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83 武器製作系ギャンブル

2時間近くの訓練が終わり、今の時刻は朝の7時といったところ。昨日の残り物をかっ喰らった後に、いつも通り工房(仮)のドアを開ける。


「よし、今日もやるか!」


魔闘法に久しぶりの進展があったことで、今進めている武器製作の方にも自ずと気合が入るというものだ。


そうして椅子に腰を下ろす。目の前の机には昨日と変わらず短剣が一本と、ある階層ボスからドロップしたアイテムと、ある時に対峙したドッペルゲンガーというモンスターの被膜が前二つを包むように置かれていた。




なぜこの組み合わせかというと、最近は銃系統の制作を没にして、投擲用の短剣にシフトしているから。


こないだ学園から脱出する時に武器を使い捨てにして攻撃するという戦法を取った時に、そのスキルの組み合わせは予想以上に強いものだという事が分かったのだ。なので、それ専用の武器を作ることで更に飛躍させるという開拓だ。


一応説明しておくと、短剣を”複製量産”によって作り出し、更に制限解除で強化した武器で乾坤一擲(EXスキル)を発動するという工程であり、その中で最も相乗効果が生まれるだろう組み合わせを俺なりに予想して選出した、いわば粒揃いの素材たちがこの三種類のアイテムだった。


他にも、短剣を式神化することで自由に操ることもできるということが後に分かったので、そこを強化する要素もこのアイテムの中には含まれている。




しかしここまでの話を聞いて、魔法で攻撃すればいいだけでは? と思った人もいるだろう。 魔法は発動後に操作ができないが、式神化した短剣は制御可能。つまりはそういう事だ。






まずは、武器を制限解除で使い捨てるという欠点を利点に変えるために、”一投入魂”という耐久値を大きく削って投擲を強化するスキルが付いた短剣を選択。そして眷属創生との相性を高めるために、75階層のボスである擬人機兵(ホムンクルスゴーレム)からドロップした人造魂核というアイテムを魔改造で融合することにした。


....この擬人という文言に可能性を感じたのだ。



そして、量産複製による複製時の劣化を抑えるために、ドッペルゲンガーというモンスターのドロップアイテムに宿る魔力を武器の魔力回路に1週間をかけて馴染ませている。


このドッペルゲンガーは種族スキルとして”ドッペル”というスキルを持っており、初めて目にした時の姿は完全に俺と同じものだった。そして、なんとそいつは俺の持つスキル... それもEXスキルまでもをコピーしていたのだ。もしその特性を武器が引き継げるなら、武器を劣化させずに複製することも可能になる..... かもしれない。


一週間もかけて、魔力回路に満ちる魔力を抜きつつドッペルゲンガーの魔力を補充するという、クソ面倒くさい作業を神経を削りながらやってきたのだ。できれば成功してほしい。





まぁ兎にも角にも、この一週間で下準備は完全に整った。



【魔改造】



ドッペルゲンガーの魔力が馴染んだ短剣の魔力回路の中心に、これまた魔力が馴染んだ人造魂核を融合させていく。



......慎重に、己の魔力で短剣に内在する魔力回路を丁寧に包み込み、それらを再編成していく超精密作業。しかし、今朝の剣糸編成を会得したおかげなのか、いつもよりも回路の線を自由に操れる気がする。



そうして、遂に短剣が完成した。



【精査】



⇒ 種別 魔剣 短剣  Name 式剣  Rank S+


  材質 ミスリル 人造魂核 ドッペルゲンガーの皮膜

 

  補正 攻撃 +8000  耐久度 1000/1000


  スキル 魂の器(EX) 生写し(EX) 一投入魂(S)

  

  総評 耐久度を消費して投擲の威力を強化する。

     人造魂核により魂の器として機能し、

     魔力の特性により他武器とスキルを共有可能。





「完璧だ..... これ以上ないほどに、脳汁がでるぜぇ」


脳内に快楽物質があふれる感覚がほとばしる。これはアレだ、ゲームのガチャで単発引きや二枚引きをした時の感じ。


しかし、諸々の耐性のお陰でその陶酔感はすぐに晴れて行った。




......冷えた頭で考えると、こんな陶酔感と思考の冷えの落差が激しすぎて、もしもギャンブルなんかに手を出してしまえば、俺は確実に破滅する気がする。


なんというか.... この落差が更に俺を脳汁の海へと誘う呼び水となる気がするのだ。




ま、そんなことは今重要ではないか。と、そう思い直し、さっそく使用感を確かめにダンジョンに行くことにした。

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