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44 作戦開始

作戦開始から5分、オレは未だに一寸先も見えない闇の中を下に降り続けていた。慎重に速度は控えめ(敏捷5000超)で降りているが、100Kmはさすがに長い。


そして遂に、肉眼でリヴァイアサンを捉えた。


ウミヘビのような体躯に鱗、そして頭部には一対の角を持つ。しかし、最も驚かされるのはその大きさであり、東京スカイツリーを余裕で超えるほどの巨躯が海底を埋め尽くしていた。


そこからは虚影を使い空を踏んで近づいていくのだが、この移動だけでMPの消費が2000。新しい魔闘法の一つ運気調息で空気中にある魔力を取り込み魔力をある程度回復させ、これで準備は整った。


「んじゃ、作戦開始の[天命殺・剣界]! 」











「GYAOOOOOOOOO!!!!!!」



おびただしい数の命を削る刃の嵐がその青い巨体を削っていく。赤い線がリヴァイアサンに走り、それと同時に声にならない咆哮が辺りに木霊した。そして、その傷から溢れる赤い血は空気に触れると瞬く間に変色し気化していった。


「あれが猛毒血液の効果か」


しかし、その傷すら徐々に自動回復の効果で塞がってしまう。傷に追撃を加えて再生を止めることを1分ほど続け、全身がズタボロになったリヴァイアサンであったがそのHPはまだ三割しか減っておらず、すぐに再生を始める有様。対してこちらのSPはすでに空っぽで、体にもあまり力が入らない状態だ。


出来ればここで仕留め切るのが理想だったのだが仕方ない。では、本来の作戦通り。


「撤退! [神足通] 」


今度は地上に残してきた擬人式神と入れ替わったおかげで一瞬で地上まで来た。しかしSPが枯渇して更にMPもミリしか残っていないので気分が最悪で、そのまま小島の砂浜に倒れ込んでしまった。


「ウォエ...」


突っ伏した状態でゲ〇が顔にかかった、だが体が動かせない。


「グォウ」


だが、フェルが俺のフードを咥えて海に顔を漬けてくれたおかげで酸っぱさは何とかなった。


「はい、こちらを」


そして、アネモイはポーションの瓶を口に突っ込んできた。もうちょっと飲ませ方他になかったの?


一応エリクサーの効果にはMPとSPを少し回復する効果があるので飲んだが、意外と効果があり体の怠さはすべて消えた。


「よし、少し時間があるから少し作戦を..「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!」


空気を震わせる咆哮。


100Kmも離れているのに聞こえるその声には覇気が含まれており、先ほどまでの一方的な展開による油断を消し飛ばすには十分だった。


「.....あいつの素早さとスキル的に15分は猶予があるはずだ、見えた瞬間にフェルは永久凍土を最大火力で、クズノハはフェルとバロムにバフ、アネモイは権能を押さえてくれ。俺もMPが回復したら復帰する」


「フハハハハハ! 吾輩でも海王と戦うのは初めてだ。心が躍るな!!」


フェルに天眼通を貸与して回復に専念していると、少しづつ海の波が高くなってくる。そして、辺りの地面は揺れ始めた。


「グゥヲォォォオオオオ!!!!!!!!!」


フェルの咆哮と同時に周遊する魔力が一斉にフェルのもとに集まり、周囲に冷気を放出し始める。そして、遂にリヴァイアサンが海面に移ると同時にその魔力は解き放たれ、次の瞬間には周囲は一面の銀世界に様変わりし、リヴァイアサンは中心で氷漬けになっていた。


しかし、そう簡単にはいかないことは分かっている。いくら強力なスキルであっても能力値の差が大きいので効きは弱くなる。直ぐにその体表の霜は剥がれ落ち、ダメージは氷属性無効の影響で皆無。

だが、その巨体は凍った海の中に大部分が埋まっているため無意味ではない。


「フェルはそのまま魔法を維持!アネモイは」


「任せてください」


「では吾輩は行ってくるぞ」


バロムの気配が強くなると、初めて会ったような時と同じ凄まじいスピードでリヴァイアサンへと向かっていった。そして、それにクズノハが追随する。対するリヴァイアサンは周辺一帯に吹雪を撒き散らし、水でできた龍を暴れさせている。


戦況は互角といったところで膠着状態が続くが、ずっと運気調息を続けた結果。


「よし! 全快した」


ようやくMPが回復しきったものの、SPはすっからかんなので今回は魔法をメインで使うしかないのは少し歯がゆい。


バロムの方は百歩神拳と千手観音のコンボで遠距離からの攻撃を続けてはいるが、リヴァイアサンの放つ吹雪を防ぐ術を持っておらず、スキルの強化とクズノハの補助でごり押しているだけなのでジリ貧だ。しかし、ここ10分の攻防でリヴァイアサンのHPを半分まで削るという戦果を挙げていた。


[剛糸結界・縛糸]


そこで俺は影糸を用いた糸の結界に縛糸を重ねて使うことでリヴァイアサンの上半身を拘束する。魔力の3割でこの巨体を全てカバーするのだからこのスキルは燃費が良く、そしてこれをわざわざ使った理由。それが...




懐から取り出した一丁の銃。俺の2番目の作品であるこれは今まで作った物の中でも取り回しが特にいい。そして装填するのはオークエンペラーから出た魔石や、その他ボスの魔石など、合計6個の特別な銃弾のうち一つ。ライフリングはあるものの銃身が短く命中精度が低いので、わざわざリヴァイアサンを縛り付けたのだ。そして手から魔力を流し込む、魔石に強制的に注入された魔力は行き場をなくす。


そしてその瞬間に


[天墜] [天災地変・神鳴]


一見放たれた瞬間はただの弾丸。しかし、その銃弾は着弾した時に真価を見せる。


わざわざ特注でミスリルを使って作っただけはあり、スキルも相まってその弾丸は龍の鱗を貫く。そして瞬間、リヴァイアサンの体が白く光った。


体内から雷に焼かれる感覚は分からないが、しかしHPが一撃で一割削れる程の高火力は作った甲斐があるというものだ。


「よし このまま!」


しかし、そうは問屋が卸さない。


雷で焼けて隙間ができた糸からぬるりと這い出てくるリヴァイアサン。同時にフェルの魔力が切れ、永久凍土が解け海が元に戻ったのもタイミングが悪い。追撃でもう一発を放つが、その弾丸はリヴァイアサンの体表に届かなかった。


着弾したのは水でできた生命体のようなもので、それは増殖するように数を増やしリヴァイアサンの周りを取り囲んだ。


[解析]


⇒ 【種族】大海生命 Lv.999  【Name】-   【状態】-


  【称号】複製体


   ◇ 能力値

    HP 20000/20000 MP 10/10 SP 10/10

    筋力 5000 魔力 10 耐久 20000 敏捷 10000


  ◇ 耐性

   ⇒無効

    水属性無効(EX)Lv.-


  ◇ スキル

   ・特殊スキル

    無限増殖(EX)Lv.1



「チッ 肉壁って訳か」


レベルは全て999(カンスト)でステータスは極振りを極めた数値が並んでいる。こんなタイプは相手にするだけ無駄だ。


「クズノハ! 魔力をフェルに!」


「承りました」


そしてもう一度、永久凍土が展開される。今度は海を全て凍らせる程の力ではないが、それでも体が水で出来たような生物は全て凍り付いた。


「バロム! 追撃をッ


その声はもっと大きな音でかき消された。リヴァイアサンを中心に広がる大津波、500メートルは超えるほどの高さを持つそれは、ここにいるほぼ全員を軽く吹き飛ばした。体感で移動距離は50キロほど、凄まじい衝撃だがそこまでのダメージではない。


「大瀑布か⁉」


EXスキルにしてはダメージが少ない部類に入るのだろうが、如何せん範囲は規格外だ。それに発動から水が噴き出るまでのタイムラグも殆どない。


今、権能を押さえているアネモイを狙われたら一巻の終わりなので、神足通で海上を一気に突っ切りアネモイを見ると、その目と鼻の先には水の龍が迫っている。


もう一度神足通でアネモイとの位置を入れ替えて代わりに攻撃を喰らうと、内蔵が揺れ一瞬意識が飛びかけた。


見るとHPも3割を切っている。


まずい....

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― 新着の感想 ―
多分表現ミス? 自分で作ったなら特注ではないと思う
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