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18・鬼退治は終ったはずだよな?な?

 ロリ一のフォローに引いているところを幼女に見られた。


「おい、お前。俺をガキだと思ってるんだろ?お前らと変わらん歳だぞ。今年で20になる」


 ん?


 幼女が胸板を張ってそう言っている。まあ、強がりたい年頃なんだろうな。


「信じとらんな。山から来たなら、山の街のアイを知っているだろう?って、向こうにいるじゃねぇか。おい!アイ!!」


 幼女がチッパイさんを呼んだ。せっかく難しい話をしているところを呼ばなくても良いと思ったんだが、どうやら聞こえてしまったらしい。


「アイリさん!」


 うん、実際に知り合いらしい。呼ばれたチッパイさんがこちらへ駆け寄ってきた。


「おい、アイ、こいつが俺の事をガキ呼ばわりするぞ。説明してやってくれ」


 幼女がそう言うので、チッパイさんが説明したくれたんだが、どうやら本当に大人らしい。猫ではないのは耳で分かったが、猫の血を引いているのは確からしい。


「な?合法ロリって奴さ」


 ロリ一は黙っててほしい。


「へぇー、そうなんだ。ちなみに、ヨシフルはアイの夫だよ」


 ハナがいらんことを言う。


 それに幼女は驚いていた。


「はぁ?あの男を蔑むアイにか?何の冗談だよ。面白れぇ事を言うヤツだな」


 幼女はそう言って笑ったが、チッパイさんが自ら認める発言をした。


「アイリさん、本当なんだ。おばあがそう決めたから私にはどうすることも出来ない」


 幼女がそれを聞いてさらに笑い出す。


「そうかそうか。婆さんに決められたか。仕方ねぇな。アイも観念するんだな。爺と同じだったらよかったじゃねぇか。確実にお前らの子供も魔弓か魔砲が使えるな。将来安泰だ」


 幼女らしからぬ笑い方で笑っている。


「おっと。それはまた後で良い。アイは向こうで聞いて来たか?」


 幼女が笑うのをやめ、真剣な顔でチッパイさんに聞いて来る。


「はい。川を下って来たのは1騎、しかし、街を襲ったのは2騎。つまり、他にも鬼が居る。そして、それは関の向こうから来た訳ではない」


 チッパイさんがそう答えた。


「そう言うこった」


 幼女がそう答えたのを見て、ふと与一を見ると、彼もこちらを見ていた。どうやら同じことを考えているらしい。


「「海から来た」」


 そして、被った。


「お前ら、適当な事言うんじゃねぇよ。鬼が乗るような船があるとでもいうのか?だいたいどこに島があるって言うんだ。ここから五日の範囲に島なんかねぇよ」


 幼女は呆れたようにそう言う。五日がどの程度の範囲か分からないが、船で五日ともなるとちゃんとした航海術が無いとマトモにたどり着くのは不可能だろう。鬼と言えば鬼が島なんだが、どうやらそう簡単な話ではないらしい。


 そうなると、どこかほかの谷筋を降りて来たって事になるが、それがどこなのか、地理が分からない俺にはまるで見当がつかない。


「いや、海から来たというのはあり得る。なにも遠い島から来なくとも、岬をいくつか回り込んだ先の村という可能性も無い訳じゃない」


 ふいに会話に入って来たのはタカだった。タカによると、この辺りの海岸線は入り組んだところが多く、必ずしもすべての村や街を往来できる道が整備されている訳ではない。ほんの岬ひとつ向こうの村や街へ行くのにも山越えの道を迂回しなければいけないとか、船でなければ渡れない村などもあるのだという。この浜の街から街道が山へと入り、チッパイさんの生まれた街へと至るのも、山の中の街を結節点としていくつもの浜の町や村へと道が伸びているからだそうだ。


「んなこたぁ分かってるが、他の谷筋を降りたって痕跡を見つけたのか?」


 幼女がタカにそう聞く。しかし、タカは首を横に振るだけだった。


「街に鬼が出たことで探索はしたが、ほかの谷筋で鬼もその痕跡も見付けちゃいない」


「んだろ。だったら説明にならねぇ。それとも、百年だか前に降りてきた鬼がどっかの浜に住み着いて、たまたま今回出て来たとでもいうのか?それだったら今まで何度も襲ってきてるだろうが」


 タカに幼女が食って掛かるが、確かにそれはその通りかもしれない。どこかに鬼が住み着いていたなら、これまで一度も襲ってこなかった理由が分からなくなる。


 そうは言っても、ここで議論してもらちが明かないので浜の街へと向かうと、浜から来た捜索隊のリーダーと話が付いたとタカが言ってきたので、街へ向かうことになった。 

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