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      作者の反応

マンションを出て駅方面へ向かう。


学校の位置は前も行ったおかげで覚えており、これまた前と同じように電車の路線を目印にして空を駆ける。すると、ものの5分で大学に到着した。


そして、俺が向かうのはその横にある付属高校の方で、更に言うと生徒たちが流れ込む校門ではなく、裏門の方から学校へと入った。


「えーっと...」


しかし、そこから先はどうすればいいのか分からない。


来校時間は8時45分となっており、今の時間は8時40分。一応、5分前行動なので問題は無いと思いたい。場所もあっているし....



そんな風に、少しばかり不安になっていると、事務所のような所の扉が開き、一人の先生らしき人が顔を出した。


「初めまして、早川誠君ですね?」


「はい」


「私、早川君の学年で社会科を担当している林 美由紀といいます。では、職員室に案内しますね」


「よろしくお願いします」


付いていくと、案内されたのは職員室を通って右にある個室だった。扉の横にあるプレートには進路相談室と書かれている。


「改めまして、社会科担当の林美由紀です。これからよろしくお願いしますね」


「はい、よろしくお願いします」


「まずはこの学校について、一般の学校と違う点についてをHRに案内する前に説明しちゃいますね」


そう言って、先生はパンフレットを机に出して説明を始めた。内容は要約すると以下の通り。


・編入するのは3年1組の迷宮特進科

・一般的な高校と同じ授業があるが、最低限

・週に一日の探索実習日がある

・定期テストに迷宮学と実技の項目が追加

・上記に対応したカリキュラムもある


などなど...


大雑把にだがまとめてみた。



「最後にこちらを渡しておきますね」


渡されたのはFランクの探索者ライセンスだった。


「こちらは一般で発行される物と異なり、この学校の学生証としても機能するので無くさないよう注意してください」


とのこと、たしかに所属の欄が学校の名前になっていたり、印鑑がついていたりする。


「では、そろそろクラスのHRが終わるころなので、教室に案内しますね」


案内されたのは校舎の3階、教室の中からは笑い声が聞こえてくる。


「はいみんな~ 朝のHRも終わったところで、編入生を紹介します!」





......きっつ。 まぁ、声には出さないが。



「入ってきてくださーい!」


そう言われて恐る恐る教室のドアを開けると、先生が教卓の方からこっちに来いと手招きをしており、その通りに進むと、もちろん教室中が見渡せる。


見ると、男子はがっかりしたような、女子は何とも言えない表情をしている。


分かってるよ、俺が地味な顔してることぐらい。たしかにレベルを上げたことで悪い要素は軒並み無くなったが、素材は良いわけでも悪いわけでもないので、結局普通止まりだ。


というか.... このクラス美形が多いな。


ヘコむわ~




「では、自己紹介をお願いします」


この底抜けに明るいような先生の声すらも、俺の精神をガリガリと削ってくる。


「は... 早川 誠 です。よろしくおねがいします」





.........はぁ、社会復帰とか言ってないで普通にニートしてればよかったかも。


俺はそんなことを考えながら席へと着いた。ちなみに、席は空いていた窓際で一番後ろの席だ。ちょっとラッキー。


それから、教科書類は机の上に置いてあったので、黒板横にある時間割を見てそこから英語と数学の教科書を取り出し、残りは机の中に突っ込んでおいた。


そんなことをしていたおかげか、休み時間中に話しかけてくる人はいなかった。これを喜べばいいのか、悲しめばいいのか、複雑な気分だがまぁいい。


少しの間はこうして周囲の様子をうかがって、オタク趣味を共有できそうなグループをリサーチしていこう。




そうして授業が始まるが、俺はその内容には全くついていけていなかった。一応プチ進学校に元は通っていたので数Cの最初の方は履修していたはずだが、まったく思い出せない。


数列ってなんだよ.... 漸化式とかもう忘れてるわ!


そして、英語の方もしかり。単語なんてすべて吹き飛んでいた。


だが、いい。きっと俺の実技と迷宮知識があれば卒業できるはずだ。なんたって特進科(ダンジョン特化)だからな!...





「はぁ..」




そして三限目、時間割にはお待ちかねの実技の教科が書かれていた。


周囲のクラスメイト達は意気揚々と教室から出て行く中、俺は何をすればいいのか分からない。しかし、そこに救いの声が現れた。


「次は実技だぞ! 早く行かんと遅れちまうぞ!」


声をかけてきたのは熱血系っぽそうなやつだ。


「実技は大学棟の方だからな、 ...そういえば、早川は剣術選択か?」


「お、おう。多分剣だな」


「そうか、じゃあついて来い」


と、言われるがまま後をついていくと、そこは見覚えのある体育館だった。そして、後について入った場所は男子更衣室。かなり広く、生徒全員分のロッカーが完備されているらしい。俺の番号が書かれたロッカーを開けると、そこにはきちんと体操服が置かれていた。


周りに合わせて着替えを済ませてそのまま体育館に入ると、そこにいるのは前に追いかけてきた先生だ。一瞬身構えるが、特に気づかれた様子もないので大丈夫そうだ。


「全員来たな。では、今日は軽い模擬戦をしていく。体操が終わり次第ペアを組んで始めてくれ」




.....泣いていいかな?



そしてよくある体操を済ませると、周囲の人はペアを組み始めた。ちなみに俺は勿論一人、組む相手など居るはずもない。


「ん? あ、編入生がいたんだったか。そしたら奇数になるな... よし、先生と組もう」


出たコレ、一番やばいやつ。


「わかりました...」


「よし」


他の組は既に木製の剣を手に取って、模擬戦を始めている。だが、俺はまず説明からのようだ。



「この実技の剣術選択では、武技と武技を繋ぐ型を教えていくことになる」


「型....」


「そうだ。まず、剣術の武技にはどんな種類があると思う?」


「切る、突く、あとは強化とかですか?」


「確かに剣気などの強化もあるが、それらは一旦置いておこう。剣を動かす武技は、斬、突、連、流、の四種類。簡単に言えば、斬撃、突き、連撃、受け流し、となり、これらは四剣式と呼ばれる。この授業ではこれら”四剣式”の剣捌きと、それらを淀みなく繋げる型、”結技(けつぎ)”を学ぶことになる」


「なるほど...」


斬は一刀両断や天命殺、突は天穿や乾坤一擲、連は五月雨や剣界、流は... 俺は持っていないが、大吾の鏡刃などが該当するのだろう。


それらを四剣式と呼び、それらを結技(けつぎ)でつなげると。.....たしかに、特技を作るのにも有用だし、スキルを使った後の隙を埋めるのにも効果的だ。




「といっても、口で言うだけではわかりにくいだろう。なので、試しに打ち込んでみてくれ。ルールはスキル禁止、剣を当てた方が勝ちだが、武器で防げば無効。じゃあどこからでもかかってきなさい」





.........どうしよう。


ただ手加減を使うだけでは、周囲が大惨事になりかねない。というか、なる。


俺は周囲への影響を配慮した戦闘なんてものは初めてだし、反射のスキルとパッシブスキルのオンパレードで、攻撃してきた先生が死にかねない。


一応、虚飾でレベルを80くらいに偽装しているとはいえど、それはあくまで鑑定スキルなどで見える表面上の話。実際の耐久は全く変わっていないので、木刀で叩かれれば金属の様な音を立てて木刀側が折れてしまうだろう。



だが、俺は閃いた。これは.... 


100階層の天使から影法師でコピーしていた天啓のスキル。そして、そのスキルは俺の持つ神の呪縛(アドミラル)を示していた。



神の呪縛(アドミラル)の持つ武器スキルは、神呪 魂喰 桎梏 不滅 如意 空間連結 の計六つ。そのなかで今の状況に最適なのは.....


神呪 スキルの完全封印


桎梏 能力値の完全封印


この二つだ。もともとこれらは敵に使う場合に抵抗(レジスト)されれば効果が半減してしまうが、自分に使う分にはいくらでも下げることは可能。


イケるな、これ。



格納庫を小さく開き、如意のスキルによって糸のような細さにした神の呪縛(アドミラル)を自分の体の見えない位置にに巻き付けていき、スキルを発動する。


【神呪】【桎梏】



その結果、能力値は.... 精査が使えないから分からないな。


だが、とてつもなく体が重いのは確かだ。パッシブスキルの強化もすべて封印状態なので、今の能力値は正真正銘レベル1と同程度。鍛えてはいるので、運動選手と同レベルといった所だろうか?


だが、HP、MP、SPは全てそのままになっているので、魔闘法を使えば訓練として成立するだろう。あれは純粋な技術なので、封印の影響を受けずに自由に使うことは出来る。


「よし」





「来ないなら... こちらから行くぞ!」




この間、時間にして約3秒。この先生は見た目相応にせっかちなようだ。






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― 新着の感想 ―
なんでここまで必死に能力を隠そうとするのか理由がわからない 適当に出していけば良い気がするんだけどな 結局そのうちバレるんだろうし 極端に隠そうとする人は結局周囲を下等に見てるってことなんだよなあ
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