一日クラスメイトは紙飛行機に乗ってやってくる
「何だ、あれ ... 」
オレ、瑞木葵は学校へ行く途中、何かが空を飛んでいるのを見た。
「紙飛行機?でも ... 」
"紙飛行機"には緑色の目の女の子が乗っていた。
「 ... っていうか、あれうちの制服 ... 。」
「ねぇ、知ってる?転校生が来たんだって。」
「知ってる~!緑色の目の女の子なんでしょ~。めっちゃ気になる~!」
クラスは転校生の話で賑わっていた。
そして、先生が教室に来てホームルームが始まった。
「 ... では、皆さんに転校生を紹介します。」
そして一人の女の子が入ってきた。
「転校生の楠浦未麻さんです。」
(この子、紙飛行機に乗ってた子じゃん。)
「楠浦さんの席は ... 瑞木さんの隣ね。」
「えっ」
楠浦はオレの近くまで来て、「よろしく」と言った。
「瑞木さん、少し聞きたいことがあるんだけど。」
楠浦はそう言ってオレに変な質問をした。
「このクラスにいじめはある?」
「それは ... 」
「ないよぉ。ねぇ、みんなぁ。」
質問に答えたのは鈴木陽萌だった。
「そ、そうだよ ... 。」
楠浦はそれを見て、
「 ... ふ~ん。」
と言った。
そして、鈴木に近づいてこう言った。
「嘘つき。」
「 ... はぁ?」
「この状況を見て、誰があんたはいじめ首謀者じゃないって言えるの?」
「 ... ぷっ、あははっ。じゃあ逆に聞くけどぉ、それがわかったからってぇ、どうやって告発するんですかぁ~。まぁ告発したって意味ないけどぉ。」
「どういう意味?」
「パパはぁ、この学校のエラい人だからぁ、全部揉み消してくれるんだぁ。」
それを聞いて、楠浦はポケットから何かを取り出した。
「 ... なぁに、それ。」
「ボイスレコーダー。」
「はぁっ!?」
「全部録音しといたから。これを国のエラい人に見せたらあなたたちは終わりだね。でも別にいいよね?"パパが全部揉み消してくれる"んだもんね?」
「楠浦、お前は何者なんだ?」
(転校初日にボイスレコーダーを持ってくるとか普通じゃない。)
「父が国の"エラい人"でね。私は父の命でいじめのある学校に行ってさっきみたいに証拠を集めてるの。」
次の日、ニュースでは鈴木の父親の謝罪会見が放送されていた。
先生は楠浦が転校したことを発表した。
楠浦は今日もどこかで、紙飛行機に乗っていじめの証拠を集めている。