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戯曲 ドラキュラの夜回り

作者: 宇占海
掲載日:2026/08/10

場所 ドラキュラ城


登場人物

 ドラキュラ伯爵

 ドラキュラ城に居候している大こうもり


第一幕 夜のドラキュラ城

(ドラキュラ、こうもり登場)


ドラキュラ それじゃあ私はこれから、街へ

 人間の血を吸いに行ってくる。


こうもり 行ってらっしゃい。

 ・・・あ、そうだ。

  ドラキュラ伯爵。今夜も出かけるのなら、

 これを持っていってください。


ドラキュラ 何だ、これは?


こうもり  拍子木(ひょうしぎ)です。


ドラキュラ 拍子木?


こうもり  今日は夜回り当番の日です。

  街に着いたら、

 「火の用心、さっしゃりやしょう」と言って

 拍子木を鳴らしてください。


ドラキュラ なるほど。

 「火の用心、さっしゃりやしょう!」

 チョンチョン、とやれば良いのだな。

  分かった。

  それじゃ、行ってくる。


 (幕)



第二幕 数時間後のドラキュラ城


ドラキュラ ただいま。


こうもり  お帰りなさい。


ドラキュラ 今夜は全然血を

 吸えなかった・・・。

 「火の用心、サンマ焼いても家焼くな!」

 チョンチョン、とやりながら

 空を飛んでたら、

 それでドラキュラが来たって分かって、

 街の人がみんな逃げてしまうんでな。

  一人も血を吸えなかった。


 ・・・お前のせいだ!

  お前が夜回りをやれなんて言うから!


こうもり だって、仕方ないでしょう。

  町内会の決まりなんだから。

  当番の日は夜回りをするって規則なんです

 から・・・。

  それに、あなたはいつも夜出かけるん

 だから、ついでに夜回りぐらいして

 くれたって良いじゃないですか。


ドラキュラ お前がやれば良いだろ!


こうもり  僕は駄目です。

  こうもりが街中で

 「火の用心、マッチ一本火事のもと!」って

 言いながら飛んだら、

 それこそ街の人達がみんなびっくりして、

 大騒ぎになりますよ。

  その点、ドラキュラ伯爵は人間の格好

 してるから問題ないと思いまして・・・。


ドラキュラ 問題ないわけねえだろ!


こうもり  分かりましたよ。

  今度は僕が夜回りに行きますから・・・。


 (幕)



第三幕 次の夜のドラキュラ城


こうもり  ただいま。


ドラキュラ お帰り。夜回りはどうだった?


こうもり  街の人達に喜ばれました。


ドラキュラ 喜ばれた?


こうもり  僕が街に行ったら、街に

 こうもりのゆるキャラが来たと

 勘違いされたみたいなんです。

  みんなで僕を取り囲んで、

 「こうもりって、こうやって見ると意外と

 かわいいね」とか言われて、くすぐったい

 感じでした。

 「今度は、子ども達が起きてる昼間に

 来てくれ」とも言われました。


ドラキュラ そうか、良かったな。


こうもり  何しろ僕は、ドラキュラ伯爵と

 違って人の血を吸いませんからね。

  その代わりに、街にいる蚊を食べて

 皆に感謝されました。

  どうです?ドラキュラ伯爵もこの際、

 人の血を吸うのをやめて、僕みたいに蚊を

 食べることにしては?


ドラキュラ それは勘弁してくれ。

  私が蚊を食べたらそれこそ、架空(蚊食う)の

 人物になってしまう。

おあとがよろしいようで。

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― 新着の感想 ―
ドラキュラとこうもりの愉快な会話が良い。 街の人達の反応が違うのが読んでいて面白い。 落語のような見事なオチで良かったです。
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