91 恐怖のマッチング
すこし短めです
あの後、式神ファミリーズ全員で、新メンバーであるエルのために色々な服や下着を通販でポチりまくっていたら一日が終わっていた。
クレジットカードではないが、探索者ライセンスを用いることで購入可能なのが災いして、予想以上に多くの服を買ってしまったようだ。特に、クズノハとアネモイ。あの二人はものすごい量の服に目を通しては、あーでもないこーでもないと二人で話し合いをしており、購入した服の8割はあの二人のコーディネートである。
後の二割は、俺の好みが1割。そして戦乙女の鎧に合う、戦闘用として使えそうな服が一割といったところ。これ自体は一般的なアウトドア用のものだが、俺の魔改造でどうとでもなるだろう。
そして、今日は火曜日。
特進科で試験的に導入されているという探索実習日であり、この日は学校から一番近い東京ダンジョンを探索するという日であるらしい。
「といってもなぁ....」
今日も今日とて俺は組合に足を運んでいるわけだが、一つだけ問題があった。
それはズバリ、この間の29階層で見たあの立て看板の件について。
『 -注意- 迷宮法に基づき、30階層の探索はパーティーで行うこと。また、事前に申請を行い、転移結晶の貸出を義務とする。 探索者組合』
とのことで、前と同じようなパーティーが必須。しかし、クラスメイトとは組めない。
.....マッチングしかないか?
一瞬、Fランクのライセンスの方で潜るというのも考えたが、レベルは規定を上回っているので、わざわざ低階層をたむろするのもあまり意味がない。
それに、ライセンスのランクアップは公式ホームページからの申請が必要で、受理されるまでにも1週間近くかかり、そこから更に個別での試験もあるとかなんとか.... つまり、今日いくらFランクの方で潜ろうとも、無意味だという事。
30階層攻略の方は事前に申請が必要ではあるものの、その場で臨時パーティーが結成できれば軽い面接を経てその日中に潜れるらしい。なので、ちゃっちゃと受付に並び、前と同じようにライセンスを提示してマッチング申請をしてもらう。
.....待合室で待ってる間に少し調べてみたが、このマッチングシステムというのは相当な魔境らしい。
そもそも、このマッチングを使うような奴は大抵が他パーティーからあぶれたやつか、他のダンジョンから移動してきてまだパーティーが組めていないかのどちらかだそうで、まともな探索者は知り合い同士でパーティーを組んでしまうのだとか....
不安しかない。
「マッチング番号 C の003番の探索者様方。マッチングメンバーが揃いました」
はたして、どんなメンツが揃っているのだろうか....
なぜ30層がパーティー必須、転移結晶必須なのか
↓
10、20階層もボスを倒すまで帰還できないシステムになっているが、30層はモンスターの危険度が跳ね上がっており、そこまでソロで攻略を進めていた探索者たちの多くが死亡したため。
ちなみに...
転移結晶は消耗品であり、使用することで迷宮の0層魔法陣に強制転移させられる。とても価値があるが、組合では貸出という形で探索者の負担がだいぶ減っている。だが、使用した場合はもちろん全額負担。