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なんで僕がこんなところに!?  作者: 対子落とし
【第 1章】目覚めた先
10/22

1 ―  8 きっかけ

---チュンチュン


 朝の日差しと小鳥のさえずりで目を覚ました僕は、うーんと1伸びをする。少し経ったころにトントントンと3回扉を叩く音がしたので「どうぞ」と答える。すると真新しい侍女服を身に纏い清楚な印象を受ける1人の少女が入ってきた。


「お世話になります。本日よりお嬢様専属侍女を勤めさせて頂きます、クリスと申します。よろしくお願いします」


 部屋に入ってきて早々に、丁寧な自己紹介を始めた少女、クリスさんはまさに大和撫子という印象を受ける容姿だった。キレイな一礼も添えて。なんでまたそんな少女が? と思ったら、僕専属のメイドさんらしい。侍女というか、メイドさんのコスプレをしている少女みたいな感じがして、今の僕には親近感が湧くというか、親しみやすい感じがしていた。


「こちらこそ、お世話になります。サキ・アメリア・アテナ・オリヴィアと言います。これからよろしくお願いします」


 クリスさんに合わせて僕もベッドから立ち上がり、頭を下げる。


「頭をお上げください、お嬢様。私より立場が上のお嬢様がそのようなことを」


「あぁ、これは癖みたいなものでして」


「なら仕方ないですね。でもそれは直した方がいいと思います。今後のためにも」


「そうですね。ありがとうございます」


「「ぷっ、ははは」」


 今ので充分打ち解けた気がするからつい笑ってしまったけど、同じタイミングでクリスさんも笑っていた。


「それでは行きましょうか」


「そうですね。行きましょう、クリスさん」


 今のこの時間帯としてはちょうど朝食の時間。あっさりしていてシンプルな物がいいけど。


「私のことはクリスとお呼びください」


 えっ。初対面で呼び捨ては……。


「クリスとお呼びください」


「クリスさーーー」


「クリスとお呼びください」


「クリスさ」


「クリスとお呼びください」


「…………ハイ」


「では、行きますよ」


「……」


 怖い。かなわないな、と思った瞬間だった。




 そういえば、部屋着のままだけど着替えなくて大丈夫かな、と思っていたけど、そんなことはなかった。僕の歩くペースに合わせてくれているのか、クリスさんはゆっくりとした歩みで部屋を案内してくれた。さっきの部屋は寝室だったようで、僕の知っている寝室とはまた別の寝室だったみたい。しばらく歩いていくと見覚えのある箇所に着いて心が少し落ち着いたような気がする。じゃあ、さっきまで居た部屋はなんだったんだろう。今気にしても仕方ないか。


 僕たちは部屋に入ると、クリスさんは扉際に、僕は部屋の中央へと歩いていく。今はすごく明るめの服へ着替えたい気分だった。


「僕の物じゃないけど、僕の物みたいなものだし、別にいいよね」


 クリスさんに聞こえないように呟く。


 アメリアさんの記憶を頼りにクローゼットを見つける。見つけたクローゼットを開けると、そこには今の僕にちょうどいい大きさの服がハンガーに掛けられてキレイに並べられていた。そりゃあそうだ。アメリアさんのサイズに合わせられているのだから。ここはおそらく侍女の方々が掃除をしたり、整理整頓をしているのだろう。埃1つない。いつか僕もその知識を教わりたいと思っていた。それこそ掃除をしないと気分まで滅入ってしまいそうでやっぱり、自分の部屋くらいはキレイにしておきたいからね。


「うーん、どれを着ようかな」


 クローゼットを物色する。これとかどうかな。膝下まで届くかのような丈が長めの白のワンピースだけのシンプルなものになった。これで、いいよね。うん、これがいい。


「クリスさん、入って来てもーーー」


「わぁ! すごい! お嬢様! かわいい! かわいいです!」


 まるで待っていたかのような勢いで入ってくるクリスさん。ちょっとびっくりしてる。


 にしても……、アメリアさんの記憶を頼りに服を着てみたけど、足元がスースーする。こんなに心許ないんだ、女の子って……。時期慣れていかないといけないのかぁー……。うーん。


「クリスさーーー」


あっ、いけない。すごくいい笑顔! 目が笑ってない。怖い! 


「クリス。女の子って、大変だね」


「どうしたんですか、いきなり」


 まだ呼び捨てにすることには抵抗があるけど、呼び捨てにしたらクリスさんはいつもの、ってのも違う気がするけど、怖くない、さっきまでのクリスさんになった。


「僕のことは、お母様から聞いているのでしょう?」


「そうですよ」


「やはり、そうだったんですね」


 お母様……。でも、お母様が考えられていることも一理ある。親しい人、もしくは親しくなる人には言っておかないと、いつボロが出るか分からないというのもあるし。お母様はそういう根回しをされるのは助かるかな。


「という理由わけでお嬢様にはこれから女の子として生活してもらいます! ビシバシ指導して行きますので、覚悟しておいて下さい!」


「は、は、はい。お手柔らかにお願いシマス」


 前言撤回。僕の専属侍女ってそういうことだったんですね。生活指導というか、教育係みたいなものだったらしい。


 本当、お手柔らかにお願いします。

【初版】 2016/06/04 17:00

 更新、忘れている訳ではないですよ!


【追記】 2018/06/18 01:34

 emダッシュ記号(―)で書いていたつもりが長音符(ー)となっていた為に、emダッシュ記号(―)に差し替えました。

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