表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

人を愛すると言う事

作者: 坂本祐輔

人々の様々な恋愛の形が有りますが、人間として、

こうありたい、と、思う一人の人間模様を描いてみました。

人は誰でも人を好きになります。

人それぞれに、愛し方が違います。

でも、必ず相手がいるし、相手にも感情があるのです。それを無視することは出来ません。

この小説が、一つの愛の形として

受け止めて頂けたらと思います。

第1章 中学時代

勝には、好きな人がいます。

中学3年間、同じクラスで、隣の席の晶が、気のなって仕方ありませんでした。

美人で可愛いが、多少気が強く、おとなしい勝には、憧れでもありました。

常に妄想を膨らませて、将来は、友達から、親友、

恋人、そして結婚、また2人の子供、夢は限りない。でも、何も進まない。

隣同志での、何気ない会話が唯一の楽しみでした。

また、年に一度だけ、年賀状を書いて、その返事の年賀状を、机に飾って眺めているのが楽しみでした。年賀状も3枚になりましたが、何も進展しないまま、卒業が間近に迫っていました。でも、

おとなしい勝には、告白など出来るはずなどありませんでした。何も出来ないまま、晶は名門女子校へ行ってしまいました。

第2章高校時代1

もう、会えない悲しみが、勝のイライラが頂点に達した時、勝にも信じられない過激な手紙を書いていました。その内容の一部が

『君の為なら、死ねる』それくらい晶を愛していた。手紙を出してから、一週間後に返事がきた。

手紙の中身は、『これからも、よい友達でいましょう』的な内容でした。また、『一度、家へ遊びに来ませんか』とも書いてありました。

晶の本意など解らず、次の日曜日に晶の家へ出かけた。

家のブザーを押すと、晶が笑顔で『いらっしゃい、どうぞ』と、言ったが、家には晶しかいないらしく、為らったが、次はないと思い、『失礼します』と、言って上がった。

彼女は笑顔で迎えてくれたが、晶の顔を見たら何も話せなくなってしまった。沈黙の時間だけが過ぎて行く。しかし、勝には、一緒にいるだけで幸せだった。彼女も気を使って、慣れない手つきでリンゴを剥いてくれた。晶には、勝の知らない一面があることを知った。

電話は、父の会社の直通の電話だけ?

テレビは、NHKの『ひょこりひょうたん島』がかかっていた。NHKしか見ない家族?

勝には、全然違う生活習慣に驚いた。

そんな事を考えているうちに、母親が買い物から帰ってきた。母親も笑顔で『いらっしゃい』と、優しく言ってくれた。

どうやら、手紙の事は知っているらしい。と、直感した。恥ずかしくなって、挨拶だけ済ませて帰った。帰ってから、彼女が誰もいない所へ上げて叱られなかったか、心配になった。

でも、一緒にいられた幸せが、他の事は気にしなくなってしまった。

その事が、勝をどん底へ引きずり込もうとは、知るよしもなかった。

第3章高校時代2

晶の本意などお構い無しに、勝は、名門女子高の

文化祭に出かけて行った。

晶が、書道部に在籍しているのを聞いていたので、

探していると、勝に気がついて笑顔で接してくれた。また、学校内を案内してくれた。その一部屋で

映画を上映していた。中に入れると少し混んでいた。薄暗く回りはカップルばかりだった。

女子高だからか、ロミオとジュリエットを上映していた。混んでいたせいか、晶の腕が勝の腕に触れ合って、凄く興奮してしまった。映画どころではなかった。

一瞬、手を握りたい願望が頭を過った。

『握りたい、握りたい』『今だ、頑張れ』

もう一人の自分がハッパをかけてきて、頭に血が上ってしまった。

『よし、やるぞ』と、思った瞬間、教室が明るいなった。映画が終わってしまったのだ。顔が赤くなっているのがわかったので恥ずかしかった。

でも、一緒にいられただけで幸せでした、

あの言葉を、言われるまでは!

夕方になり、帰ろうとした別れ際に一言、

『もう、いいでしょう』

と、勝は一瞬、何がどういう事なのか解らなかった。でも、晶が勝に好意を持っていなかった事だけは理解出来た。ショックだった。

勝がしてきた事は、一つ間違えば

ストーカーではなかったかと!でも、勝は学んだ、人を愛することの難しさを。

好きになっても相手が好きになってくれるとは限らない。晶がとった行動は、親友として最高のもてなしをしてくれた、大人の対応ではなかったかと!

勝は、今でも、いや一生好きな気持ちは変わらないでしょう。でも、一つだけ変わった。

晶に、つきまとわない事が、晶の幸せであり、

晶の幸せが、勝の幸せである事を。

遠くから見守る事が、勝の幸せである事を感じた。

でも、分かっていても、失恋を受け入れるには、

時間をかかった。

第4章社会人

あれから8年が過ぎた。勝も、それなりに恋愛をしてきた。

年上に憧れて付き合ってみたり、綺麗な人を見ると、ときめいたり、お見合いもしてみた。

何となく気が合う女性と結婚し、子供も2人 授かった。それなりに幸せでした。そんな時、中学生の卒業名簿が届いた。

みんな何をしているのかなあ、と、興味本位で申し込みをしたのを忘れていた。

何気なく見ていると、晶の名前に目を止まった。

結婚していた。住所も北海道になっていた。何故か、また、晶の事が気になりだした。

勝は、家の家業を継いで、小売店を経営しているため、自由な時間をがあまりとれないが、バブル時代のせいか、金には不自由しなかったので、興信所に頼んで調べてもらった。

父親は大木優、母親は晶、子供は晶子、父親は銀行員でした。バブル時代は銀行員はな生活で、かなり遊んでいるようですが、幸せに生活をしているようなので、安心した。

今では、晶の幸せが、勝の幸せに感じられるようになりかけていたから。

第4章社会人(出合い)

それから、また、18年が過ぎた。

バブル時代も終わり、世の中が不景気になっていた。

しかし、勝はおとなしかったせいか、投資などせず、バブルの乗り遅れたせいか、逆に借金などなく、今では、5店の大手コンビニエンスストアーを経営するオ―ナ―になっていた。

そんなある日、店を回っていると、一人の女子大生が面接に来ていました。茶髪、厚化粧、爪にはネイル、ちょっと不良っぼい、派手な身なりをしていました。店長から『どうしますか?』と、相談を受けた時、何となく晶に似ていたため、『試用期間で採用してみたら』と、言ってしまった。あれほど厳格に採用するように言っていたのに。

仕方なく、時間を見ては彼女の指導を始めた。

名字も、大木と同じだったせいかもしれないが、

『晶は北海道だし!』と、あまり気にしなかった。

最初は、不良っぼく取っつきにくかったが、客に対しての接客は、丁寧だった。次第に打ち解けるようになると、家庭の事を打ち明けだした。

父親の仕事が上手くいかず、何か

と母親に当たるため、耐えられず、大学の寮へ逃げてしまった。家には帰りたくないので、大学を卒業したら、就職して、一人住まいをする予定だそうです。でも、

母親とは連絡を取っているようです。

勝も今では、2人の子供の父親ですから、

彼女の父親が、心配でたまらない事、彼女を小さな頃から、大事に育ててくれたから、今の君がいる事、などを話しているうちに、少しではあるが、父親への考えが変わったように思えた。

そんなある時、店長から、彼女が無断欠勤を、していると、連絡してきた。電話しても連絡がとれないとのことでした。勝が電話してもなかなかでなかったが、何とか連絡が取れ会う事が出来た。

彼女には憧れの先輩がいるけれど、先輩には、好きな人がいて、付き合い始めたらしい事が分かり

落ち込んでいた事が分かった。勝には、まともなアドレスなど出来ないが、

『今の気持ちを素直に、告白してみたら?』

『そして、辛い結果になるかもしれないが、ケジメをつけた方が、いいと思うけど!』

勝も昔、失恋した時の事を話し始めた。

立ち直るまでに、何年もかかった事。

でも、彼女の幸せが、勝の幸せであり、

彼女の笑顔が、勝の幸せであり、

彼女の不幸が、勝の不幸であり、

彼女の嫌がる事、勝には耐えらない。

数十年経った今でも愛しているが、心の奥に閉じ込めて、彼女の幸せを願っていることを。

君には、今は理解できないと思うけど、君はまだ若い、これから新しい恋の訪れが、沢山あるのだから。

第6章再会

少し経ってから、店長から連絡 があって、また、

真面目にバイトに来るようになったらしい。

勢いで昔の事を話してしまったため、照れくさくなって、店へは行かなくなった。

それから、彼女が卒業してバイトも辞めて、一週間が経った頃、店長からオ―ナ―にお客様が来ていると、連絡があり、店へ行って見ると、

中年のスタイルの良い、綺麗な女性が待っていました。何となく懐かしさを感じた。

晶だ!何故、晶が目の前に。

呆然として、言葉のでない勝に、晶から、

『久しぶり、娘がお世話になりました。』

その言葉で理解出来た。バイトの彼女は、晶の娘だったのだ。名字しか知らず、履歴書を見なかった勝は彼女に昔の事を話してしまった。

彼女は、母親の晶に、『バイト先のオ―ナ―にアドバイスしてもらったから、お礼して。』と、言われたらしい。

彼女から、恋愛の話を聞いて『もしや、勝では、』

と、思ったそうだ。

父親は、バブルが弾けて、銀行員には辛い締め付けがあって、何かと晶に当たっていたらしい。でも、

今では反省しているとの事。また、娘も父親との

わだかまりもとけ、自宅から、会社へ通っているとの事。そして、最後まで晶から、

『ありがとう、これからも親友ダヨ』と、言ってくれた。

これが、何年も探し求めていた、

勝の最高の幸せの瞬間でした。

人、それぞれに愛の形はあるが、

必ず、相手にも感情があります。

それを無視するのは、本当の愛ではないと思う。

好きになった人が幸せに成る事が、本当に、自分が本気で好きになった証ではないでしょうか。

私達は日本人です。相手を思いやる気持

忘れないで欲しい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ