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1.ジルと桜の出会い

 ここは、大型ショッピングセンター。僕は、子犬の()()()()()。犬種はゴールデンレトリバーだ。小麦色の毛並みに、茶色い目。短いしっぽ。買い物客たちには、僕のことに目も向けずに通り抜ける人もいれば、手に取ってじっくり眺める人もいる。

 今日は、11月5日の土曜。ショッピングセンターは家族連れやカップルで賑わっている。幼稚園くらいの子どもが、駆け寄ってきて僕を抱き上げる。

「ねえ。ママこの犬かわいいい。買って~」

僕は、どんな人のところに行くんだろうかなぁとドキドキしながら、まっすぐな子どもの目を見つめ返す。そしてその子のお母さんらしい人ににこっと上目遣い。

「あら、かわいいね。でももう少し考えたら?ちゃんと片づけられるの?」これはたぶん鬼母だ。怖い怖い。慌ててしっぽをすくめる。

 午後になった。僕はウトウト。そのとき、誰かから抱き上げられてハッと目を目を覚ます。え...子どもじゃない?!食い入るような眼で僕をじっと見ていたのは高校生から大学生くらいの若い女の子だった。

「かわいいいいいいい。買う。私ら運命だよ。」

余りにも突然でびっくりした。あれよあれよという間に僕はかごの中に入っていた。その子はてきぱきとレジに向かう。その女の子は僕のことを買った。

 女の子は帰り道、リュックに僕をそっと入れて、僕がつぶれないようにずっとリュックを前に持っていた。僕はリュックがやさしく揺れるのが気持ちよくてこっくりこっくり。

 長い移動時間が終わり、まぶしい光が頭上から差す。どうやらここは女の子の家のようだ。

 女の子の名前は、佐藤桜(さとうさくら)。かわいい名前だなぁ。

 僕は桜から「ジル」という名前をもらった。ここから、「ジル」としての僕の物語が始まる。僕と桜の出会いは、きっと運命だ。


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