☆20☆
「はぁ…はっ…」
俺はとにかくドアの方へ歩いた…。
何故かしらないが美佐子は炎の中に引きずり込まれた。
今が逃げるチャンスだ…!!
…拓郎くん…
「…え…?」
…ごめんね…。
俺は声の下後ろを振り返る。
だが誰もいない。
火と煙の中で聞こえた俺の幻聴…
…まちがいなく美代子の声だった。
ブオォォーッ!
「はっ…はっ…」
ブォォォォーッ!
「はぁ…もうダメだ」
もう少しでドアという所で、俺は倒れた…。
煙と熱さのせいでほとんど意識がなくなりかけていた。
愛子ちゃんは目を開ける様子もなく、死んだように眠っている。
「はっ…はっ…もう…ダメだ…」
ブォォォォォォ−ッ
その時…
「おいっ!大丈夫か?おーい…ここだ!」
ドアをやぶってはいって来たのは刑事さん達だった…。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「おいっ!意識はあるか…?」
「…はあ…はあ…」
「こっちには女の子がいます…!」
「…はぁ…愛子ちゃん…はぁ……」
「こっちには焼死体があります…!」
「とにかく彼らを運ぶんだっ!!」
「はいっ!!」
こうして
俺と愛子ちゃんは無事に救出された…。
数日後。
俺と愛子ちゃんはある病院に入院していた。
軽い火傷で済んだが、大事をとってしばらく居る事になった。
「…外はいい天気ね。あの時がまるで嘘みたい…」
「うん…そうだね…」
俺と愛子ちゃんは外に散歩に出ていて、先日の火事の時に
美代子に助けられたこと話した。
「信じられない…。美代子に助けてもらったなんて…」
「…ああ…俺もだよ。けどホントなんだ…。
あんな狭い家なのに俺達に火は来なかった……
俺が必死にドアだと思って歩いてたトコはあの巨大な冷蔵庫だったんだって!
冷気のおかげで火が防げたんだってさ。
しかも俺のロープ解いたの刑事さんと思ってたけど
誰もそんな事していないって言うから…もしかすると
あれはけんじだったかも知れない…」
「…助けられたのね…わたし達…。」
「ああ…!感謝しないとね…」
愛子ちゃんは一歩先に歩くとこっちへ振り向いた。
「でも、わたし達助かって良かったの?」
「…良かったんじゃない?一応、俺達ふたりが結ばれたって事はハッピーエンドだろ?」
「…う〜ん…」
「…愛子ちゃん…君が生きろと言ったんだよ?けんじと美代子に助けてもらったんだからさ…」
「…そうだね…」
俺は力強く愛子ちゃんを抱きしめた。
「…愛子ちゃん…ずっと好きだった…」
「…わたしも…」
そういって俺達はキスをした…。
今までにないような解放感いっぱいの愛のあるキスを…
「…拓郎くん…これプレゼント…」
「お?なに?突然…」
「ホラ今日で付き合って一ヶ月じゃない?だから…」
「マジで?俺は用意してないよ…ごめんね。中身はなに?」
「ふふ…開けてみて。」
俺は愛子ちゃんからもらった箱を開けた。
「……お。これかぁ〜…なるほどね。」
「ふふ…なるべく生きてる時と同じ姿の方がいいかな?って…」
「だから『姿焼き』なんだね…?うまそう…」
「うん…うまそうな…『ねずみ』でしょ?」
「もちろん、味付けは『キムチ』だよね?」
「もちろん!ねぇ!今食べてみて!」
「…じゃあ一緒に食べよ…」
「…うん。」
俺と愛子ちゃんはその『ねずみ』をゆっくりと口にする。
「やっぱ、うまいわ。肉は…」
「うん…そうね。これも美佐子さんのお陰よね。こんなおいしいモノを教えてくれたんだから…」
「そうだな。あんなに…『人間』がうまいなんて知らなかったし…でも…これじゃあ物足りないよ…」
「…そうね。ホントに食べたいモノはアレだもんね…」
そういって愛子ちゃんは目の前にある公園を指差した。
「…ああ。そうだな」
「…きっとおいしいはずよ…」
すると、立っている場所にボールが転がって来た。
「………。」
奥から小学5、6年の男の子が走ってきた。
俺と愛子ちゃんは顔を見合わせ、ゆっくりと唾を飲み込んだ。
「…もう限界よ…拓郎くん…3日も寝てないの…あなたならわかるよね?」
「…ああ。でも…これはいけない事だよ…やってはいけない…」
「すいませーん。ボールこの辺で見ませんでしたか…?」
男の子は息を切らしながら声を掛けて来た。
「…見たよ。…向こうにあるよ。一緒に探してあげる…」
「ありがとうございます。」
男の子はニコリと笑ってボールを探し出した。
「…いけない…いけない事なんだ…」
俺はそう言いながら男の子の頭くらいの大きさの石を持ち上げ、男の子の頭に勢いよく振り下ろした。
ゴンッ
「…いけない事なんだ…いけない…」
俺がそう言うと愛子ちゃんはニッコリと笑い、
「おいしそう…。」
…と一言呟いた。
END
王道なパターンで終わってしまいました(笑)
ぜひ、感想をくださいな♪
ここまでよんで下さってありがとうございました。
また近い内にお会いしましょう!




