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なんで僕がこんなところに!?  作者: 対子落とし
【第 1章】目覚めた先
9/22

1 ―  7 暖かい気持ち

今回もちょっと短いです

 気が付くと僕はベッドの上に寝かされていた。


(そうか……。「超」が付くほどのお嬢様だったのか……。なら、それに負けないようにしないとね)


 今までの知識で生かせるものはそれを生かして過ごそう。それで足りないものは新しく知識として身に付けよう。


 そこでようやく僕は決心が付いた。






---コンコン


「はい」


「お目覚めになられましたか、サキお嬢様。お食事をお持ちしました」


「扉は開いています。お入りください」


「失礼します」

 

 1つ断りを入れてから入ってくるメイドさん(?)を一目見る。


「こちらが本日のご夕飯になります」


「あれ? ということは僕は半日気を失っていたのですか」


 ちょっと長くないですか? 10分程度だと思っていたけど。


「えぇ。シーラ様がご心配になられていましたよ」


「そう……。ありがとう、教えてくれて。それではお母様に「もう大丈夫です」とお伝え下さい」


「とんでもありません。畏まりました。それでは、失礼します」


 そう言ったメイドさんは、扉の近くに戻ると一礼をしてから部屋を後にする。


 今僕の目の前には、卵料理が並べられていた。

 

(この世界にも卵はあるんだね)


 今の僕はガリガリに痩せていた。それこそ、転生直後に何も食べていなかったからということもあるし、この身体も小さかったというのもある。少しは太らないとマズいという危機感を持ったくらいに痩せコケていた。

 この身体に合うくらいの量に調節されていて、正直助かったっていうのもある。痩せこけていたというのもあるけど、前の時みたいに食べられないと思う。まぁ、それでも前の時でも食べる量はそんなに多くなかったけど……。


 今回の献立は、純白のお皿に乗せられたプレーンオムレツに、これまた純白の茶碗みたいなものにパサパサとしたご飯が入っていた。前の時で言う、イタリアとかのお米に似ている。


(なんだか新鮮……)


出来るだけあっさりしたものを選んだみたいで、今の僕でも食べ切れる量だった。




ーーーコンコン


「はい、どうぞ」


 メイドさんではないのは分かったけど、誰だろう。


「調子はどうしから?」


「あ、お母様」


お母様でした。


「はい、大丈夫です。少し気を失っていただけですし。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」


「そう、良かったわ」


 何もなかったことを伝えるために、どうしても丁寧な言葉になってしまう。と言っても、本当にこれが正しく丁寧な言葉なのか、今となっては確かめることは出来ない。


(これならもっと授業に出ていれば良かったなぁ……)


「サキ。サキっ!」


「あっ、ごめんなさい」


若干遠い目をしてしまった。いけないいけない。今を、っと。


「そんなに丁寧じゃなくてもいいのに」


「これは癖みたいなもので……」


 これは昔からの癖みたいなもので、意識してるけどなかなかこの癖は抜けそうにない。


「なら無理にとは言わないわ。サキのタイミングでいいから、ゆっくり行きましょう」


「はい、お母様」


 お母様が「うん」と頷くと、おもむろに手を伸ばしてきた。


(何するのかな……)


「お叱りを受けるんじゃないかな」とドキドキしながら身構えていたけど、何もされることはなく、ただ単に頭に手を置かれた。


「……あ、ぅ……」


 手を置かれた瞬間、何か暖かいものを感じた。そして頭を撫でられた。頭を撫でられることがこんなに気持ちいいだなんて……。


「……ぁ、…………」


 ウルウルとした目でお母様を見つめる。

「どうしてやめたの」という意味を込めてお母様を見つめる。


「ほら、おしまい。ちゃんと食べなさいね?」


「……!」


 そういえば、まだ食べてなかった……。


「……はい。いただきます」


「召し上がれ」


 僕の中で、こんなに暖かで幸せな気持ちになったのは初めてのことだった。これがいつまでも続けばいいのに、と、願っていた。


 なんというか、家庭的というか、意外にあっさりしていて食べやすい。程よく甘みがあって、食べやすい。これなら今の僕でも全部食べられそうなくらいにおいしいものだった。


「おいしいです、お母様」


「そう。良かったわ」


 胸を撫で下ろしているお母様。これはお母様がお作りになったものと直感で分かった。


 至福な時はあっという間に過ぎていった。おいしさのあまりについつい食が進んでしまって食べきってしまった。量が調整されていたのかもしれないけど、いつの間にか食べきっていた。



 しばらくしてから、お母様はベッドから立ち上がると、食器を持ってからこう言った。


「じゃあサキ。明日からはキチンと過ごすのよ?」


 その瞳には、僕のことを心配するかのような印象を受けた。


「はい、お母様」


 僕はそれに応えるために、キチンと返事をする。


「いい返事だわ。おやすみ、サキ」


「はい、お母様。おやすみなさいませ」


 お母様はその返事で満足したのか、頷くと僕に向かって「おやすみ」と一声掛けてから部屋から出ていった。


 これからが僕の新しい人生なんだから、心が折れない程度に頑張っていこう。と気持ちを切り替えて明日に備える僕だった。


【初版】 2016/03/22 14:15

 長く書いたつもりが予想より短かった不思議。


【追記】 2016/05/24 19:30

 少し追記しました


【追記】 2018/06/18 01:34

 emダッシュ記号(―)で書いていたつもりが長音符(ー)となっていた為に、emダッシュ記号(―)に差し替えました。

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