻撃を超高速で演算された術式…もしくは刻印術式で対応出来るスキルを持っているようじゃな。」
「スキル…ですか?」
「そう。この世界で生を受けるとスキルと呼ばれる概念が己の魔力に刻み込まれる。まぁ詳しいことは未だ分かっておらん。」
なるほど…崖から落ちたりしても傷がなかった理由はこういうことでしたか。
未だ解明されてないと言われるとどうしても気になってしまう…研究項目に追加しときましょ。
「…何をにやにやしてるのじゃ?」
「特に何もありません。」
「何事もなかったかのように無表情になりおったな!?」
彼女は攻撃を華麗に避けながらツッコミを入れる。相当な余裕があるのだろう。
「そろそろちまちま攻撃するのも面倒になってきたの。ちょうど魔力も練り終わったし…」
「一撃で終わらせるか。」
そう告げると彼女は地面を踏み砕き、遥か上空へ跳躍した。
そして上空で鋭い牙で親指を刺し、血を流す。
「我に紅き標を、形状せよ《クリスタライン》。」
そう告げると、流れた血が蒸発し紅い稲妻を纏いながら一本の短剣形作ってゆく。
その魔力を感じると僕は背中に冷たい汗を感じる。
その短剣が恐ろしい魔力量を保有していたからだ。
今の自分が扱える血を使った武器の生成とはまた違う。
赤とは異なる紅、その魔力を彼女は今振り下ろす。
「消えよ。」
振り下ろされた魔力は見えざる断空の刃となり、龍を真っ二つに斬る。
…それどころか周りの建物さえ巻き込み龍が居た場所はもはや只の瓦礫の山と化していた。
「あの、レリィさん?加減と言う言葉を知っていますか?」
「失敬な。これでも加減したのじゃぞ?」
え、これで?
白目になりながら周りの状況を確認する。
「全隊攻撃用意!」
王国の兵士が一斉に集まり、陣形を組んでいく。
あれ?普通に不味く無いですか?
「あーちとこれは…」
「逃げる一手です。」
「同意じゃ。」
レリィさんは闇魔法を構築し黒い煙幕を作る。
「お主の魔力は闇との親和性が高いから楽じゃのう。少々羨ましいわ。」
彼女は子供のように笑いながらそう言い、シオンさんの家へと戻っていった。
「結局失敗か。次はどうしようか…ウフフ」
戦闘シーンは少し苦手ですね。
投稿ペースは今日から元に戻りそうです。
今後ともよろしくお願いします。




