表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/119

69 新たな称号 不法侵入者(New!)

三日後、俺は回転寿司で全ての軍資金を溶かし尽くし、ホームレスとなっていた。


最近の回転寿司って高いのね、一皿700円とかしたし。まぁ、そんなことはどうでもよろしい。


なんでもキング一行は昨日の内に日本に到着したらしく、今日の午前の内はお偉いさんとの会合的なものがあるのだとか。という事で、どのようにして時間をつぶそうか.... そう考えていると、不意にスマホの広告が目に入った。


「日本探索者大学か」


急ピッチで設立されたという国立の大学で、日本に三校存在する探索者専門の大学とのこと。そして、その付属高校として日本探索者高校があり、そここそが大吾の言っていた迷宮遭難者の受け入れをしている高校らしい。


入学条件はレベルが30以上で、高校卒業でCランクの探索者ライセンスをもらうことができ、更に大学を卒業すればBランクのライセンスがもらえるのだとか。


あと、重要なのが学習内容の内、探索者技能が八割を占めるらしく、普通高校に進学しても留年する未来しか待っていないであろう俺には、もうここしか無い気がする。


ホームページを見てみると、大学の校内の敷地は一部解放されており、一般人でも散歩できるようになっているようだ。


「行ってみようかな?」


レベル30以上の迷宮遭難者は、無条件でここに編入することになるらしい。であれば、きっと俺もこの高校に入ることになるはずだ。行ってみよう。


勿論だが電車賃など持っていないので、スマホの案内に従って神足通で市街地を駆けると5分ほどで到着した。立地は都内の一等地で、日本探索者協会から電車で一駅と、ダンジョンへのアクセスもかなり良い。


「ほーーー」


校門から中に入ると、大きなカートに揺られている幼稚園生の集団や、サイクリング中の人など、色々な人に交じって魔力の宿った装備を身に着けている人をまばらに見かける。だが、それ以外は普通の大学と変わりない光景だ。


一応だが、鑑定系スキルの対策として虚飾のスキルでステータスをレベル80台に偽装しておく。これで丁度、英傑序列に表示されないくらいだろう。






その状態で、校内を一時間ほど散策してみたが、特に面白いものは無い。しかし、一か所気になる所を見つけた。



「魔力のぶつかり合い.... 誰かが戦ってるのか?」


直接見たわけではないが、確かに感じられる戦いの気配..... それは目の前の体育館から感じられた。正直興味はある。多分そこいる集団のレベルは、一般的に見ればかなり高い部類に入るだろう。だが、体育館は部外者立ち入り禁止の看板が掛けられている。





......入っちゃうか!





虚影で気配と姿を消し、そのまま体育館の高所に備え付けられた大窓に向けて跳躍する。換気を行っているようで窓は開いており、高所からなので中の様子がよく見えた。


「あれは.... 俺と同い年ぐらいか?」


ここは大学の敷地内だが、そこで模擬戦をしている集団の顔は大学生にしては少し若く見えた。多分だが俺と同い年か少し下くらいで、間違いなく成人はしていない。


レベルはまちまちだが、一番下で20くらい、一番強そうなのは先生らしき人でレベルは80くらいはありそうだ。その人を除くと、一番強そうなのは.... かなりイケメンなやつが一人いるな。あいつはレベルが70くらいありそうだ。


「と、いう事は... ここにいるのは迷宮遭難者のクラスか? いや、でもレべル20台もちらほら見えるな。 ....魔力の伸びが低かった可能性もあるか」


体育館の地面に着地して更に近いところで観察してみると、やはりレベルにばらつきがあった。虚影を使った精査(アナライズ)ならバレずに、かつ正確にステータスがわかるが、一回でMPが一割くらい吹き飛ぶので流石に使うのは(はばか)られる。
















破魔(ディスペル)】!










突如、高いトーンの声と共に、魔力と光が周囲を覆った。


パッシブスキルである森羅万象で常時周囲の気配を感知できるにもかかわらず、俺はその声の主に気づいていなかった。そして自分の中の何かが解除される感覚。なぜか反射も効果を失っていた。


「は?」


一瞬明けに取られつつも声のした方向を見ると、一人の女子生徒と目が合った。


「え?」


「緊急警報!」


先生らしき人が壁に備え付けられた赤いボタンをガラスカバー越しに叩き押すと、突然校内に魔力のうねりと警報が生じ、天眼通を使うと上空に球状の結界が展開されているのが分かった。


「まずい」


どうやら先ほどの女子生徒の使ったスキルにより虚影が解除されているようで、すぐに入って来た窓から外に出るが、そのあとを先生に追ってこられていた。


「何者だ? まぁいい、校内からは逃げられないからな」


そういいながら先生は、先ほどの女子生徒とレベルの高そうなイケメンを連れて窓から着地する。





フードを深くかぶっているので顔は見られていない。なので、逃げるだけでいい。そのためにはまずは結界を破壊して脱出しなければ... 捕まるよりはましだろう。





結界の方を精査した結果、Aランク程度のものだと分かった。





これなら.....




【複製量産】【制限解除】


乾坤一擲(けんこんいってき)過負荷(オーバーオード)



格納庫から取り出した、Dランクの短剣を”複製量産”により魔力で再現したものを、更に制限解除で強化する。この限界を超えた武器で、SPの上限を外した乾坤一擲(EXスキル)を発動する。



その短剣は放たれると同時に目に見えない速さで飛翔し、結界と衝突。そして対消滅した。


上限突破したEXランクのスキルの力をDランクの、しかも複製品で、かつ耐久力を無視して強化した武器が耐えられるはずがない。しかし、これで証拠が残ることもない。


「よっし!」


ひび割れて崩れ落ちる結界の間を、神足通の最高速で突破する。コンマ一秒もしないうちに、俺が立っているのは探索者組合の屋上だった。

感想を元に少し他epを修正してみました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このシーンアニメならめっちゃくちゃワクワクしそうw
面白いのでこの路線のまま頑張って下さい
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ