60 特権階級
修正済み
その後は後ろに控えていた護衛の一人に案内され廊下を歩いていくと、そこはどうやら二階のようであり、吹き抜けから見える一階は大勢の人で賑わっている。
構造は市役所とほぼ同じで、カウンターが横並びになっておりそこには長蛇の列がある。そして受付を終わらせた人は全員がある一方向に向かっていた。
魔力が流れてきていることからあちらにダンジョンの入り口があるのだろう。
そして、大吾はエスカレーターで人気のない二階から三階へと昇ると、警備員らしき人の横を通りまたしても重厚感のある扉の前につく。今度は何事もなくドアが開かれ、奥には屈強な大男が待ち構えていた。
「初めまして私は百武勇仁、日本探索者協会の会長を務めている」
その言葉に大吾は表情を変えた。
「あのSランク冒険者の[ 律令 ]ですか⁉ 石山大吾と言います!」
「君ほどの強者に知ってもらえているとは光栄だよ。 っと、早速だがステータスを見させてもらいたい。ライセンス登録にはレベルと転職の系統の情報が必要でね、早速だがあっちのデカいアーティファクトで鑑定できるんだ」
「いいですよ」
百武さんはなかなかフランクな人のようで、大吾に軽くアーティファクトのレクチャーをすると、そのまま大吾は両手を台にかざす。すると、それに反応するように上部のスクリーンが起動し、大吾のステータスの一部が表示された。
「なるほど... Sランクの天職、しかも未確認のものとは」
「これで大丈夫ですか?」
「これでライセンスの登録は完了だ」
大吾の「俺何かやっちゃいました?」の顔がウザい。そして、百武さんはアーティファクトから出てきた一枚の板を手に取った。
「これがEXランクのライセンスだ」
黒く、光沢のあるプレートに白銀の文字が刻まれており、精査によると素材は魔鉄と暗鉄の複合素材でできており、しかも帰属と修復のスキルまでついているCランクアイテムとなっている。
.....俺もちょっと欲しいな。
「EXランクの探索者に課される義務は迷宮氾濫の鎮圧、迷宮犯罪者の捕縛または殺害、調停者の円卓への参加くらいなもんだ」
「強制依頼がないところが特権ってやつですね」
「そうそう、EXランクのやつらが暴れたらもう手が付けらんないからな」
その後も雑談は続き30分ほど話に花を咲かせたところで、ホテルのチェックイン時間になったということでお開きになった。
百武さんが直接案内してくれるらしく二人は部屋を出ると、そのままエレベーターに乗りどんどん上へと上がっていく。全面がガラス張りになったエレベーターからは東京が一望でき、着いた階はなんと最上階の50階でその階全てが一つの客室のようで、カードキーを渡すと百武さんはエレベーターに乗って降りて行った。
律令 - 百武勇仁 Lv.221
⇒ 英傑上位であり71位(日本探索者ランキング3位)
「調停者の円卓」が主導で行われた太平洋の海帝竜(Lv.400)の討伐戦にも参加した。
海帝竜はダンジョン周辺のエーテル空間内の海を周遊していたが、
太平洋全域の魚類を従えたことで太平洋に面した国々の漁業に甚大な被害が出た。
*迷宮犯罪者
レベルを上げて犯罪を犯した者や迷宮に不法に潜るアウトローや
不正登録を行ったフェイカーが該当する。
*探索者の依頼
強制依頼 探索者の義務となる依頼、Dランク以上Aランク以下は一部不人気なダンジョンの
モンスターの掃討を行い迷宮氾濫を未然に防ぐ依頼が発行される。
緊急依頼 迷宮氾濫の鎮圧と変異種のモンスターの討伐が該当
常設依頼 魔石の納品やポーション類他、素材アイテムなどの納品
特殊依頼 一部の高ランクアイテム納品の依頼、しかし大体はオークションに出される
指名依頼 希少な能力を持つ個人を指名して依頼される場合と、
ペナルティの強制依頼として発行される場合がほとんど