☆15☆
「え!?どういう事?だって…どう見たって…美代子本人にしか…」
「だからぁ、双子だって事よ!
美代子とあたしは双生児なの…あははは…
そっくりでしょー?顔も体形も身長も…
両親でさえ時々まちがえるくらいだもの…わかるはずないわ…」
俺は美代子…の顔をマジマジと見つめた。
美代子は満足そうに笑みを浮かべている。
「…ホントに美代子じゃないの…?」
「…違うわ。信じなくてもいいけど…」
「…じゃあ納得行かないな。もし美代子じゃないなら、何故俺をこんな目に合わすんですか?
美代子ならともかくお姉さんには関係ない事じゃないですか…。」
それを聞いた美代子は…いや、美佐子はいきなり立ち上がった。
「関係ない!?大アリよ!あなたはあたし達二人を壊した人なのよ!
あなたがいなければあたし達は苦しまずに済んだのに…!」
「俺が何したって言うんだよっ!美代子はどこにいるんだ!?
ここにはいないのか?」
「………いるわよ。…今…連れて来る…」
そういって美佐子は奥の方へ消えていく。
(まさか…姉妹でツルんでたとは…)
俺はあまりのショックに呆然としていた…。
すると…
ズル…ズズズ…
(ん?何の音だ…?)
ズ…ズズズ…
「うっ…くく…」
美佐子が何かを引っ張って来た…。
「お・おい…何を…」
その瞬間、俺は凍りついた…。
「よいしょ…ホラ…連れて来たわよ…」
「…まさか…」
美佐子が引っ張って来たのは巨大なビニール袋…
「そうよ…これが美代子よ…。最近死んだのよ…」
「うわぁぁぁーっ!」
俺はこの部屋に来て一番の叫び声を上げた。
「けんじ君にこれを見られたのよ。最初はヒヤっとしたけど死んじゃったしね…」
「…ああああ…う…な・なんでお前は冷静なんだよ。仮にも妹だろっ!」
「…冷静?あははは…冷静ならなきゃアンタとっくに死んでるわよ…!
いい?これだけは言っとくわ!美代子の死因は自殺よ!原因はアンタ!」
「…………!」
「美代子は最近、アンタに告白したよね?
だけどアンタは断った…翌日、美代子学校に来なかったの覚えてる?
その日…美代子は手首を切って自殺したのよ…。」
「……!」
「アンタが断る理由はわかるわ…。だってあたし達見てのとおりブスだもの…それも双子そろって!
醜い肉の塊みたいにさ!…あの子は思い込み激しいトコあるからアンタに切られたらもう何もなかったのよ…!」
美佐子は泣きながらビニールを開けていた…。
「…あたしは正直、人間不信だから恋なんて出来ない…だけど美代子は違ってた。
あの子はちゃんと拓郎君に恋してたし愛してた…。
美代子にとってはあたしよりも拓郎君が全てだったのよ…!」
ガサガサ…
そのビニールから美代子の顔が出てきた…
そこの巨大な冷蔵庫に入れてあったお陰か、まるで眠っているかのようだ。
「…あたしにとっては美代子が一番だった…ずっ−と二人で生きて来た…理解し合ってた…
だから…アンタが許せなかったの!
…でもこのままじゃ美代子が可哀相…少しでも拓郎君に近づけようと思って……んふふ」
「…?…何が言いたい?」
「入れたのよ…あなたの弁当に毎日…
美代子の体の一部を…!
美代子はあなたの体の栄養となってるの…あはははは…」
「う・うそだっ!」
頭が真っ白で無意識にそう叫ぶ。
叫ぶ事によってショックを和らげたかも知れない。
「おいしかったー?あはははは…」
(俺が…美代子を…?)
今度はすごい吐き気に襲われた…。
「うっ…!おぇぇ」
「あははははははは…でも吐いちゃダメよ!せっかく作ったんだから…」
俺は押し寄せてくる嘔吐をこらえようとバランスをとる。
だが、目の前にある『おかず』が目に入るや否や嘔吐物が口から飛び出た。
「…おえええ…お前は人間じゃないよ!…ごほっ…美佐子!狂ってる…」
「…そうね。あなたに狂わされたもの…」
「…はあ…はあ…」
美佐子は美代子を大事そうに支え説明する。
「ほら見て…右半分無くなってるでしょ?ここをね、
キムチ漬けにして焼いたら最高だったでしょ?愛子も食べたのよ…」
「…はあ…はあ…」
「……最初はアンタに復讐するつもりで近づいたわ…。
でも何でだろ、美代子が乗り移ったみたいに今はアンタが好きなの…愛しいのよ…」
「…はあ…はあ…」
「好きよ。拓郎君」
美佐子は俺にキスをした。
「んぐぐぐ…」
「…あたし達にはもう時間がないの…だから…」
「だから…?」
「カラダも…愛し合いましょ…」
そういって美佐子は服を脱ぎ始めた…。




