見習い錬金術師始めます。
「あーこれは風邪ですね。この薬飲めばすぐに良くなりますよ。」
鑑定魔法を使って症状を特定した後、僕は棚から出した薬を相手に渡す。
ん?何をしてるのかだって?見ての通り医者兼薬師やってます。
「いやぁお嬢ちゃんの薬と回復魔法の腕は凄腕だよ!こんな天才な回復魔導士なんてこの世界中を探しても滅多にいないぜ!」
「偶然ですよ偶然。流れでここに来たもので稼ぐ方法がこれしかなかったものですから。」
「いやいやラキちゃんは女神様だよ!なぁお前ら!?」
「そうだな…言うなれば『女神美少女レミナちゃん』だな!」
「「「同感!」」」
…めんどくさいですね…
どうしてこうなったのかというと、シオンさんの提案で医者になったら?と言われたので
流れの回復魔術師として怪我や病気になった村の人に回復魔法を使って癒して来た結果。
評判が広がってこの状態です…さっさとシオンさんの家に戻って寝たい…
「はぁ…」
「お疲れね。はい、琥珀糖と紅茶。」
「ありがとうございます。」
彼女が作る琥珀糖は絶品だ。見た目は宝石のようで口にするとさっぱりとした甘みに少しだけ香るイチゴのにおい。普通に一流レベルだ。
「お金を稼げるのはいいですけど、あれだけの人数に治癒魔法を当て続けていると流石に疲れます…」
「まぁそうよね…」
そう、魔法を使うにも結構な疲労がたまる。魔力は余るほどあるがその前に疲れて無気力になってしまう。スローライフを送ろうって言ったのに疲れてしまったら本末転倒だ。
何かいい方法はないものか…
「…あ、そう言えばたまに来る冒険者さん達は回復薬などで回復してるんです?」
宿を探してやってきた冒険者が何か緑色の輝く液体を飲み旅の途中でできたであろう傷をいやしていたのを思い出す。あれ、多分回復薬だよね。あやしい薬じゃないよね?
「えぇ、そうね。あれはポーションと言われる回復薬よ。現役時代私も使ってたわ。」
「なるほど…あれって僕でも作れたらいろいろ楽なんですが…」
「簡単なものだったら私でも作っていたわよ?まだ奥に道具が残ってるはず。」
「へ?」
…シオンさんそんな小難しいこと出来たんだ。
彼女に案内され、家の地下に行く。この家小さいと思ったら地下があったんですね。
そして明かりがつけられると、そこには小さな釜と何らかの薬品が入っていると思われる小瓶が数本ある部屋だった。
「ほぇ、思った以上に本格的ですね。ちょっと意外です。」
「それ結構失礼よ!?まぁ錬金術って結構手間かかっちゃうからこうなったのよね。」
薬…ポーションが作れるなら魔法の代わりになるような強度の物を精製すればこっちが疲れる心配もない。これはいいアイデアかもしれない。
「たしか国の図書館に錬金関連の本がありましたよね。借りてきても宜しいのでしょうか。」
「一応借りれるけど…王国の兵士がいるわよ?大丈夫?」
「あぁ、それなら」
ゆっくりと体を吸血鬼に合わせる。この変わる時の体のぞわぞわする感覚は未だに慣れない。
「この状態なら隠密魔法が扱えますので。」
「…便利ね、あなたの体…というか吸血鬼なのに直射日光大丈夫ってどういうことよ…」
「あ、そう言えば。」
確かに言われて気が付いた。完全な吸血鬼ではなく、半分龍の血が流れているからだろうか。
ただ吸血衝動だけはいまだ健在、ということはちょっと便利な吸血鬼の体として扱っても大丈夫…かな?
「決めました。僕、錬金術師として働きます。その方が楽できそうですし。」
「理由が完全に怠け者ね…まぁゆっくり生活したいっていうならそれがいいのかもしれないけど。」
「まずは知識を集めないとってことで【ステルス】」
僕の周りに少しの光属性と闇属性の魔力を集め元の世界にもある光学迷彩のそれと同じ様に身に纏う。
あれ?吸血鬼って光属性の魔法もダメなんじゃないんでしたっけ?まぁいいや。考えるだけめんどくさいし。
「これで見えないですね。」
「えぇ。まったく見えないわ。」
ほんとに便利だなぁ魔法って。疲れるけど。
そう思いながら僕は図書館へ本を借りに行った。




