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なんで僕がこんなところに!?  作者: 対子落とし
【第 1章】目覚めた先
17/22

1 ― 15 最愛の再会


 強い気持ちを抱いても、手をこまねいてはどうしようもない。行動に起こさないと何も変わらない。分かってるけど、何か手はないかと考えてしまう。


「さぁ、せっかく広げたのだから、食べましょうか」


 シーラさんから助け舟が入る。さっきまで水筒だけしかなかったのに、いつの間にか屋敷で使われていたティーセットまで並べられていた。全く気が付かなかった。


「そうね。そうしましょ。せっかくのピクニック、楽しみましょ、サキ」


「あ、はい。お母様」


「よろしい」


 かなわないなぁ。あっ、シーラさん笑い始めた。

 あぁもう! カップに手を伸ばす。


「あっ、おいしい。それに少し甘い?」


「さすがに鋭いですね。少し砂糖を混ぜてみました」


「ありがとうございます」


「どういたしまして」


 僕がお礼したしたそのタイミングでシーラさんはウィンクをした。ありがとうございます。


(どうしたらいいんだろう)


「あっ!」


「「どうしたの?」」


 お母様とシーラさんが同じようなことを呟く。今までの悩んでいたことがまるで嘘のように、閃いたことが1つあった。それを今からぶっつけ本番でやってみる。


 僕は椅子から立ち上がり、少し離れたところにまで歩いていく。と言っても、さすがに邪魔になるだろうから、テーブルがある場所から人が2人分のスペースを空ける。2人とも椅子に座っているから、ちょうど頭くらいの高さになるかな。右手を掲げて手を開き、さっき思い付いた言葉を紡ぐ。


「オリヴィアの名の元に命ずる。冥府に在りし尊き魂よ、我が身の元へ参り給え。【冥府から続く扉(メイド・イン・ハデス)】」

     

 この時僕は、お母様の心残りだと思えるお母様のお父様。つまり僕から見てお爺様を強くイメージする。面識がある訳ではないが、普段からお母様が言うお爺様のことを聞かされていたから、イメージが掴めていた。


 するとどうだろうか。この言葉に反応するかの様に、青白い魔法陣が高速回転を始めて輝きを放ち始める。その輝きは40秒ほど続き、この高速回転が動きを止めると、その魔方陣の中央に大人一人が通れるような穴が開いた。その開いた穴から人影が見えてくる。まるで大理石の上を革靴を履いて歩くサラリーマンの如く、革靴特有の足音を響かせながら。


 魔方陣の中央に開いた穴から出てきたのは、見た目は60歳前後くらいで、背丈は170センチくらいある、男性だった。なんともダンディな人だ。分かりやすく言うと、俳優、映画監督、脚本家、映画プロデューサーなどを手掛ける、なんとかクルーニーさんに似ていた。


 服装は白のシャツを基調にして、ズボンは黒、青を基調としたマントに白と金のラインが入っている。マントの背中部分にはこの国の国章が刺繍されている。見る限り、この国の何かしらの制服? すごく似合っていて、様になっている。


 その人物の姿を見た瞬間、お母様はその場で泣き始めていた。


「お父……様……!」


「おっ。よぉアル。元気してたか?」


「お父様ー!!」


 感極まったのか、お母様はお爺様の元へと駆け込む。そしてお爺様の胸元でワンワン泣いていた。今まで、ずっと気が張っていたのだろう。僕はそっとシーラさんに目線を向ける。そうしたらシーラさんは僕が視線を向けていることに気付いたのか、目線を合わせて頷いた。今だけは、自由気ままにしてあげよう。泣き止むまで、気持ちの整理が付くまでそっとしておこうというのが僕たちの気持ちだった。




☆ ✭ ☆ ✭ ☆ ✭




───10分後


 お母様は、今まで表に出さない様に気を張っていたということなのかな。それが僕から見てお爺様が現れたことで一気に崩れてしまって。あんな風に泣きじゃくっていた、ということかな。これで吹っ切れた、はず。


「落ち着いたか?」


「はい」


「あーあもう儂の服をこんな風にしてしもうて。変わっとらなぁそういうところは」


 確かに、お爺様の言う通りに服はしわくちゃになり、ところどころシミになっている部分がある。それに負け時とお母様が反論する。 


「そういうお父様こそ、私たちに心配ばかり掛けて。人の気持ちも考えてくださいよね?」


「うぐっ。そうじゃったな。心配ばかり掛けていたのは儂の方じゃった」


「やっと分かりましたか……」


「すまなかったのぅ」


 いつの間にかお母様はお爺様に抱きついていた。


「それと、サキと言ったか」


「!?」


「何を驚いておる? 儂をこの場に召還したのはお主じゃろう。じゃが、感謝するぞ」


 まさかお爺様からそんな言葉が出るとは思わずに、ありきたりな反応を返してしまう。


「こちらこそ、ありがとうございます。これでお母様も吹っ切れたようです」


「はっはっは。この儂、お主のことが気に入ったぞ」


 お爺様は、抱きついているお母様の頭を撫でている。


「……はい?」


「儂は戦場で儚く散った身。儂の最愛の娘に対し謝ることが心残りじゃった。冥府の主に呼ばれて、あの魔方陣に行ってこいという。何も分からずにそれに応じた。今までこんなことは無かったからのぅ。もし面倒事に巻き込まれたと感じたらすぐに帰るつもりじゃった。呼ばれて出てきては、なんとそれは儂の心残りじゃった愛娘に会えた。しかも謝るということも出来た」


「はい」


「それだけでなく、儂はお主の心に惹かれた。私利私欲のためでなく、それを分かち合いたいという、清き心を持っている。その清き心を、儂が保証する」


「確かに、お父様は人の心を読み解く力を持っていましたね」


「うむ、その通りじゃ。さすがは愛娘じゃ」


「うー、やめてよお父様ぁ〜」


お母様の頭をウリウリしてる。仲良いなぁ。


「そうじゃな。さしずめこう言った方が良さそうじゃ」


 そう言うとお爺様は姿勢を正す。


「儂の名はアーヴィン・メール・カナリック・オリヴィア。よろしく頼むぞ、マスター


マスター?」


「そうじゃ。儂をここに呼び戻したのはお主であろう? そして儂はお主を認めた。お主に仕えたいと願った結果じゃ。儂はお主のためになるのならば、お主の手足となろうぞ」


 そうしてお爺様は手を出してきた。僕もそれに応えるように手を出し、握手をする。


「あっ。ありがとうございます?」


「何腑抜けたことをぬかしておる。儂の面子が立たないじゃろうて。よろしく頼むぞ? 我が主よ」


 家系からの立場から見るとお爺様。だけど、なぜか僕がお爺様のマスターで、お爺様が従者という、何とも不思議な主従関係が出来ていた。

【初版】 2017/10/24 20:30

 やる気が出てきたので書きました。アズールレーン、始めました。メインはルルイエサーバーでやってます。一応トラックサーバーでもやり始めました。アークスの方は、1週間だけの、まさかの連戦(エルーサー)が強化。強化連戦XH行ってますけど、☆13なんて出やしない。

 ☆10の刃図羅 HYPERを解禁しました。ECHIDNA と Beat Juggling Mix の HYPER譜面が壁となりました。キツかった……


【追記】 2017/10/25 01:51

 サブタイトルの話数カウントが間違っていたので修正


【追記】 2017/11/01 15:19

 魔法名のカッコを付け忘れていたので修正


【追記】 2018/06/18 01:34

 emダッシュ記号(―)で書いていたつもりが長音符(ー)となっていた為に、emダッシュ記号(―)に差し替えました。

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