40 三か月後
キングと別れた後、新しい仲間が加わりフェルたちとも合流できてから早三か月がたった。
あれ以降は探知系のスキルを駆使してボスモンスターを見つけることでかなりのハイペースで階層を更新することができた。61階層からは古代都市とでも言うような景色の広がる階層が続いており、空は常に暗雲に包まれ地上では様々な形態のゴーレムが跋扈している。
それでも何とかボスを撃破し続けること3か月、ちょうど今79階層のボスをバロムがボコり終えたところだ。
「ドロップアイテムは無しか... 渋いな。 これがRPGであれば星1レビュー確定だ」
「次の階層はボス部屋だし良いの出るんじゃない?」
「であるな、確定ガチャというものは脳汁は出ずとも心躍るものだ!」
そう言って駆け足で黒門に入っていくバロムの後ろ姿を見て俺は思った。ソシャゲをする大悪魔って威厳があるのだろうか、と。
その後を追って他の皆で黒門に入ると、既に戦闘は始まっていた。
『シンニュウシャ.... ハイジョ』
「デカいな! これは良いアイテムが落ちそうだ!」
「でっか!?」
バロムが肉弾戦を繰り広げている相手は、一言で言い表すのであれば巨大ロボット。ガン〇ムやエヴァンゲリ〇ンに出てきてもおかしくないくらいに現代的なフォルムをしている。
[解析]
⇒ 【種族】古代機兵 Lv.640 【Name】- 【状態】-
【称号】 機王候補 ダンジョンボス(茨城ダンジョン:80階層)
◇ 能力値
HP 5803/6500 MP 3154/3456 SP 3412/4301
筋力 5211 魔力 3541 耐久 6400 敏捷 3776
◇ 耐性
⇒無効
精神異常無効(EX)Lv.- 状態異常無効(EX)Lv.-
⇒耐性
物理耐性(S)Lv.10 全属性耐性(S)Lv.13 熱耐性(C)Lv.30
◇ 種族能力
自己改造(S)Lv.4 形態変化(A)Lv.5
自己修復(A)Lv.12 金剛身体(A)Lv.15
◇ スキル
・武技スキル
⇒拳術
破山拳(EX)Lv.5 魔法拳撃(EX)Lv.8 発頸拳技(EX)Lv.4
・法術スキル
⇒補助
全能力強化(S)Lv.8 魔力供給(C)Lv.11
・魔法スキル
⇒雷属性
超電磁砲(EX)Lv.3 雷熱波(S)Lv.5 広域感電(A)Lv.8
・生産スキル
⇒ 錬金術
武装錬成(EX)Lv.2 機兵作成(EX)Lv.8
・特殊スキル
⇒パッシブ
反射(EX)Lv.3 機兵之王冠(EX)Lv.11 不退転(S)Lv.5
自動回復(S)Lv.10 基礎強化(A)Lv.5 金剛力(A)Lv.10
⇒アクティブ
身代(EX)Lv.1 天眼通(EX)Lv.3 解析(S)Lv.13
狂化暴走(A)Lv.3 強度練磨(B)Lv.4
やはり敵もインフレが進んできている。
今の俺はレベル620だが、一番高い敏捷ですらあのゴーレムの耐久とHPには敵わないし、EXスキルの数も階層を経るにつれてだんだんと増えていて、かついい感じにまとまっている気がする。
「バロム~ 大丈夫そうかぁ!」
「ちょっとキツイな、このデカブツの攻撃反射能力の間隔が短くて連続攻撃では突破しきれないな。レイド専用ボスといったところか」
「了解」
ということで
[乾坤一擲・剣界] [虚影]
バロムには千手観音の連続攻撃と破魔拳撃によるスキル無効化でダメージを与えるよう指示し、俺は乾坤一擲と剣界の物量によるごり押しと虚影のダメージ無効化で攻撃する。SPとMPがガリガリと減っていくが、それ以上にゴーレムのHPがみるみる減っていった。
....................[破山拳]
巨大な拳が振りかぶられるが、その拳は空中で失速した。よく見ると目の前には氷の幕が張られていて、それによってゴーレムの巨腕は空中で静止していた。
あれは、フェルのスキル永久凍土と天災地変でクズノハの水鏡を強化しているという、二人のいわゆるコンビネーションスキルのようなもので、その防御力はただのEXスキル程度なら寄せ付けない硬さを持つ。
「「ナイスアシスト」」
そしてゴーレムのHPは呆気なく0になり、巨体が光となり消えていく。
「鉄くずにはもったいないスキルであったようだな」
そしてそのあとには黒く輝くスキルオーブが二つと虹が一つ、スクロールが三つ、他に魔石と大きめの水晶玉のような物が残された。
「おぉ、この輝き!まさしくEXの輝き」
するとバロムは目線をこちらに送って来る。いつも通り解析しろということだ。
[解析]
⇒ 種別 スキルオーブ(反射) Rank EX
総評 割るとスキル 反射(EX) を獲得
⇒ 種別 スキルオーブ(天眼通) Rank EX
総評 割るとスキル 天眼通(EX) を獲得
⇒ 種別 スキルオーブ(不退転) Rank S
総評 割るとスキル 不退転(S) を獲得
⇒ 種別 スキルスクロール(破山拳) Rank EX
総評 開封するとスキル 破山拳(EX) を獲得
⇒ 種別 スキルスクロール(発頸拳技) Rank EX
総評 開封するとスキル 発頸拳技(EX) を獲得
⇒ 種別 スキルスクロール(超電磁砲) Rank EX
総評 開封するとスキル 超電磁砲(EX) を獲得
⇒ 種別 ゴーレムコア Rank EX
総評 ゴーレムの核となる部品、
魂の器でありこれの性能でゴーレムの成長限界が決まる。
「妾たちは前のスキルを貰いましたので、今回は辞退しますわ」
「ガウゥ!」
「では有難く頂くとしよう。して、どんなスキルだった?」
「あの反射のスキルと、拳術系のスキル2つと、不退転、天眼通、っていうスキル。あとは雷魔法の 超電磁砲だな」
「では半々で、不退転と拳術スキル二つが吾輩で他を召喚主が使うでどうだ?」
「いいのか?」
「反射のスキルの事か? まぁこちらも惜しいが貸与で何とでもなる。それに対して不退転は貴重な成長系スキルだったはずだ、吾輩の配下の一人が持っていた」
「なるほど」
双方納得してスキルを獲得し、それぞれスキルを試してみる。まずは 超電磁砲から使うと、自身の持っているものをすさまじい速度と威力で射出することができた。これなら乾坤一擲と組み合わせることができればかなり強いだろう。
続いては天眼通、使ってみるとクズノハの千里眼の上位互換といったスキルで、更に自身の視界が360度に広がるような感覚があり、MPを視覚情報として捉えるなどの便利な力も持っていた。そして反射は言わずもがな、あのゴーレムの使っていたスキルによるダメージを反射するものだった。
「ありがとなバロム」
「なに、吾輩には不要なスキルだったに過ぎん。それよりも...」
バロムはアネモイの方を向く。
「さあ羽虫よ、吾輩は遂に不滅種の弱点たる成長性の低さを克服したぞ!」
「私たち精霊を妖精風情と一緒にしないでくれます!?」
未だに二人の仲は悪い。
「さっさと次の階層に行くぞ!」
61階層からはずっと空が曇っていてSAN値が削られているので、できれば早く古代都市のような階層を抜けたい。
反射
一部のスキル効果を反射する。また、一定以下のダメージを反射する。ちなみに、反射ダメージに他スキルによる補正が入る。
一見すると最強のスキルに見えるが、クールタイム、反射出来るダメージの上限、反射出来るスキル対象の狭さなど、様々な制約がある。