【プロローグ】それはもうあっさりと 1
ピピピピピッ ピピピピピッ ピピピピピッ ピッ―――。
あーもううるさいなぁ。今何時だろう? そう思って僕は目覚まし時計を見る。
目覚まし時計を見てみたら…… 朝7時(07:00)と表示が出ていた。
「うわっ、やっば!」
僕は飛び起きた。そう言うのは今日が月曜日だからだ。いつもなら時計が鳴る前に起きるはずなのに、なぜか今日は時計が鳴るまで寝てしまっていた。僕自身珍しいと思う。あれ、おかしいなー。昨日は早く寝たはずなのになぁ……。ちょっと時間は押してるけど、いつもやってることをやろう。そうしないといつもの僕の日常は始まらない。
さすがに部屋着のままだと出歩けないので着替えることにする。上は長袖の下着に長袖の青いラインが入ったシャツ、下はトランクスの下着に長袖の少しベージュかかった綿パンに着替えて、ついさっきまで横になっていた布団をたたんで押し入れにしまう。こうすると目が覚めるんだよね。寒い時もあるけど、もう慣れてしまったからついつい身体が動いてしまう。慣れって怖い。今は春先ということもあって少し暖かくなってきた、という実感がわく。
僕の家は2階建てのごくごく一般的な一軒家。両親が貯めに貯めたお金をはたいて土地を購入してこの建物を建てたらしい。
因みにうちの親は、父さんが大手一流企業の会社員でそこそこの立ち位置を築いているらしい。父さんと母さんは会社で親しくなって、いろいろあって付き合いだして、妊娠をきかっけに結婚したんだってさ。
父さんは朝早くて夜は遅く、父さんはこの時間にはもう家には居ない。それなりに忙しいみたいで、いろいろと父さんには聞くけどその辺りのことをちっとも教えてくれない。まぁ、そりゃそうか。疲れて帰ってきてるのに少しくらいは休みたいよね。もし僕か母さんに何かあったらかけつけてくれる優しい父さん。だから、いろいろとちゃちゃ入れると後が怖いし、何もしないでおこう。それが父さんのためになると信じて。
母さんは、父さんと親しくなって妊娠をきっかけに結婚。このことを会社に連絡して、退社とまではいかないけど「自由な時間に通勤してくれ」という形になっているらしい。なんてホワイトな企業なんだ……。なんでも父さんと母さん曰く「社員は家族のような扱い」らしく、もし何かあった場合はそれに合った支援もしてくれる、とのこと。それは今でも変わらずに続いている。なんてホワイトな企業なんだ……。最近よくブラック企業という話を聞くから、こういう会社は少ないんだろうなぁ、と僕自身は思う。なぜかはわからないけど、うちの親だけじゃなく、他の人も同じような待遇らしい。なんてホワイトな企業なんだ……。こういう会社に僕も就職して仕事してみたいなぁ、なんてぼーっと思うことがある。そのためには僕自身が勉強を頑張らないといけないんだけどね。なんでこの話を知っているかというと、偶然父さんと母さんが珍しく会社の話をしていたときがあって、その話を聞いちゃったというのもあるけど。
おっと、話が逸れた。
僕の部屋は2階建ての一軒家の2階にある。その2階には3つの部屋があって、東側と西側と南側にある。それぞれ同じ広さの部屋で、感覚としては建て付けのせいか、東側と西側の部屋が少し狭く感じる。まぁ、その広さに慣れちゃったからなんとも言えない。それで僕の部屋は西側の部屋になる。友人がよくうちに来るけど「シンプルだなぁ大地の部屋は」とよく言われる。確かに僕はシンプルの部屋が好きだから何も言い返せないけど。
また話が逸れた。
朝と言えば朝ごはん! ということでまだ眠気が残ってるけど1階に降りてリビングに行く。そうしたら母さんが朝ごはんの準備を終えて待っていた。
「おはよう」
「おっ、母さんおはよう」
「珍しいわね、大地がこの時間に起きるなんて」
「それを言わないで……。自分でもびっくりしてるんだからさー」
「ふふ、たまにはいいのかしらね?」
僕の名前は「佐々木大地」。ごくごく一般的な男子大学生。年は19で、市内にある大学に通っている。
今日の朝ごはんはマカロニをマヨネーズと和えたものと、キャベツとほうれん草をマヨネーズで和えたサラダ、それとごはんがテーブルの上に並べられていた。
「母さんの作るごはんはいつもおいしいから僕もうれしいよ。母さんみたいな人が欲しいなぁ」
「何言ってるのよ、自分で見つけなさいな」
「はいはい」
因みにこのやり取りはいつものことだったりする。母さんと似てる人を見つけたいなぁ、と心の奥では思ってたりする。それこそ大手一流企業に就職して相手を見つけるという手もあるっちゃあるけど、僕には無理かもしれない。ほぼ毎日大学には通ってはいるけど、なんとも言えないのが僕の学力。もっと勉強すればよかったかなぁ。それでも学年上位には居るけど……。
またまた話が逸れた。
「そういえば佳奈は?」
「もう学校へ行ったわよ」
「佳奈のやつ、今日は早いなぁ」
「そうねぇ、珍しいこともあるものねぇ」
佳奈のやつ、普段は僕より遅く家から出るはずのに、なんで今日に限ってこんなに朝早いんだよ……。そう、僕には1こ下の妹、佳奈が居る。この妹は何かことがあるごとに僕にいちゃもん付けてくるから困った妹に育ったものだよ、本当。……ん? ということは今日はもしかすると何かよくないことでも起こるのかな? そう思いながら僕は朝ごはんを堪能していた。
「それより大地、時間大丈夫なの?」
「ん?」
そう母さんに言われて時計を見ると、朝7時半(07:30)と表示が出ていた。思ったよりも時間が過ぎていたらしい。と何を思ったのか慌てて立ち上がろうとするとテーブルに膝を打ち付けたり、食べていたむせたり、朝からひどい目にあった。今日は何かよくないことが起こるということが確定したらしい。何もなくて家に帰られるといいけど……。
今日の授業は早めの時間帯にあるので僕はカバンを持って、携帯電話と自転車と家の鍵を取って忘れ物がないか確認して慌てて玄関から出て自転車に乗り、自転車を走らせて最寄り駅まで向かう。
僕のカバンの中はいたって普通。普通ったら普通。筆記用具とノートと、バイト用の荷物とか。例えそのカバンの中にモバイルバッテリーが3つあろうと、そのための補助的なUSBポートが2つある電源コンセントが2つあろうと、普通なものは普通。こらそこ、持ちすぎとか言わない。でも電源がないと宝の持ち腐れなんだけどね。大学とかバイト先とかにコンセントがあって、許可をもらって使ってるけどね! 先生とか、バイト先の先輩の目を盗んで携帯を充電している訳じゃないからね!
家から最寄り駅までの所要時間は自転車で10分、歩きで20分程度の距離にある。駅に着いたから自転車は駅近くにある駐輪場に停める。自転車を停めてはいるけど、定期じゃない、一時預かり。ここ重要。でも1回? 1日100円なので結構お財布事情を圧迫する。お金がなくなりやすいので、ご利用は計画的に。
なんとかいつも乗る時間帯の電車に乗れてよかった。目の前で電車の扉が閉まるよりかはましかと思って気持ちを切り替えたとき、ふと忘れ物に気付いて「あ、しまった、やっちゃったぁ」となった。携帯電話のモバイルバッテリーの3つあるうちの1つ忘れた……。僕の携帯電話ってすぐに電池なくなっちゃうから、必需品だったりする。まぁ2つもあるし、そのうちの1つを忘れても何も影響はないけどね。あ、それでもコンセントから電源を取れる2口あるUSBポートを忘れたのは痛いかも。明日もあるからなんとかなるだろうと、このときの僕はそう思っていた。
完結できるかなぁ、と。
はい、また勢いだけで書き出してしまいました。
今回は前回の書き物とは別のジャンルです。
こう、読み漁っていると書き出していきたくなる物ですよね!
そうですよね!
もともとはもうちょっと長かったんですけど、ちょっと長くなりすぎるので区切りを付けました。
こうすることによって多少は読みやすくなったはずです。