64 暴君
突如としてドアを蹴破り会場に入ってきた彼は、派手にメッシュの入った髪とヤンチャそうな顔の通りに随分と殺気のこもった威圧を放っている。
円卓の最後の一人、彼が暴君の異名を持つ英傑序列11位だろう。しかし、解せないのは彼がこの場の全員に影響のある威圧スキルを使ったことだ。
一般的に威圧系のスキルは一般人にはダメージがあり、自分以上の相手には挑発と取られることが多くネットでも外れ扱いされやすいスキルで、ましてや世界の頂点が集まるこの場で使うのはおかしい。
そして、こちらに気づいた彼は露骨にこちらに向けて殺気を放ってきた。
「テメェが俺の事を抜かしやがったゴミか? あ?」
そう言われた本人である大吾は愛想笑いを浮かべているものの、顔に青筋を立てているのを見るに相当キレているようだ。しかし、そんな暴挙に対して、周り9人はその暴言に対し何も反応することはない。
一瞬だがこれは大吾に対するテストのような物なのかとも思ったが、アイツから放たれる殺気はモンスターが発するものと同じ。本当の殺意のように感じたので、少なくともアイツは大吾に殺意を抱いているだろう。
場を沈黙が支配して10秒ほど、その空気を切り裂くように大吾に向けて短剣が放たれた。
大吾は寸でのところで避ける、そしてそれを放ったのはもちろん暴君で...
「ゴミの癖に何いっちょ前に避けてんだよ、ウゼェなぁ...」
などと吐き捨てて、今度は腰に差していた双剣を手に持ち大吾に切りかかってきた。
この場に招かれるだけあってそのスピードはかなりのもので、一瞬遅れて大太刀を手に取った大吾の首筋には刃が迫っていた。
[糸繰人形・没入・人形演武・難攻不落]
しかし、刃は大吾の首筋に触れるもそれ以上先に進むことはない。それに気づいた暴君はすぐに大吾から距離を取った。
『アニキ!』
『護衛を任されたからにはしっかりと守るから安心しとけ』
[精査]
⇒ 【種族】人間 Lv.251 【Name】
【天職】 破壊者(EX) Lv.4 【状態】-
【称号】 探索者(ニューヨークダンジョン:50階層…) 暴君
HP 1054/1054 MP 1581/1581 SP 1731/1731
筋力 1882 魔力 1480 耐久 1260 敏捷 1781
◇ 耐性
⇒耐性
物理耐性(D)Lv.10 苦痛耐性(E)Lv.6
◇ 職業技能
⇒破壊者(EX)Lv.4
破壊(EX)Lv.1 弱点看破(A)Lv.3
武器法術 Lv.3 – 武装強化(A)Lv.2
剣術 Lv.2 – 一刀両断(A)Lv.4 連続斬撃(C)Lv.6
◇ スキル
・武技スキル
⇒移動術
天駆(B)Lv.6 走破(C)Lv.5 疾走(D)Lv.15
・魔法スキル
⇒毒属性
侵蝕毒(S)Lv.5 毒素付与(B)Lv.6
・法術スキル
⇒ 強化
疾風迅雷(A) Lv.6 怪力(B) Lv.9 抗体(C)Lv.11
・特殊スキル
⇒パッシブ
殲滅(S)Lv.3 魔力強化(C)Lv.4 身体強化(D)Lv.5
⇒アクティブ
狂瀾怒涛(EX)Lv.1 唯我独尊(EX)Lv.1
戦闘本能(S)Lv.3 全身全霊(A)Lv.5 威圧(B)Lv.21
◇ スキル解説コーナー
死神(EX)
殺気や死相など、死に関する気配を感じ取ることができるスキル。また自身が行った行動が死につながる場合にそれを察知したり、致命傷となる攻撃を先読みすることもできる。