表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なんで僕がこんなところに!?  作者: 対子落とし
【第 1章】目覚めた先
16/22

1 ― 14 ピクニック1


 そんなことをしていたら馬車が停まった。どうやら着いたらしい。馬車に備え付けられている窓から外の景色を覗き見てみる。


「うわぁ……。きれい……」


 そこには、見たこともない絶景が広がっていた。一面には黄色い花や白い花、赤い花などがが区域に分けられて、それぞれが自分の存在をアピールするように咲き乱れたお花畑があった。


(この景色を写真に収めることが出来れば、いつでもこの景色を楽しめるのになぁ。そんなことは出来ないか)


 せめて、写真とかが無くてもこの景色をいつまでも残しておきたい。そう思った。


「サキー。降りるよー」


「はい、お母様」


 いつの間にか用意されていた昇降口に足を向ける。昇降口が用意されていることに気付かずに見とれていたらしい。それ程までに絶景だった。まるで、心が洗われるような、爽快な気分になった。乗る時は苦労したのに、降りる時はそんなに苦労しなかったのは、なんでだろうか。僕の身長に合わせてくれたのかな。ありがとうございます。


 地面に降り立ち、お花畑に設けられた道をしばらく歩いていると、一面お花畑を背にお母様が僕に振り向く。


「お母様。すごくきれいです」


「あら。サキってば冗談を」


 お母様は赤い文字がワンポイント縫い込まれた白を基調としたロングワンピースに、茶色いカーディガンを着ている。まるでどこかの学校の制服のような見た目だ。それでも似合っているのが不思議なくらいにきれい。


「冗談ではないですよ。お母様はきれいです。それと、このお花畑も」


「うふふ。ありがとうね、サキ。今のそういうサキも似合っててかわいいわよ?」


「あ、ありがとうございます……」


 なんでだろう。すごい照れる。”佐々木 大地”としての”僕”と、小さな女の子の”アメリア・オリヴィア”としての”私”の意識が混ざった結果、”佐々木 大地”としての”僕”の意識が恥ずかしいと感じている。けど、”アメリア・オリヴィア”としての”私”が嬉しいと感じている。”僕”と”私”。2つが混じって1つになって、恥ずかしいやら嬉しいやら、区別がつかなくて複雑な気持ちになっている。


「あら、そういうサキも私と合わせてもらったんだから、似合うに決まってるでしょ?」


 あぁ恥ずかしいからやめてお母様……。


 今の僕は、お母様と同じ白を基調としたフリルが付いたワンピースを着ている。やっぱり、足元がすーすーする。これには慣れないといけないのかなぁ。”僕”としては落ち着かない。”私”としてはこれが普通。うーん……。慣れない……。


 屋敷の中の部屋とかで、ついつい、”僕”としての意識が強いからか、脚を開いて座ってしまう。そうすると”見えて”しまう。意識をしないといけないのは分かってるんだけど、どうしても……。

「脚が開いていますよ」とシーラさんからお叱りを受けることが多い。そして「今日は水色ですか」と言われることがしばしば。それを言われると”僕”としても”私”としてもすごく恥ずかしくなる。直さなきゃ……。


 そんなことを考えて歩いているうちに、ちょうど開けた場所へと着いた。木のテーブルと椅子が設けられていて、まるでキャンプ場にあるテーブルと椅子のようなものだった。


 そこの椅子に腰掛けると、シーラさんが用意していたバスケットの中から、お皿に盛り付けられたサンドイッチと、水筒とコップが並べられていた。


「「さすがシーラ(さん)、仕事が早い」」


 思わず僕はお母様を、お母様は僕を見る。


「「ぷっ」」


 同じタイミングで同じことを言うからハモっていた。


「もう、お母様びっくりさせないでください」


「そういうサキこそ」


 お互いにおかしくなっていて、笑いがこみ上げてくる。まさかハモるなんて、思いもしなかった。


「1度でもいいからこの景色を見せておきたかったのよ。良かった」


 それに続く「もう私は長くないもの」という聞き取れるか聞き取れないかの小さな声の言葉に、僕は耳を疑った。


「えっ。それってどういう……」


 それに反応するかのように、僕も聞こえるか聞こえないかの小さな声で反応してしまう。如何に小さな声でも、なぜか聞こえてしまうのが僕はたまらなく嫌だった。それでもこの力には付き合っていかないといけないらしい。


 お母様は、もう自身が長くないことを悟っているのか、まるで「これが最後なのかな」という雰囲気を持った笑顔だったけど、僕にはその笑顔が無理しているようにしか見えなくて、どこか寂しいと感じた。何かをしてやりたい。そう強く思った。

【初版】 2017/09/23 15:00 (予約投稿)   投稿を決めたのは 14:34

 やる気が出てきたので更新。なおこのやる気は続かない模様。短いですが、区切りがいいのでここでいったん区切ります。やっぱりアークスしかしてません。


 放置期間長いですけど、更新を始めてから2年と5ヶ月が経ったようです。趣味の範囲で書き始めたもの。果たして、どこまで気持ちが続くのでしょうか。


 戦道、実装されましたねぇ。そこで出るとは思わなかったバレットクナイ。1本目は2本で済んだのはびっくりしました。今は2本目を作ろうとしてます。まぁ、1本目は天然OPでも十分そのまま使えるOP内容してたのでOPは付け替えていません。

 バスタークエストもなかなかにいいですね。とりあえずイヴリダソードとイヴリダタリスが出たので、それをとりあえず 60/35/3 にしてからクリシスに更新しました。この2つは天然OPそのままです。


 え? 更新されるなんて期待してない? 関係ない話はするな? ごもっともです。


【追記】 2018/06/18 01:34

 emダッシュ記号(―)で書いていたつもりが長音符(ー)となっていた為に、emダッシュ記号(―)に差し替えました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ