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12話



 「計算外だった、とは言わないが」

 天変地異を起こした回数は数知れず。

 山が平地になったとか、昨日まで無かった大樹が立っていたとか、竜巻が一国を壊滅させたとか、数えだしたら私の精神上よろしくない……ので頭から無理やり追い出す。


 「危険な芽は早めに摘んでおくにこしたことは無いのだが」


 マナを巻き込んで全面戦争に挑んでいいものかが悩みどころである。

 できるだけ正式な契約を結ぶまで、否、本当にできるなら、一生関わりたくない。


 「不可解なことが多すぎるだろう」

 「普通じゃないからな、あの男」

 複数の契約は理論上不可能ではない。

 ただ、それは机上の空論なのだ。


 「人外か、ソイツ」

 「普通の魔女だ、見た目も、力も―――アイツ自身はな」


 自身の身の丈に合わない相手を選べば相手の魔に浸食されて、最期は自我を保てなくなる。

 複数であった場合は全員の契約者の魔の合計と対等の力の無いものはその対象だ。

 よって膨大な量の魔を持ち合わせなければ契ることは不可能に等しい。


 兄から得た情報はとんでもないものだった。


 ―――魔女の血を啜って、力を得ているらしい

 「ニオイが混ざっていた」

 

 血肉に同じものなど存在しない。

 混ぜれば違和感が付くものだ……同族殺しは余計に。

 戦場に立って生き残った者が平和な世界しか知らない者に馴染めなくなるように。

 今までの姿が変質してしまう、そんな行為だ。


 「魔女の血は魔そのものだったな?」

 「そうらしいね。血を飲み干すことで魔を得るらしい……俺を呼び出したのは確か3年前だ」

 噂にはあった、吸血行為。

 魔を奪い取るというおぞましい行為ではあるが力を増すための方法。

 「私はてっきり眉唾とばかり思っていた」

 「そんな悪趣味なことする奴程小物だからな、俺らには縁が無かったんだろう」


 ―――あんまり、深入りすんなよ


 それだけ言い残して、アポロンは消えた。

 「分かってるさ」


 『腕の中にいる子供に、深入りすべきではない』


 彼はそう言いたかったのだろう。

 けれど、人はこんなにも脆いではないか。

 死神さえも避けて通る私に何を恐れる必要があろうのだろうか。


 「大丈夫、何も不安に想うことなど無い」 

 誰に聞かせるでもなく呟いた。



12/10/25 改

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