表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【更新再開】朝起きたらダンジョンにいたんだが ~異世界転移?いいえここは現実世界です~  作者: sei10
第一章 ダンジョン攻略編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/127

1 目覚め

少しずつ目が覚めてくる、体中の小さな痛みで意識が覚醒していく。


なんだか体が痛い。床で寝てしまって寝違えたかな? と、ぼやけた脳裏にそんな疑問が浮かぶものの、昨日はちゃんと家の布団で寝たはず。


しかし、そんな考えを否定するように、背中からはまるで岩のような、少しごつごつした感触が伝わってきた。


霞んでいた目も少しずつ慣れてきて、少しづつ周りが見え始める。


「知らない天井だ.... は?」


周囲の光景を一言で表すならば、洞窟というべきだろう。俺が寝ている地面は石畳で、壁から天井はむき出しの岩肌のように見える。


俺はすぐさま、痛む体に鞭打って飛び起きた。そうして周囲を見渡すが、やはりそこはどう見ても自室ではない。というか、こんな自室があってたまるか。


床は人工的な石畳で出来ているが、それ以外は天然洞窟のような光景。照明が無いのに周囲が見渡せるのは、このいたるところに張り付いている光る苔のような物のおかげなのか? しかも、よく見てみると虹のような光沢を持つ鉱石まで...


いやいや。確かにそれも不思議だが、それよりもこの状況だ。


「ここ... どこだ?」


一番最初に思い付いたのは誘拐の可能性。しかし、俺みたいな小市民が誘拐される理由も思い当たらないし、誘拐にしてもこんな洞窟に放置される理由だって分からない。


であれば夢遊病かなにか? でも、こんな幻想的な天然洞窟なんて俺の住んでる地域にない。あったら観光名所になってるだろう。そう確信できるくらいには、この洞窟の景色は神秘的だ。


構造的には一本道に所々細い横道... というより洞穴(ほらあな)が開いているといった感じ。そしてやっぱり気になるのは、この謎エネルギーによって淡い光を灯している新種のコケに、なんか不思議なパワーを感じられそうな輝きを放っている謎鉱石だ。


いやヒカリゴケとかヒカリタケとか、光る植物は実在するけれども。それにしたって光りすぎだろ、蛍光塗料でもぶちまけたのかってレベルだぞ。しかもケミカルな感じじゃなくて、むしろ幽玄な感じだし。


「ハハハ... ダンジョンかな?」


そんな思い付きの言葉を吐きつつも、俺は冷たい石畳の上を歩いていく。そして、少し歩いて近くにあった横穴をのぞいてみると.... あったよ。なんか虹色に光り輝く宝箱。


「えぇ?」


しかし、現実にはあり得ないような不思議な色で光るその箱を見ただけで、ここはファンタジーなダンジョンであると... なぜかそんな確信が持てた。


いつの間にか、頭からは誘拐だのの可能性が排除されていた。そして、代わりに今の思考を満たしているのは、その中にどんな物が入っているのかという興味... もとい、中二心。


「眩しい... いったい何が入ってんだ?」


【解析】


ついには俺がペタペタと宝箱を触り始めると、頭の中に情報が刷り込まれるような... そんな何とも言えない感覚がした。


 

 種別 宝箱  Rank S


 総評:最高ランク一歩手前の宝箱



ファンタジーだね、うん。ここは異世界かどこかなんだ。きっと。


ここで俺の理性は吹っ切れた。現実逃避と言い換えてもいい。


「ふぉおおおおおおッ! これはやっぱり ”鑑定スキル” 的なやつか? こういうスキルはファンタジーの定番だし、というか、まさかスキルみたいなのまであるとは...やっぱりここは異世界か? 俺、異世界転移しちゃった?」

 

よくある展開だとこういう時は、ミミックだったりトラップだったりというパターンがあるものだ。しかし、深夜テンションならぬ中二病テンション中の俺からすれば、そんなことが脳裏によぎるはずもない.... 俺は何の迷いもなく、宝箱を開け放った。


すると宝箱からは光があふれ出し、煙のように消えてしまった。そして後には、三つのアイテムが残された。


「剣と瓶と.. また宝箱?」


一見するとただの無骨な剣と、青い薬の入った瓶と、木の小箱でしかない。これがあのすごく光っていた宝箱から出てくるものだろうか?


そんな疑問が浮かぶが、こういう時こそ鑑定スキルの出番だろう。


「鑑定、鑑定、.....」


ただ鑑定と口にするだけではなかなか発動しない... 少し不安になるが、これは何なのかと少し念じてみると、すぐに鑑定スキルは発動した。


発動条件は明確な目的を持って念じる... といったところかな?


【解析】


⇒ 種別 魔法武器 刀剣  Name 鉄骨剣(Lv.1)  Rank B


  材質 青生生魂 龍骨 魔鉄  耐久度 ∞

 

  補正 攻撃 +500 魔力 +250


  スキル 成長(EX) 不壊(A) 修復(B)


  総評 成長する武器。

     潜在的にEXランクに進化する可能性を秘めている

     特殊な攻撃以外で破壊されず、壊れても修復する。



⇒ 種別 エリクサー  Rank A


  効果 状態異常治癒(A) 身体欠損再生(A)

     MP回復 HP回復 

     MP+10(永続)


  総評 Aランクの回復アイテム。



⇒ 種別 罠の宝箱  Rank S


  効果 土槍射出(一回) 攻撃 3500 防御貫通(S)


  総評 一回に限り、前方に土属性魔法の槍を射出する

     鍵穴で敵に反応するため後ろから持てば発動しない


 


青生生魂 アポイタカラ?って確か伝説の金属のはずだし、エリクサーはあれだな、F〇で出てくる回復薬だ。あと、何気に罠の宝箱のランクが地味に一番高いのは何なんだ...


所々に違和感はあるものの、大体の情報はよくあるファンタジー作品に出てくるものであり、剣と回復薬はランクがAやBなので、結構なレア物かもしれない。


そして、実際に手に取ると鉄骨剣は意外と軽くて扱いやすそうだ。例えるなら、竹刀くらいの重さ。しかし、エリクサーの方は近くで見るとただの色水にしか見えない。まぁ、一応ポケットに入れておいた。


そして最後の一つ、罠の宝箱。


「これは置いて行ってもいいか」


罠の宝箱をわざわざ持ち歩いてもいいことはないだろう。


その後は、夢現(ゆめうつつ)な気分のまま剣を振り回してみたり、ビンを観察してみたり。たったそれだけで、日頃のストレスが吹き飛ぶほどに気分が良くなる。


学校の剣道で習ったように剣を両手で正眼に構えて振ってみると、フッと風を切る音が聞こえて気持ちいい。


不思議なほどに気分が高揚しており、まるで物語の主人公になったようだった。







 

「グォアゥ....」


しかし、そんな気分が一瞬で失せるような... そんな背筋の凍る音。


猛獣か何かの力強い足音、そして獰猛な唸り声。それらを耳にした瞬間に、俺の全身は金縛りにあったように動かなくなった。


唯一動くのは目線くらいのもので、おそるおそる横穴の入り口に向ける。


見なきゃよかった... と、そう思うのももう遅い。そこに居たのは、体長が3メートルを超える巨大な狼だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ヒカリタケは自発光しますが、ヒカリゴケは光を反射しているだけです。
主人公は初期遭難者(情報なし)?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ