12 第三回、宝箱開封会
「さて、何が落ちたかな?」
見た感じでは、一番狙いの鎧はドロップしていないが、オークが使っていたSランクの戦斧と、ボーリング玉サイズの魔石が落ちている。
そしてもう一つ、このダンジョンで目覚めてから、未だに二度だけしか見ていないものがドロップしていた。
「宝箱、それも金!」
このダンジョンに迷い込んでからすぐに見つけた虹の宝箱以降、俺が宝箱を見たのはハイオークを倒した時にドロップした木の宝箱、ただ一つだけだった。
しかも、その宝箱には空のガラス瓶しか入っていなかったので、一度目との差でかなり落胆したものだ。
しかし、今度は Aランク 虹の一つ下、絶対にいいアイテムが入っているはず! 今回は油断せず、解析で罠がないことは確認済みだ。
「それでは オープン!」
今までと同じく宝箱は消え、今回は2つのアイテムが残された。
「お面と、外套かな?」
[解析]
⇒ 種別 魔法防具 仮面 Name 緑風の般若面 Rank A
材質 精霊樹
耐久度 1000/1000 補正 敏捷 +200 魔力 +800
スキル 風の衣(B) 風の加護(A)
総評 精霊の加護が宿った般若面
装備者の風魔法を強化する
認識阻害の効果を持つ
⇒ 種別 魔法防具 外套 Name 影の帳 Rank B
材質 シャドースパイダーの糸 黒大蛇の革
耐久度 700/700 補正 耐久 +200 敏捷 +600
スキル 修繕(B) 傍流の竜鱗(B)
総評 魔力を使い直すことができる外套
竜鱗の帯びる魔力により常時結界が展開されている。
結界は HP1400分のダメージを防ぐことができ、魔力で再展開可能。
「鎧はドロップしなかったが、逆にこれでよかったかも」
ぶっちゃけ、さっきの鎧よりもいいかもしれない。
この動作に支障が出にくくも、ダメージが防げる外套のほうが、暗殺者のような動きをする俺の戦闘スタイルには合っている。
また、般若面のほうも風魔法を多用するので相性が良かった。
「とりあえず装備してみよう」
まずは外套から羽織ってみる。
フードもついており、顔から腰の少し下までが隠れるぐらいのサイズなので、普段使いしても良さそうだ。そして次は般若面、最初は紐がないのでどうやってつけるのか疑問だったが、顔に当ててみると、なぜか落ちてこないし、視界も全く遮られない。感覚的にはマスクを着けているような感じだった。
「口の部分も開いてて顔も蒸れないし、こっちも普段使いに支障は無さそうだ」
良い装備も手に入ったし、レベルも318まで上がった。それに、やっとこの階層を抜けられるので気分は最高といったところ、やはり木にくっついているのはあの時と同じ黒い門だった。
「よし、入るか!」