58 久々の東京
「ちょっとシノギあげてくるわ」
「あ、いつものやつですね、他にも伝えときます」
大吾はただそれだけでもう車に乗り込む気満々の様子をしている。
「なんか軽くない?」
「うちの組はそういうスタンスなんですよ」
極道みたいなことしてるくせにそのスタンスは何なんだとは思うが、俺も龍〇如くやったことあるだけのオタク知識からくる印象しかないのでそんなもんなのかもしれないし、ここが軽いだけなのかもしれない。
「もう潜っとくぞ」
「はい? ついてきてくださいね、後生ですから」
影界のスキルにより大吾の影に潜ると大吾は一瞬驚いたものの、すぐにその顔は悟ったような、なんとも言えない表情になっている。そしてそのままキャリーケース片手に装甲車の方に行くと、丁度先ほどの三人が車の裏手で待機していた。
「ではこちらにお乗りください」
この装甲車は運転席以外が後部のドアから乗り込むタイプらしく、運転席には迷彩柄の服を着た自衛官らしき人がすでに乗っており、助手席にスーツの相羽さんが乗り込み、その後ろの縦に長い座席の右側に大吾が、左側にレベルの高めな二人がこちらを睨むように座り車内は重苦しい雰囲気になっている。
「高速道路を使いますので、アクシデント等がなければ2時間ほどで着く予定です。勿論モンスターが出現したりしてもこちらの護衛が対処しますので、到着までゆっくりとお過ごしください」
「お言葉に甘えさせていただきます」
『がんばれー』
それからは特にアクシデントもなく車内は終始無言だったものの、俺自身は久しぶりに見覚えのある金のうんこやスカイツリー見ることができた。
そしてインターを出てまた少し走ると着いたのは見慣れない超巨大ビルで、遠目から見ても人の往来が激しく、その多くの人がまるでダンジョンに潜るような装備をしている。
『ここは?』
そう質問すると少し疲れたような声色で少し間をおいて大吾から返事が返ってきた。
『あぁ、あれは東京ダンジョンですね』
『あれが?』
『はい。東京ダンジョンは一級ダンジョンで、その上に日本探索者組合のビルが建ってんですよ』
装甲車はそのままビルの方へと走っていき、地下に降りていく。そこは地下駐車場のようで車が止まると、前から降りてくださいと声がかかり、大吾は左側の二人に挟まれて車から降りた。