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35 別れと出会い

今日でキングとはお別れだ。


昨日の夜にはメールアドレスを交換したり、布団をもらったりした。ちなみにこの布団、ランクA の超高級羽毛布団だった。なのでこちらからはドロップ品の武器を貰った分も含めて血喰(ブラットイーター)をプレゼントすることにした。


「またなマコト... 多分俺の方がダンジョンのランクが低い分だけ先に出られるだろうし、外で待ってるぜ! また会おうな」


握手を交わした後、キングは王座の裏にあった黒門に入って行き、そして自分も黒門の中に入っていく。


次に出た場所は森の中、しかし既視感はない。今まで探索してきたオークのはびこる鬱蒼(うっそう)とした森ではなく、迎えられているような... 神聖さを感じるというか、そんな雰囲気だ。







....そこから散策すること半刻ほど、いまだにオークどころかモンスターにすら出会わない。


あたりの様子は、様々な果物や花が咲いているだけなので、普通の庭園のように見える。


「ここは... 61階層なのか?」


もしここが61階層であれば分断されたフェルたちと会えると思うのだが、あのアナウンスが嘘だったのか、それともここが61階層ではないのか。


いや、フェルたちが本来の60階層に転移させられた可能性もあるか...


そして、そこからまた少し歩いたところで、カチャン... と、茶器を皿に置くような音が耳へと入った。すぐさま神足通で木の上を駆けて行くと少し開けた空間が見える。そこには白い家具に腰を下ろし、ティーカップを片手に持つ少女がいた。


遠くから見る分にはただのJKかJCといった見た目(絶世の美少女)。だが、近づいた今ではそんな気は全く起きない。なぜなら、そいつからは膨大な魔力が竜巻のごとく立ち上っていたからだ。


「お待ちしておりました。」


人間離れした美しい声、しかしそのか弱いような声ですら膨大な魔力が宿り、台風の中にいるような、か弱いとは口が裂けても表現できない威圧感(プレッシャー)を含んでいる。


その圧力に、俺は一言も発することすらできない有様だ。


「貴方は魔力を感じ取れるのですね! 普通であれば自然の化身たる精霊の魔力は感じ取れないはずなのですが、びっくりです!!」


...... いや、こっちの方がよっぽどびっくりだよ?!


なに?バロムと比べても月とすっぽんレベル(誇張ナシ)でヤバい魔力してるんですけど。100階層ボスですか? いやそんなレベルじゃねぇ、一万階層ボスって言われても信じるね、

てかあんた誰だよ。


といった具合で脳内漫才をするような感じで気分が裏返っていると、またお声がかかった。


「質問にお答えしましょう。私は風の大精霊 アネモイと申します」


え? 俺質問したっけ..


あー... 思考読めるタイプなのね、というか風の?! 大精霊?! あのキングの防具をくれたっていう?!


「その通り! 貴方の「ッ精霊さむぁあッ どうかこの私めと契約してくださいぃ....」という情けない陳情に答えてあなたを此処に招いたのです、感謝してもいいのですよ」


この渾身の物真似を聞いて俺は、中学生時代に女子の同級生にラノベをエロ本と言われ風評被害を受けたことが脳裏によぎった。


やめて!風の大精霊の特殊能力で、黒歴史を掘り返されたら、誠の精神まで燃え尽きちゃう!

お願い、死なないで誠!

あんたが今ここで倒れたら、キングとの再会の約束はどうなっちゃうの?

反論の余地はまだ残ってる。ここを耐えれば、大精霊に舌戦で勝てるんだから!


次回「誠死す」デュエルスタンバイ!



「79 ツナマヨが正義」の後書きにアネモイのイメージイラスト(線画)があります。よければ見てね!

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