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76 斥候職って人気ないんだな....

昨日は随分な目にあったが、今日は新人指導という事で心をリセットして組合に向かう。


集合時間は朝の九時で、集合場所は組合の二階の一室とのことで、一応Aランクらしく装備はきちんとした状態で集合した。


「うーん.... 視線を感じる」


さすがに少し血に濡れた外套を纏っているのは目立つのか、かなり奇異の視線を感じながら人混みをかき分けて二階への階段を目指す。


目立つような装備は全て外したつもりだったが、この視線は... なんというか、ヤバいやつを見る目だ。思いのほか、外套の黒い下地に薄い赤色が染み付いているのは目立ってしまうらしい。だが、これ以外の外套は無駄に装飾がゴツいし、かと言って脱ぐと下はジャージ姿... もう詰んでるだろ。


警備員さんもこの間と同じ人だったので、すこしぎょっとした目で見られたがすんなりと通してくれた。


「.....! 早川さん、それは....」


「あぁ、百武さん。おはようございます」


「はい.... おはようございます」


取り敢えずあいさつを交わすが、百武さんは少し上の空で俺の装備に見入っていた。


「これは俺の主武装なんですよ。今日はAランクとしての初仕事なので、少しくらいの準備はしてきました」


「....少し、ですか。ははは.... まさかその武器のランクは.....」


今の俺の装備は、魔改造したジャージ(S)と冒険者のレギンス(A+)に、龍血の聖骸布(S)を装備しており、武器としては星夜月(EX+)を腰に差している。


今、伏魔殿内に備蓄してある装備の中には、この組み合わせ以上に目立たなそうな装備はなかったから仕方ない。あと、流石に風王の般若面(EX)や天輪の楔(ヘイロー)(EX)とか、あとは神の呪縛(アドミラル)(EX)などは目立ち過ぎるのでしまっているが、これでも普段とあまり装備の程度は変わっていない。


そして、百武さんの視線が向かっている星夜月を鞘ごと腰から抜いて見せる。


「こいつはEXランクくらいの代物ですね。俺も長く愛用してます」


「流石ですね。それに他の装備だって凄まじい.... これは大船に乗った気持ちで、どんな依頼でも任せられそうですね」


「任せてください。ところで、控室という所はどこでしょうか?」


「ご案内しましょう」






案内された控室には、既に他のAランク探索者たちが集まって何やら話をしている。その輪に入っていく勇気は無いので、俺は少し離れた椅子に座って様子を見ることにした。


Aランクというのは伊達では無いようで、その四人は全員Cランク以上の武器を所持している。特に、その中の一人が持つ武器はBランク相当.... なかなかの逸品だ。


事前の調べによると、Aランクの基準はレベル80以上かつ、30階層を突破している事が条件なのだそう。レベルが100を突破していれば英傑入りでSランクになることから、ここにいるメンバーは全員がレベル80から90当たりのはず... であれば、Cランクの武器を持っていてもおかしくはないが、Bランクの武器をどうやって入手したのか.... 宝箱からが最有力候補かな? オークションにでも出ていたらそう簡単に獲得できないはずだし、そもそもBランク以上のアイテムが出品されたことなんて数えるほどしかないのだとか。



「..........」



思考を巡らせていると、ノックの音が聞こえてきた。その方向を見ると、スタッフのような人がドアを開けており、これから参加者の所まで案内するとのこと。


そうして俺も一人のスタッフさんに案内されるわけだが、なぜか俺一人だけ方向が違う。そう不思議に思いつつも付いていくと、案内されたのはかなり小さめな部屋だった。そして、スタッフさんが扉を開けると、そこには少女が一人....


「よろしくお願いします!」


「あ... よろしくお願いします....」



え? 一人だけ? マジ!?

もしもフル装備だったら....


天使の輪を頭に浮かべ、下半身はレギンスで上半身は外套に覆われ、そのすそから刀の鞘が飛び出した般若面を付けた男。しかも、手には鎖を巻きつけていて、外套の隙間からはジャージが見え隠れする。



......ヤベェやつだ!




〇設定資料集を読んだ人向けの情報 ↓



Aランク探索者の方々。


1戦士系 レベル85


2騎士系 レベル81


3僧侶系 レベル80


4術師系 レベル87


普段から5人PTを組んでいた、Aランクパーティーの方々で、かなり名の通った探索者。今回の新人教育企画にパーティーぐるみで指導者として参加してくれることになっていたが、少し前の探索で仲間の一人が命を落としてしまったために、急遽斥候系の天職を持つAランクを百武さんは探していた。


ちなみに....


天職の七系統の内で五系統しか指導者として招かれていないのは、単純に召喚系の数が少ないのと、職人系が戦闘に向いていないから。そして、主人公の元に参加者が集まらなかったのは、単純に無名すぎて選ぶ人が少なかったからなのと、そもそも斥候系がレベルの上げにくい隠密系や移動系のスキルを多く獲得してしまう天職で、その多くが1層でリタイアしてしまうから。



三大不遇職


調教師(テイマー)系 テイムモンスターが魔力のない場所では生存不可 

隠密系 攻撃スキルが少ない 耐久と筋力が上がりにくい

職人系 戦闘スキルが皆無

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― 新着の感想 ―
もう少し主人公にまともな感性を( ^ω^)・・・。
一般の装備のレベルも大体わかってるだろうに 目立ちたくないって言いながらこんな装備をしてくるなんてバカなのかな
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