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59 意外と頼りになるチキン

エレベーターに乗ったり、長い廊下を歩いたり、防犯意識マシマシな分厚いシャッターを通過したり。


そんなこんなで10分ほど経つと、廊下の壁が無機質な物からモダンな壁紙の貼られた廊下に差し掛かり、先導していたスーツが木製の重厚な扉の前で立ち止まった。


すると左にピッタリと付いていたローブが何かのスキルを使い大吾の全身をくまなく調べ始める。虚影も使っているのでバレてないとは思うが、ローブは大吾の背負った両手剣を指さした。


「この剣はここで預けてもらう」


「え~っと...」


大吾が渋っているとスーツが「いや、それはいい」と言いローブを制すると、木製のドアを数回ノックする。


「石山様をお連れしました」


「入ってくれ」


扉があくと、そこには市役所の応接室とは比べ物にならないようなアンティークや調度品が飾られており、奥のソファーの横には一見すると少し威厳のあるだけな初老の男性が立っていた。


しかし、その身には幾重もの結界や障壁が張り巡らせてあり、全ての指に魔力のこもった指輪をはめていることから相当な地位にいることがうかがえる。


「日本国首相、野崎拓次と申します」


「石山大吾と申します」


「ではどうぞ、こちらにお掛けださい」


大吾が右側の席に座ると、その体面に野崎さんが、その後ろには例の護衛二人が立っている。


「大吾さん、この度はご足労いただき誠にありがとうございます。今回お呼びした理由は他でもない、1週間後に開催される調停者の円卓(ルーラーラウンズ)について、政府からの要請としては是非こちらに日本国民の一人として参加していただきたいのです」


「.....なるほど」


調停者の円卓


ダンジョンの50階層を突破しレベル250に至った英傑序列の上位10名が集められた会合であり、人類の脅威を排除することに重きを置いて活動している人類の調停者であり守護者でもある。


覇王キングを中心に今のところ魔女、斉天大聖、騎士王、八百万(やおよろず)の巫女、太陽王、暴君(タイラント)の参加が確認されており、迷宮氾濫(スタンピード)により出現した各地の強力なモンスターの討伐、世界中の探索者に対する規制の確立等の活動を行っている。


覇王は別名 "炎神"とも呼ばれ、彼の力により今の世界平和は成り立っているといっても過言ではない。


実際に英傑の幾人かを戦略兵器として他国に侵攻した某国は、彼の炎によりすべての軍事施設と国家重要施設を破壊し尽くされた。(ウィキペディア)




なんでもキングは国の重要施設を破壊し尽くし、しかも人的被害は皆無だったらしい。ということは大精霊召喚をフルに使ったのだろうがレベル392であの力に耐えられるものだろうか?


Lv600くらいだった俺でもその力だけで手一杯だったのに。まあ、このままだと多分会えるだろうし、そのことも聞いてみようと思う。


「特にこれといってしてほしいことはありませんが、外交官を一人付けさせていただきたい。」


「分かりました」


「では契約内容をまとめさせていただきます。まずはこちらから契約金として100億円、こちらは支給されるEXランク探索者ライセンスの方に振り込ませていただきます。それと様々な支援の方もさせていただきますので、詳しくはこちらに記載されている内容をご確認ください。そして、石山様には調停者の円卓(ルーラーラウンズ)への参加、および外交官の同伴をお願いします」


そうして手渡された書類を大吾は熟読している。


「何かご質問はありますか?」


「ライセンスの所属は無しということでよろしいですか?」


少しの間をおいて野崎さんがその通りですと答える。だが、その質問で彼の鼓動が一瞬高鳴るのが分かったが、表面上はそれを全く感じさせないことから彼もやはり海千山千の政治家ということだろう。


それにしてもあの小心者だった大吾が全く物怖じしないとは.... 俺の大吾への評価が一段階上がった。


その後は5分ほど今後の予定についての説明がなされ、終わるころには野崎さんの額には脂汗がにじんでいることがよくわかる。そして最後に連絡用のスマホを渡され握手を交わすと大吾は退出するように促された。


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