16 ダンジョンで気絶はつきもの
次に目が覚めて周囲の様子を確認すると、どうやら小屋の中のようだ。
「あれ、どうして... そうか訓練で魔力を頭で混ぜたからか。」
すると、小屋のドアが開かれクズノハが入ってきた。
「主様、お目覚めになられたのですね、よかったです。ところで、どうして倒れていたのですか?」
「あぁ、最近やってる魔力の訓練でちょっとやらかしたっぽい。」
「なるほど。あと随分と脳を損傷していたので治療しましたが、何か不調があったりはしませんか?」
どうやら、あの魔力の運用は随分と脳に負担をかけるらしい。
[解析]
⇒ 【種族】人間 Lv.348 【Name】 早川 誠
【天職】 忍者 Lv.18 【状態】記憶喪失(微)
【称号】 探索者(茨城ダンジョン:59階層) 開祖
格上喰い 虐殺者 オークスレイヤー...
~
◇ スキル
~
・魔法スキル
⇒ 雷属性
雷霆万鈞(A)Lv.5 up! 過充電(B)Lv.5
雷撃(C)Lv.7 纏雷(C)Lv.1
⇒ 風属性
風翼(B)Lv.2 鎌鼬(C)Lv.15 纏風(C)Lv.4 up!
⇒ 魔闘法
***(EX) New! 純化(S) 魔力自在(S)Lv.7 up! 魔力装甲(D)
ヤバいな。
クズノハは脳を損傷していたといってたけど、どうやら、脳みそと一緒に記憶まで吹き飛んだらしい。だが、これといって記憶がなくなった感じはしない。これは”微”となっているからだろうか?
そして、改めてステータスを見ると、魔闘法の中に新たにEXランクのスキルが加わっている。これはさっきの、頭で魔力を練る奴だろう。
何かいい感じの名前を.... 魔力にイメージを与えて一段階格を上げている感じだから、励起とかにしようか。まぁ、封印決定だけど。さすがにあれをもう一度やる勇気は、死にかけでもしない限り、俺に湧いてくることはないと思う。
体を起こして外に出てみると太陽は正午の位置にあり、どうやら五時間近くは眠っていたようだ。あまり腹は腹は減っていなかったので、今から59階層の探索を始めていこう。
伏魔殿をでると、昨日得た教訓を元にクズノハにスキルを発動してもらう。
「このあたりに強い奴はいる?」
... 「ここら一帯にはいないようですね。」
これで、周囲5キロくらいの、千里眼で見える範囲は確認できたわけだが...
「今思いついたんだが、予知スキルで分かったりしない?」
「なるほど。 少し厳しいですが、神通スキルを使えば可能でしょう」
[神通・予知]
少しするとクズノハの毛が逆立ったと思えば、神々しい光を放ち始めた。
「南南西の方向にこの階層の主がいるようです」
「どんな奴だ?」
「通常のオークを二、三倍したようなオークです。大層な鎧もつけていますね。」
「オークキングとかかな?」
ということで森を進んでいく。もしかしたら、植生だったりが58階層と違っていたりするかもしれないので、ついでに解析で食べられると分かった、草や木の実などを摘みながら目的地を目指す。
「そういえばここから何キロくらいあるんだ?」
「500キロほどあります。」
「マジか... 2日はかかりそうだな。」
川辺と違って障害物も多くさすがに遠いので、前のように全力で走ると自分の位置すらわからなくなりそうだ。かと言って森の中を突っ切るのにはかなり時間がかかる.... まだ先は長そうだ。