☆03☆
「だってあたし達付き合ってるじゃない」
「付き合ってる?何、勝手に決め付けてるんだよ!」
「拓郎君、この前言ったじゃない…ヤセたら付き合ってくれるって…」
「あれは美代子が嘘でもいいから言えって言ったから、言ったんだよ!」
「じゃあ嘘だったの!?あたしを騙したんだ!あたしは真剣なのに…」
「は!?意味わからん事言うな!大体そんなセリフはヤセてから言えよ…」
「ヤセたわよ。昨日がんばってヤセたわ。あなたに好かれたい為に…学校まで休んで…好きだから…」
「…?」
…俺は意味が解らなかった。
美代子が言ってる事は単に俺をからかってる様にしか見えない。
でも、彼女の表情は本物に見える。
演技がうまいだけなのか?
もう、とにかく俺は笑ってしまった……。
「あっははは…。もうやめようぜ、こんな事…。
お前も何ムキになってんだよ。もう終わり!やめだ!やめっ!」
「………。」
「とにかくっ!あんな噂はもう流さないでくれよ。俺帰るから」
そういって俺は帰った。
美代子はうつむいたまま小声でブツブツ言ってたが俺は気にしなかった…。
〜♪ξ♪〜(着信音)
「ん?携帯か?」
俺は携帯の画面を見た
‥非通知着信‥
(ん?)
とは思ったが俺は携帯に出た
“ピッ”
「はい、もしもーし」
…………。
「…?お〜い、誰?」
……もしもし。
あたしだけど…
「…み、美代子?」
♪ピンポーン♪
さっすがぁ!よく
あたしの声って
気づいたよね〜
「ーっていうかさぁ…何で俺の番号知ってんの?」
そりゃあ好きな人
の番号くらい知っ
てるわよ〜
「普通さぁー本人の許可をもらうだろ?」
それよりあたし
さっき拓郎君が
何に怒ってたの
かわかったの…
「はあ…!?」
ただそれが
言いたかったの
じゃあね!
“プッ!ツー、ツー、ツー…”
「…ばかじゃないの あいつは…」
俺は一人携帯につぶやいていた…。
そして、辺りは真っ暗になっていった…。
その翌日
「みんな聞いてよ!あの噂はデマだから!
俺は美代子とは付き合ってないからな!」
俺は立ち上がってみんなに聞こえるように言った。
もう耐え切れなかったからだ。
「ホントなの?美代子、森下君とは付き合ってないの?」
愛子ちゃんが美代子に聞いているのが聞こえた…。
「………うん。」
「ちょっとぉ!何であんな嘘つくのよ!」
「あんたさぁ、自分でどんな姿かわかってんのぉー!
嘘なんかつくと余計醜くなるだけじゃん!!」
一気にクラスの皆から美代子に文句が押し寄せた。
愛子ちゃんは必死に美代子をかばってたが収まりが効かない状態だった。
突然、美代子が泣きだした。
「美代子、外に行こう今は出ようよ…」
愛子ちゃんは美代子を引っ張り俺の方へやって来た。
「森下君、みんなの前で言うなんて…。最低…」
今までに見たことのない顔で
俺を見てそう言った。
そして二人は教室を出ていく…。
俺はショックで突っ立ったままだった。
「………。」
大体何で俺があんな事いわれなきゃいけないんだ!?
悪いのは俺じゃない…俺だって被害者なのに…。
あの天使のような笑顔を曇らせてしまった自分に
嫌悪感が押し寄せ、俺はヤリ場のない怒りと戦っていた…。
どんどん絡まっていく糸。
…どこで切れるかな?