24 恥はかき捨て、られないが?
「とりあえずオークを探していこう。」
「そうだな、さっさとボスを見つけたいところだが」
昨日のオークを倒したことで久しぶりにレベルが上がったので、階層を上がるごとにレベル上限が上がるのかもしれない。
「そうだ、ちょっと聞きたいことがあるんだが」
「ん? そんな余裕があるのか?」
「まあ感知系スキルで近づいてきたやつは大体分かるし、雑談くらいなら大丈夫だな。」
「OK それならなんでも答えるぜ」
ここで聞きたいのはやはり精霊についてだ。
「精霊と契約した時のことについて聞いてもいいか?」
「特に口止めもされていないし大丈夫だ。そう、俺があいつに会ったのは三十階層をクリアした時のことだ。ゲート... 次の階層に行くあの黒いやつに入ったら、いきなり神殿みたいなところの前にいて、そこで炎の大精霊イフリートに出会ったんだ」
「炎の大精霊、強そうだな!」
「あいつ自身も「創世から存在する四大精霊の一角」とか言ってた」
「創世って46億年前くらいかな?」
「さぁ? そこで契約した結果、爆炎支配のスキルとこの鎧を手に入れたってわけだな。」
「その新スキル、確かステータス上は権能の括りになってただろ? その権能というのはどういった効果があるのか知ってるか?」
「俺も詳しくはわからないが、これを手に入れてからは火属性の魔法が強くなったのは分かった。後はイフリート曰く、使いこなせれば既存のスキルとは次元の違う攻撃ができるとか」
魔闘法と同じようなものだろうか? しかし既存のスキルとは次元の違うという点ではちょっと違う気もする。
「俺も契約してみたいな」
「なんでも、精霊たちは精霊の力が宿った物を通じて精霊界からこちらを見ているんだと」
「なるほど」
そこで俺は迷案を思いついた。おもむろに腰の仮面を手に取り片手で拝みながらこう言った。
「ッ精霊さむぁあッ どうかこの私めと契約してくださいぃ....」
こちとら攻撃力はインフレしてきているが、防御力はそこらのオークの攻撃を10発喰らうと終わりなくらいには貧弱なのだ。恥も外聞も、小心者根性も押し殺してこのレベルの防具は欲しい。
「流石にそれはチョット... あと最後少しヘタレたのがな」
「言うな、おれもそう思った」
................................プギィ........................
「オークだ。ここから300メートルくらいか?」
神感スキルが獲物を捉えた。上位種であれば追跡、普通のやつであればキングの経験値ってところか。
先ほどの気配のほうに影眼を飛ばし、キングと一緒に神足通で傍の太い木の影の中に移動する。
「瞬間移動か、やっぱり凄いな。あとここはどこだ? 水の中 いや違うのか?」
「10メートル先にオークがいる」
「なるほど。もう驚かないぞ」
影の中から影眼でオークを見てみると、そいつは鎧を着てランクBの武器を持っており、上位種のオークのようだ。
「上位種みたいだ、あいつを追いかけよう」
「よくわからんが了解だ」