☆16☆
「ホンキで言ってるのか…?」
俺は次々と服を脱ぎ捨てる美佐子に問いかけた。
「ねえ、拓郎君あなたは女の子と経験あるのかな?」
「やめてくれ!俺は好きな子じゃなきゃカラダの関係は持ちたくないんだ…」
「ふふふ…それはりっぱな心がけね。そういう拓郎君って好きよ。
でもね、さっきも言ったようにあたし達には時間がないの…あたしは拓郎君とひとつになりたいの…。」
そして、美佐子はスカートも脱ぎ下着姿になった。
「…美佐子!やめろよ!」
俺は美佐子を見る事ができないので顔を背けた…。
だが、その先には美代子の遺体があった。
俺はそこの美代子を見つめ、
「み…美佐子…」
「…ん?なあに?」
「……その前に……美代子を元の場所に戻してくれないか?
それじゃあ、集中できないよ。」
俺は美代子を指差しながら行った。
「…あ・それもそうね…。待ってて今、戻すからさ。」
そういって美佐子は美代子をビニールに包み奥へ引きずって行く……。
俺は視界を360度見渡す、
(な、なんとか…逃げださなきゃ…っていってもこれじゃあ…
なんか…なんか考えなきゃ!…)
だが、どうする事もできず美佐子が戻って来た…。
「さあ、始めましょ。でも手足のロープは解かないからね。あたしがリードしてあげる。」
美佐子は俺の上に乗り胸を顔に押し当てた…。
「どう?女の子のムネってやわらかいでしょう?気持ちいい?」
「うが…が…ふが」
「あはは…やだ、くすぐったいわよ」
その時ドアをノックする音が聞こえた…。
トントントン
「美代子〜?私よ!愛子だけど…」
その声に俺はすごく反応してしまう。
(…!… 愛子ちゃん!?)
俺の表情を見て、美佐子は面白くない。
「…ちっ!何の用なのよ。こんなイイ時に…でも、ムシしちゃうか…?」
「ねえー!いるんでしょ?わかってるのよ!」
そう言って何度もドアを叩く愛子ちゃん。
「…あ〜もう、うるさい!いい!?あなたは隠れてて!
…余計な事したら愛子の命はないわよ!」
「…わかった…」
美佐子は服を着て玄関へ向かった…。
ガチャ
「どうしたの?愛子…」
息を切らしながら愛子ちゃんは言い放つ。
それとは対照的に美佐子は冷静そのものだった。
「…ねえ!ホントは知ってるんでしょ?
拓郎君やけんじ君の居場所…!何をしたの?あの二人に…」
「………。」
「あなたが何かを隠してるのはわかるの!」
「…何の話?なに言ってるの?」
「いいから!中に入れて!」
愛子ちゃんは隙間から部屋に入ろうとするものの
巨大な身体には太刀打ちできない。
「…今散らかってるし、部屋の中じゃなく、どこか外で話しようよ」
「いいの!散らかってても…。とにかく入れてよ…」
「……ふぅ。仕方ないわね。それじゃあ上がって…」
愛子ちゃんはまさか目の前に俺やけんじがいるなんて思ってないんだろうな…。
「とりあえず、上がって…」
「…うん…」
「まったく愛子もひどいわね…あたしが犯人だと決めつけるなんて…」
「…可能性があるのはあなたしかいないもの…」
ガチャッ…
美佐子はドアの鍵ゆっくりと閉めた…。
部屋に入ると、愛子ちゃんは美佐子を見つめ、
「美代子…お願いだから正直に答えて!ホントは森下君の居場所知ってるんでしょ?」
「……さあ。」
「嘘よ!あなたは何かかくしてるっ!」
「なんでそんなに必死なワケ!?」
「…え?」
「愛子…あなたこそ正直に答えて…
…好きなんでしょ?拓郎の事…」
「………。」
「黙ってないで何とか言ってよ…」
「……好きよ…」
「知ってたわよ!前からね…!全く同じ人を好きになるなんて気の合った友達も問題よね?」
「……それは前にも言ったじゃない…まさか…あなた…」
「だからと言ってあたしは何も知らないわ!」
「あなた誰?」
その言葉に美佐子は目を見開く。
「………あたしが誰に見えるの…?」
「違う…あなたは美代子じゃない…」
「どう見ても美代子でしょ?…何を根拠にそんな事言ってるの?」
「あなた…美代子まで隠してるの…?返してっ!私の友達みんな返してよ!」
愛子ちゃんは美佐子の肩をつかんで叫んでいた。
「返してっ!!みんな返してよっ!」
叫び散らす愛子ちゃんに美佐子はどんどん表情が変わって行った。
俺は心から愛子ちゃんに『逃げて!』と念じた。
あいつは危険だ…愛子ちゃんにはこの部屋からさっさと出て行って欲しい。
だが、どうする事も出来ない。
俺は…目の前にいるのに…。
「どこ?どこなの?森下くんや美代子は…」
「…だからあたしが美代子ってば。」
すると、愛子ちゃんは家中動き回り何かを探し始めた…。
「拓郎くぅ〜ん!美代子!けんじくん!」
「はあ…しょうがないわね…」
そういって美代子はポケットからスタンガンを取り出した。




