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なんで僕がこんなところに!?  作者: 対子落とし
【第 1章】目覚めた先
6/22

1 ―  4 この世界の仕組み

「まさか、なぁ……」


 僕は1つ思いついたことがある。ここはファンタジーの世界。まさかとは思いつつ、それをやってみることにした。


「【ステータス】」


 思いついたら即実行。普段はあんまりやらないけど、興味にそそられてついやってしまった。


 すると……。



《ステータス一覧》

 ・名前 : サキ・アメリア・アテナ・オリヴィア

 ・種族 : ハーフエルフ

 ・性別 : 女性

 ・職業 : 神の子

 ・レベル:   8

 ・年齢 :  6歳

 ・HP :    101 (+43) /   101 (+43)

 ・MP :    119 (+32) /   119 (+32)

 ・ATK :   18

 ・DFE :   38

 ・STR :   32

 ・DEX :   29

 ・INT :   52

 ・LUK :   30

            → 詳細ステータスを表示


「うわぁっ!」


 ほ、本当に出てきた……、ってあれ、名前のところが変わってる。本来ならもっと短いはずなのに。もしかして自分の意思で名前変えられるってこと? そんなことはないと思うけど……。「うわぁっ!」って……。僕自身こんな声が出るなんて思わなかった。なんだか恥ずかしい。まぁ今はいっか。


 今僕の目の前には、ふちが白くて青いウィンドウが出ている。そのウィンドウの中には詳細のステータスやら、現在発生中の効果の一覧が表示されていた。これって俗に言うゲーム要素が出てきたってこと? 僕の憧れていたファンタジーの世界だったと思ってたけど、まさかゲームの要素が出てくるとは思わなかった。僕はゲームをやったことがない。いろいろあったからむしろ出来なかった。いや、もう昔を思い出すのはやめよう。今は今。それで十分。今を生きよう。”魔法”は【MPマナポイント】を使うらしいし、それを使いすぎると意識を失って倒れる、と。でも今の僕にはその使い勝手が分からない。どうしたものか。僕では右も左も分からない状態だし、助けを求めたいところだけど……。かと言って迷惑をかけるわけにもいかない。思い切って聞くのもありかな。この職業のところの「神の子」って何? いろいろと気になるけど、今は置いておこう。その前に……。



「【スキル】」



《取得スキル一覧》

 ・ 言語翻訳   ・ 3つの魔法トリプル・マジック  ・ 魔法力上昇マジック・ラスティング・エフェクト ・記憶のかけらメモリー・フラグメント ・魔法の扱いマジック・アセスメント

 ・ 全属性適正オール・コンバータ  ・ながら学習ラーニング



            → 詳細スキルを表示



 なんだかいろいろ書いてあった。というかこれ、僕以外にも見えているのかな? もし見えていたらいろいろと教えてほしい。でも、これはこれでいきなり出されても僕がよくわかってないから何の意味もないと思う。こういうのは我流でやるよりは何かを参考にした方が早く上達しそうだし。そういえばシーラさんが居たような……。シーラさんに聞いてみよう。


「シーラさん、居らっしゃいますか?」


「はいはい、呼んだかしら?」


「うぉ!?」


「そんなにびっくりすることかしら? ずっと一緒だったじゃないの」


「あはは……、そうでした……」


 び、びっくりしたぁ。突然横から声がかかるんだもの。そりゃあびっくりするよね……?


「さすがに飲み込みが早いのね」


「い、いえ。たまたまですよ」


「またまたぁ~」


「もう……」


 ふぅ。今は落ち着くことが先決。深呼吸、深呼吸。はぁー。よし。


「今シーラさんには僕のこのウィンドウ? は見えていますか?」


「んー? 見えてないけど?」


「あれ? 見えてないんですか? ってことはこのウィンドウには人には見えないってことですか?」


「いや? そんなことはないよ? そのウィンドウの右上のほうに、クエスチョンマークがあるでしょ? そこの右側に四角いマークがあると思うんだけど、そこをチェックしてみて。あ、そうそう、それはタッチパネル式だから指で操作出きるよ」


「え? ってことは、はたから見たら「空中に向かって何をしてるの?」って見られるってことですか?」


「まぁ、そういうことにはなるのだけど。とにかくチェックをしてみて? そしたら私たちでも見えるようになるから」


「あ、はい。分かりました」


 僕はシーラさんに言われたとおりに、クエスチョンマークの右側にある四角いマークにチェックを入れた。そしたらチェックマークが付いた。


「どれどれ、っと……?」


 そう言いながらシーラさんは僕のステータスウィンドウを覗き込んできた。


「……えっ、えっ!? なにこれ!?」


「わぁ! 突然大きな声を出さないでくださいよ。びっくりしたじゃないですかぁ……」


「いや、ごめんごめん。驚いちゃって、つい」


「それならいいんですけど……?」


 あれ? 心なしかシーラさんが冷や汗をかいている? あれ? なんで?


「なっ……、このステータスは、神の子……。神子みこの真なる継承者……」


「え?」


「貴女は……、いえ、貴女様は神に遣わされし真の継承者と相成るお方。先ほどのご無礼をお許しください」


「え? えっと、話が見えないのだけど……?」


「貴女様はこの国の、強いてはこの世界の最強と相成る可能性を秘めた存在のようです」


「え? ってことは――――」


「はい。貴女様の職業「神の子」となっておりますが、その言葉の通りでございます。神の子、つまり、神子みこ。神の子どもです」


「えっ? 僕が神の子ども?」


「左様でございます」


「えっと……? これはどういうことなのですか?」


「と言われましても……。私には判断がつかないのです。ご了承ください」


「まぁ、ですよねー……」


「何はともあれ、少々お待ちください」


「え? あ、はい」


 なんだかんだで僕一人になってしまった。いきなり神の子どもと言われても、実感が沸かないのだけれど、どうしたものか……。うーん……。


「失礼します」


 一人で考え込むこと少し経ち、ドアを2回叩いてシーラさんがアルベルタさんを連れて僕の……、いや、アメリアさんの部屋に入ってきた。何やらさっきまでと表情が違う? シーラさんはアルベルタさんに何を言ったのだろう。ちょっと気になるけど、今それを聞くのはやぶ蛇だろう。今は聞かないでおこう。いつか聞けることもあるだろうし。今は急ぐときでもないし、そのときを待つことにする。


 すると、アルベルタさんは部屋の中にあったテーブルと、そのテーブルに備え付けてあった椅子を手にとって椅子に座った。


「シーラから話は聞いたわ。『神の子』って、本当なの?」


「僕にもよく分からないのですが……。ここに『神の子』と記されています」


 そうして僕はついさっきシーラさんから聞いた方法でウィンドウが見えるようにした。


「確かに、記されているわね」


「これって、どういうことなのでしょうか?」


「言葉の通りよ」


「え?」


「つまり、あなたにはこの世界を司る権利を持っているわ」


「え?」


 いきなりそんなことを言われても、僕はいまいち理解が出来ずに、周りの人たちと僕とでは壁が出来てしまっているような感じになっていた。


「例えば、今晴れているでしょ?」


「はい、そうですね」


「もしこれから何か悲しいことがあったとしましょう。そしたら、少なからず雨が降ります」


「え?」


「まぁ、それでも自然の理ですので雨は降りますが、それでも貴方様の気分次第では雨が降り出します」


「えっ、と?」


「今の貴女様の気分は不安でいっぱいでしょうから、この辺あたりはだんだんと雲っていくでしょう」


「そ、それは本当なのですか?」


「ええ」


 いきなり連続してそんなことを言われても、余計に頭が混乱してきていた。思考がうまくまとまらず、堂々巡りに物事を考えてしまう。


「今は落ち着くのが先見ですね」


「どうぞ」


 言うが早いか、シーラさんがテーブルの上に純白のティーカップに、同じく純白のソーサーが一客置いていた。


「銘柄はアールグレイです」


「さすが、シーラは仕事が早いわね」


「よく言うよ、まったく」


「からかうのはこの辺にしときましょうかね。この後が怖いわ」


「ははっ、言ってなさい」


「ぷっ、ふふふ」


 出会って数時間だけど、なんだかこの2人を見ていて退屈しないというか、仲がいいというか、「いいな」って思ってしまった。それでいて、なんか急におかしくなっちゃって、ふいに笑っていた。


「あら?」


「まぁ」


 つい笑ってしまった僕に対して、2人は同じような反応を見せた。僕は笑ってしまった罪悪感からか、半ば顔が熱くなりながら、ついこう言ってしまう。


「あっ、ごめんなさい。急におかしくなってしまいまして」


「いいのよ。あなたは、やっぱり笑顔が一番似合うわね」


と言われたので余計赤くなってしまった。この人は到底敵わないみたいだ。


「どうかしら。一息つけたかしら?」


 僕は半分から買われたことを自覚しながら、アルベルタさんからの問いかけに答えた。


「はい、アルベルタさん。ありがとうございます。ご迷惑をおかけしました」


「アル」


「え?」


「アルでいいわ」


「えっ、でも……」


「アメリアのことを気にしてくれているの? ありがとう。でもそれは難しいと思うわ」


「え?」


 何かアルベルタさんは決心を込めたように、僕にこう教えてくれた。


「それはもう、あなたとアメリアの魂が混じったが故よ。だから、もうそれは叶わないことなのよ。ダイチとしての記憶と、アメリアとしての記憶が混じったあなたは、もう神の子なのだから。それを子に持つことが出来て光栄なのよ。だからあなたは胸を張っていきなさい。それが私からのアドバイスよ。そうでしょう? サキ」


「……っ!」


 そう。僕はこの子、アメリアの中に混じりこんでしまった。けど、それを光栄なことだとアルベルタさんは仰って下さった。それに対して僕は、昔からこう後ろ向きなことばかりを考えてしまう。これは僕にとっていいきっかけになるかもしれない。かつての世界が寂しいと言えば嘘になるけど、これは僕にとって前向きに生きるチャンスなのかもしれない。


 『佐々木大地』としてはなく、『サキ・アメリア・アテナ・オリヴィア』として―――。

【初版】 2015/11/15 18:00 + 2016/05/25 02:20

 短い内容だったものを結合させました。


【追記】 2018/06/18 01:34

 emダッシュ記号(―)で書いていたつもりが長音符(ー)となっていた為に、emダッシュ記号(―)に差し替えました。

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