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50 帰還

祝50話! ちょうど帰還!

目の前にある洞窟に見覚えは無いものの、辺りのスーパーや住宅街には見覚えがある。


しかし...


「なんで更地?」


俺の住んでいたアパート周辺の半径100メートルは、爆弾でも落とされたような見事な焦土のクレーターになっている。そしてその中心にぽつりとあいている穴が俺の出てきたダンジョンだった。


まぁ、俺のゲームやPCやスマホ等は残念だがそこにはいったん目を瞑ろう。


「人の気配がないのが一番気になる」


「ここら一帯、半径五キロの中に人はいないようです」


しかし、そこかしこからは息を潜めたモンスターの気配は感じる。これらを鑑みるにここら一帯の住人は全員避難したのだろう。であれば情報を得るには... 交番? 学校? いや、市役所か?


この中で一番人のいる確率が高い場所は市役所だろう。そこまで直線距離で10キロ程で、短い距離だが今の体では少しきつい。なので今回はフェルに乗せてもらうことにした。


「グォウ!」


「道路に沿って行って、曲がるときは指示するよ。」


「吾輩は魔界に戻っておくとしよう」


「私は霊体化してついていきます」


「妾は伏魔殿の中で待機しています」


「了解、じゃあ出発~」


フェルの背に跨って道路を走り抜けていくが、辺りには乗り捨てられた車が散見され、所々にモンスターがいるだけ。そんな風景が続くだけの道を3分ほど疾走しているとようやく市役所が見えた。


「おいテメェ! どこのシマから来たんだァ?」


野太い声。


フェルに止まってもらい声の方向を向くと、ちょっとチャラい風貌をした男が顔をしかめて立っていた。


「第一村人発見!」


その言葉に一瞬キョトンとした顔をした男は、すぐに頭に血が上ったように声を荒げた。


「テイマー風情が、フザケんじゃねえぞ!」


ふむ、なるほどコイツはアレか。 ヤンキーってやつか。と、そんな風に考えていると目の前の男は更に声を張り上げる。


「ちょっとデカい狼をテイムしただけで調子に乗って俺らのシマに攻めてきたんだろうが、俺にあったのが運の尽きってやつだ。俺のレベルは32だぜぇ?」


レベル32で強いのかと、そう思うのを口には出さずに黙っていると、その態度が癇に障ったのか、さらにヒートアップし始めるチャラ男。


「スカしてんじゃねぇ!」


そういうと、こいつは腰に引っ提げた剣を構え、こちらに切りかかってきた。


凄まじく鈍いが...


一応反撃として魔力剛糸で服を切り刻んでみる。


「ふッ...つまらぬものを切ってしまった」と言いたい状況だったが、服の下のモノがつまらなく無かったのでそうは言えず、ちょっとへこんだのはのは内緒だ。なお、綺麗に服が剥がれて全裸になった男は剣すらも手放してしまっている模様。


「なぁ⁈ テメェ、俺を敵に回したこと後悔しやがれ! 覚えとけよ!!」


ザ三下といったオーラがあふれるようなセリフ、これを聞いたのは人生初のことで意外と違和感がある。そしてそのままヤンキーは市役所の方へと走っていった。


「あれま、行っちゃったか。 もっと情報が欲しかったんだが..」


でも行先は同じようだしと、その後をゆっくりとついていくと、案の定どっかのマフィアのような服装に身を包んだ集団が市役所から出てきた。


以前までならすぐビビって動けなくなっていただろうが、今のレベルではアリ30匹に囲まれたのと同じような感覚しかしない。


「お前がうちのモンに手ぇ出した.... へ?」


前にキングに鑑定された時と同じような感覚がする。


今の間抜けな声からして、このグループを仕切っているであろうごつい奴から魔力が感じられた。


「表ってのもなんだ、中に通してやる。ついて来い」


「なるほど」


とりあえずフェルをお座りさせ表に置いていき、ついていくと案内されたのは広めの応接室のような部屋。ドア側の椅子に座ると開口一番、この男から出てきた言葉は、


「アニキィ! 俺を舎弟にしてください!」


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