血紅龍
「…ん…んん…」
あれ?声が出る…まだ生きてるのかな…
目を開けると倒れた時計塔の前ではなく、白いベッドの上だった。
どうやら一応まだ生きているらしい。
「ここは…どこなんでしょう…宿屋でもないですし…」
「あ、起きたようね」
急に後ろから女性の声が聞こえる。
振り返るとそこには片手で食事のお皿等を持っている黄色の目を持った女性がいた。
「えっと…あなたが僕をここへ運んでくれたのですか?」
「えぇ、そうよ。」
さっき気づいたがこの女性、左腕がない。
そして髪の毛で隠れているがよく見ると右目も視力がないようだ。
「…そんな体で僕を運んでくれたんですね。ありがとうございます。」
「この体はこの国のために捧げたもの、そんな悲しい目で見なくてもいいわ。」
「自己紹介がまだだったわね。私の名前は《シオン・レイヴァンティール》。」
「あ、僕の名前はラキ・レミナ・アルヴァンです。ラキとでも呼んでください。」
彼女はベッドの隣にある椅子にゆっくり座る。
僕が起きた時のために紅茶を淹れてくれたようだ。
「はい、体力の回復によく効くハーブをベースにした紅茶よ。」
「ありがとうございます。」
お茶を飲みながら少し離れたところにある鏡を見る。
左目が赤いまま。恐らく吸血鬼の状態で体が固定されているのだろう。
機能を閉じるためにも魔力が必要なのだが流石にこの人から血をもらうわけにもいかない。
というか血をもらえるか聞いた時点でアウトだろう。
「失礼なことを聞くようですがその体は魔法等で治らなかったのですか?」
「えぇ、いかなる有名な回復魔導士、医者共々治せなかったわ…」
「ふむ…そうですね…助けてもらったのだしお礼をしたいので横になってもらっても構いませんか?」
「え?あ、分かったわ」
僕はベッドから降りると彼女を抱え、ベッドに寝かせた。
思った以上に軽い。自身の身体性能が上がっているからかもしくは彼女が軽いのか。
まぁ…気にしないでおこう。
「じゃぁ、目を閉じて楽な姿勢にしてください。」
「…これでいいかしら。」
「構いません。では、失礼します。」
彼女の失った腕と目の近くへゆっくりと手をかざす。
そして、出来るだけ今使えるありったけの魔力を使って回復魔法を唱える。
「精霊たちへ、彼女の失った体を今ここに戻し、再生させてください。」
彼女が欠損した体の部分が淡く輝き、本来あるべき姿へ戻ってゆく。
そして完全に回復したところで僕は口を開く。
「もう目を開けてもらっても結構ですよ。」
「え?う、うそ!腕が目が!」
よかった。治癒は成功したようだ。
「誰もここまで回復…いや再生させることはできなかったのに…あなたはいったい何者なの?」
「僕はただの吸血鬼と龍のハーフ。そうですね言うなれば」
「【血紅龍】です。」




