36 紅茶は外国産が一番(精霊界産は除く)
「その程度の事はどうでもいいのです。まずは話をしたいのですが、私の魔力は邪魔のようですね? 慣れてはおりませんが抑えておきましょうか」
俺の新たな黒歴史を「どうでもいい」と流されたことに軽いショックと安堵を覚えたが、その驚きもアレ程の魔力が一瞬にして消え去ったことへの驚きで消え去ってしまった。
「立っているのもなんですし、こちらにお座りください」
その言葉に反応して、独りでに椅子が動き出した。
E.T. ?! いや普通に考えてスキルだよな..
スキルが普通って、おれも随分とダンジョンに染まっちまったな、フッ
「カッコつけているところ悪いですが、早く話しましょう!」
ま、まあここはいったん椅子に座っておくことにした。この椅子、アンティーク風で売ったら50万で売れそうな見た目をしている。おずおずと椅子に座ると、次はどこからともなくティーカップが飛んできた。
「安心してください、毒など入っていません」
軽く一口飲んで、ステータスを見ても特に状態に変化はない。
というか美味い。
今まで俺が飲んだことのある、友達の家で出された高級ダージ〇ンよりもおいしいと言わざるを得ないほどだ。
あったかい飲み物で落ち着きを取り戻し始め、魔力もおさまったのでこの自称風の大精霊をまじまじと見てみると、白い髪の間からは長い耳がぴょこんとはみ出ている。
エルフさんだったのか? いや精霊だったか?
.....疑問が多いが、まずは一つ目の質問だ。
「ここはどこなんだ?」
「うすうす気づいているのでしょう? あの脳筋の加護を受けた人間に聞いた通り、ここは精霊界です」
脳... 筋? つまり火の大精霊=脳筋ということか?
いや、まあ確かにそんなことをキングから聞いた気がする。
「ここから先は聞いている通り、私と契約いたしませんか?」
...あれ? 試練があるとかなんとか... あ まずい!
「試練を受けたいのですか?」
「イエ? ナンデモナイデスヨ?」
心を読むとかチートかよ、ノーカンでお願いしたいところだが...
「ダメです♪」
ですよねー
「試練を受けるのは確定として、まず貴方のお面を渡してください」
「いいですけど、壊れてるぞ?」
「問題はありません、では試練を発表しましょう。そうですね~」
キングの話だと精霊王とタイマンしたとか... いや、こんなやべぇ奴とタイマンできるとかキングどんだけ強いんだよ! オークエンペラーどころかバロムだって瞬殺できたんじゃないのか!?
「いえ、それはあの筋肉崇拝者が肉体の力だけで戦うとかいう、精霊にあるまじき試練を行うからです。もちろん私はそんな野蛮なことはしませんし、貴方の力は間近で見てきたので十分知っていますとも」
「では、試練の内容は?」
するとエルフさんは満面の笑みでこう答えた。
「では、貴方にはお茶菓子を作ってもらいます!」
.... WHAT ?