21 世紀末覇者は意外と優しいことが多い
「 oh! Are you Japanese? 」
「 お... Yes? 」
やばい。
いろいろ突っ込みたいことはあるが、一番の問題がある。それは俺の英語力が中学の頃から赤点をとりまくるレベルだということだ、つまりこの人と会話はできない。
「ア。 あ... オレの名前はキングだそっちは?」
「へ? 日本語?」
いや違う。
これはさっきと同じ、頭に響くような声だ。だが、あの時のような抑揚のない声ではない。
「オレのスキルに翻訳機能みたいなスキルがあるんだ」
「俺も欲しいな... あと俺の名前は早川誠だ... です?」
「オーケー マコト、あとタメ口でいいぞ? っと、早速一つ聞きたいんだがここがどこだか分かるか?」
「俺もさっきここに来たばかりで、さっき60階層のゲートに入ったときにそのまま来たんだ」
「Wow 60? エグいな。ちなみにこっちはニューヨークダンジョンの31階層から、いきなり転移させられてきたんだよ」
なるほど、あの時の声の該当者二名というのが俺とこのキングさんだということか。
「一つ聞く。ダンジョンから出る方法は知ってるか?」
「知らないです、いや、俺が聞きたいぐらいだ」
「だよな。 やっぱダンジョンをすべて攻略するしかないってことかね~」
随分と気さくな世紀末覇者だ。
そして俺自身もかなりコミュ障に近かったはずだが、なぜかタメ語で話せている。レベルが上がったから大男でも恐怖を感じないというのもあるのだろうが、やはり俺も人恋しかったということだろうか?
「そういえば君の潜っていたダンジョンはどこなんだい?」
「茨城ダンジョンってなってたな」
「茨城というと、東京の横にあるところか?」
「そうそこ、多分寝てる途中にダンジョンができてて、気づいたら洞窟にいたんだ」
「なるほど。オレは仕事中にいきなり空間の裂け目に落ちてそのまま5階層にいたって感じだ」
「じゃあレベルはどれくらい?」
「94になったばっかりだ。んでそっちは?」
「348だな」
「... なあ。多分ここから先はテンプレでいうと共闘だと思うんだけどさ、俺、足引っ張りそうじゃないか? さっきのアナウンスを聞いてるならわかると思うんだが、ここって敵のレベルが60階層相当なんだろ?」
確かに、さっきのアナウンスでは開催地を茨城ダンジョン60階層だとか言っていた気がする。
「なに、パワーレベリングすればいいだろ。こっちも人手が増えることはいいことだしな」
「じゃあ俺のステータスを見せたいんだが、鑑定系スキルは持ってるか?」
「一応持ってはいるが、いいのか?」
「ああ 命かけてもらうんだ、こっちも誠意を見せるのが筋ってもんだろ」
今わかった、こいつマジでいいやつだ。
「わかった。じゃあこっちのステータスも見せるわ、鑑定スキルは持ってるんだろ。」
「オーケー、じゃあ見させてもらうぜ」
[精査] [鑑識眼]
なるほど、これが解析される感覚か。なんというか視線を感じるというべきか、魔力を浴びているような気がするの方が近いかな?
⇒ 【種族】人間 Lv.94 【Name】 King J Williams
【天職】 狂戦士(A) Lv.10 【状態】-
【称号】 探索者(ニューヨークダンジョン:31階層) ...
HP 676/676 MP 432+/432 SP 592/592
筋力 752 魔力 470 耐久 742 敏捷 554
◇ 耐性
⇒無効
炎熱無効(EX)-
⇒耐性
精神異常耐性(S)Lv.27 寒暑耐性(B)Lv.13
物理耐性(C)Lv.15 苦痛耐性(D)Lv.11 恐怖耐性(E)Lv.7
◇ 職業技能
⇒狂戦士(A) Lv.10
狂化暴走(A) Lv.3 火事場力(B) Lv.7
強化法術 Lv.4 – 金剛力(A)Lv.3 抗体(C)Lv.6
斧術 Lv.4 – 破壊斧撃(B)Lv.5 剛撃(D)Lv.8
拳術 Lv.3 – 浸透頸(C) Lv.5 拳撃(D) Lv.4
◇ スキル
・武技スキル
⇒ 防御術
防壁(C)Lv.11
⇒ 移動術
走破(C)Lv.1 跳躍(E)Lv.8
・魔法スキル
⇒ 火属性
火鎧(C)Lv.4 火弾(D)Lv.6
・特殊スキル
⇒パッシブ
筋肉至上(EX)Lv.1 気力(B)Lv.8 身体強化(D)Lv.16
⇒アクティブ
鑑識眼(A)Lv.2 イベントリ(A)Lv.3
以心伝心(B)Lv.1 自己再生(C)Lv.4
遠視(D)Lv.15
・権能 爆炎支配
そこで最初に口を開いたのはキングの方だった。
「レベル348... マジか。たった3か月でここまでレベルを上げるとは。苦労したんだな」
キングは一人でこちらを心配し始めた。
「いや、精神異常耐性レベル27って俺よりも高いじゃん。」
「ああ、オレは途中で火の大精霊と契約してね、そいつと話すようになってから結構楽になったよ。」
「あと君のスキル、式神というのはONMYOUZIの使うやつってことか? マコトはONMYOUZIなのか!」
アニメかという程に、ものすごく輝いた眼だ。
「天職は忍者とか影法師とかだけどな。まあ、軽い自己紹介は済んだし ここからは改めて共闘していこう。」
「そうだな、それは大賛成だ。あと一つ問題があるとすれば、探知系スキルがないことだな」
これは大問題だ。このままだと、この階層をこないだのように数か月もさまよう羽目になる。
「オレは遠視のスキルを持ってるぜ」
「...60階層は多分直径500キロ以上はあるんだ」
「マジかよ... そんなのボスを倒すのに何日かかるんだ?」
「ちなみに58階層では2か月くらい探したぞ」
「「................」」