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なんで僕がこんなところに!?  作者: 対子落とし
【第 1章】目覚めた先
21/22

1 ― 19 帰り道

 後片付けを終えたあと、少し掃除をする。と言っても忘れ物がないかチェックするだけなんだけどね。


   ”来た時よりもキレイにする”


 これが僕が小さい頃に教えられたことなのだけど。


 後片付けをしているそばで汚れがあるかないかチェックしていた僕に驚いたのか、お母様から声を掛けられる。


「サキ? 何してるの?」


「…………」


「サキっ!」


「はっ! ごめんなさい。少し集中してました」


 お母様から少し大きめの声を掛けられて、初めて気付く。お母様から声を掛けられていたことに全く気付かなかった。


「サキ。あなた何してるの?」


「僕が小さい頃に教わったことをやってます」


「それはどんなこと?」


「出来るだけ、ですが……。”来たときよりもキレイにすること”です」


「へぇ。それはすごいわね」


「小さい頃に覚えたモノは自然と身についていて、つい」


 小さい頃に習慣付いたことって、自然とやってしまうよね。


「サキの故郷は、自分のことよりも周りのことを気にかけるのね」


「言われてみればそうですね」


(そういうものなのかなぁ。僕はこうやって教わったからやってるけど。あんまり自覚ないなぁ)


―――5分後


「よしっ。これでよし、っと」


 元がキレイだったから、ほとんど何もすることが無かったけども。それでも達成感がある。


「サキお嬢様……」


「何? シーラさん」


「そのようなことをしなくても、こうしてしまえばすぐなのですが……。【清掃クリーン】」


「なん……だって……!?」


 今までの苦労は一体。


「……魔法に慣れてしまうのも問題かもしれないね。シーラ、自分の手で掃除するのもアリじゃないかしら」


「アルがそんなこと言うなんて珍しい」


「サキを見ていて思ったのよ。魔法に頼るんじゃなくて、自分の手でやると気持ちいいかもしれないし」


 そう言うと僕の方を見る。お母様は率先して”清掃クリーン”の魔法を使っていそうなイメージがあったけど。そんなに僕の表情かおが良かったのかな?


「って、あれ? その”清掃クリーン”の魔法は詠唱はしなくてもいいんですね」


「いいところに気付いたわね、サキ」


「いいところ?」


「この説明は長くなるから、先に馬車に歩いていきましょうか」


「はい、お母様」


 僕の話でさえ、ちょっと長くて予定時間より帰りが遅くなっているらしく、お母様とシーラさんがそわそわしていることには気付いていた。


「忘れ物はないね?」


「ばっちりよ」


「それじゃあ、戻りますか」


「「はい」」


 こうして僕たちは、忘れ物がないかチェックした後に、馬車を停めている停留所へと戻っていった。


 五分くらい歩いていると、停留所へと着いた。すると、乗降口が開いていた。


「待たせてしまってごめんね」


「何。そんなに待っとらんわい。時間は押してるがな」


「すいません……」


 お母様がシュンとしている。珍しいこともあるものかな。ずっと待っていてくれた、馬と御者の方に感謝とお詫びをする。


「お待たせしてしまい、申し訳ありません。予定より長引いてしまっているのは、僕に責任があります。申し訳ありませんでした」


 僕が迷惑を掛けているのだから、頭を下げた。


「何、気にしとらんわい。アルもこんなに礼儀正しく育ってくれたら良かったのにのぅ」


「うっ、うるさいわね!」


「ほら、そうやってすぐに怒る。昔から変わっとらんの」


「~~~!!!」


 あ、赤くなってる。なんだかかわいいかも。


「出してちょうだい!」


「はいはい、お嬢様、っとね」


 御者の方が、馬の子に優しく鞭で指示を出す。


「ヒヒーン!」


 それに答えるようにして馬車は進み出した。行きは速度を落として走っていたけど、今は結構な速度が出ている。行きはだいたい 5km/h 程度だったものが、今は 15km/h くらい出ている。よほど時間を押していたらしい。

 でも、あれ? さっき、馬の子から「んじゃあよろしゅうな。飛ばすでー」と聞こえてきたような……。気のせいかな?

 どうやら気のせいじゃなかったらしい。御者の方が速度が出過ぎているから遅くしようと手を焼いているところが見えた。


「お母様。あの御者の方のお名前はなんでしょう?」


「あぁ、言ってなかったっけ」


「聞いてないですね」


「……あ、そっか。えーっとね、あの人の名前は……」

「『アリシア・オリヴィア』さん。どうせアルのことだから恥ずかしくて言えないんでしょ? アルが小さい頃の教育係だった人よ」

「~~~~~!!!」


あ、お母様がプルプルしてる。なんだかかわいいかも。


「へぇー。そうだったんですね」


 なるほど。それで気さくな柔らかい感じの会話だったんだ。納得した。


「ここからアリシアさんに声って掛けることって出来ますか?」


「出来るけど、どうして?」


「ちょっとお伝えたいことがありまして」


「そう。分かったわ。私と場所を変わる?」


「はい、お願いします」


 御者の方……。アリシアさんに声を掛けたくて、アリシアさんと一番近いシーラさんと場所を変わる。


「アリシアさん!」


「おっ。何だいお嬢様?」


「あれ、驚かないんですね」


「そりゃあ、アルから話は聞いていたからの。まるで人が変わったとね」


「あはははは」


 これには苦笑いしか出来ないな。ってそうじゃなくて!


「その馬の子の速度を落とそうと手を焼いているみたいですが、その子は出発が遅れた分を取り戻そうとしているだけなので、暴れている訳ではないですよ」


「ヒヒーン!!」


(どうにも『おうよ! 急いでいるだけだ』って言っているような気がするけど……)


「どうしてそんなことが分かるんだい?」


「その子が、そう言っている気がしたので」


 アリシアさんは僕が声を掛けて話をし始めたタイミングで手を離していたようで、右手に縄を持ち、左手を顎に手を当てて何か考え始めた。


「……そうかい。そやつがそんなことを」


「はい」

 

「さっきも『おうよ! 急いでいるだけだ』と言ってましたし」


「そうかい。じゃあ任せたよ」


 アリシアさんは、縄ではなくて、馬の子を直接手で叩いて指示を出す。


「ヒヒーン!」


「『おう、任された!』って言ってます」


「こやつは何か人間うちらの言葉を理解しているような動きをすることがあってね。ずっと謎だったのだがね。お嬢様がそう言うなら、確信したわい。こやつは人間の言葉を理解している」


「ヒヒーン」


「『言ってなかったか』と言ってます」


「分かる訳無かろう!?」


「『そりゃそうか。すまねぇな』と言ってます」


 あれ。僕、通訳役?


「ヒヒーン!!」


「『そろそろ遅れていた分を取り戻せそうだ。いつもの速度に戻すぞ』」


「あいわかった。あとも任したぞ」


「ヒヒーン」


「『おう。任しとけ』」


「こやつと移動するときは楽でええわい。これからもよろしくな」


「ヒヒーン!!!!」


「『言われるまでもねぇ。あんたが一番信用出来るし、安心出来る。よろしくな』」


「ありがとうよ」


 そう言って馬の肌を優しくトントンと叩くアリシアさんが居た。これで良さそうかな。


「では、僕は後ろで着くのを待っていますね」


「ありがとうや、お嬢様」

「『任せておきな!』」


 アリシアさんとこの子、いいコンビになりつつある。信頼関係が築かれていた。


「シーラさん。ありがとうございます。話終わりました」


「いいっていいって。それよりも、やたらと馬のいななき声が聞こえてきたんだけど、何かあったの?」


「何でもないですよ」


「嘘だぁー」


 シーラさんがお茶目た感じで言う。ジト目も添えて。


「嘘じゃないですよ。ただ、アリシアさんに”出発した時間が予定より遅れていたので、その遅れを取り戻そうとしている”という話をしたら、驚かれました」


「それは誰だって驚くわ(よ)!」


 お母様とシーラさんにツッコまれました。

【追記】 2018/06/29 00:00

 見切り発車で書き始めるから、作者自身が困るパターン。一番ダメなパターン!

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