表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【更新再開】朝起きたらダンジョンにいたんだが ~異世界転移?いいえここは現実世界です~  作者: sei10
第四章 夏休み編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

132/138

123 悪魔の流儀

夏休みが始まって三日目の朝。俺は朝のスパーリングで流した汗を流すために、シャワーを念入りに浴びていた。


汗をかくのも久しぶりで、このベタつきが気持ち悪い。寒暑耐性が上がってからは汗をかきにくくなっていたのもあって、気持ち悪さがより鮮明に感じられる。


ちなみに... ここまで汗をかくほどに俺を追い詰めたのは、最近の模擬戦相手であるエル。


今日からは武器のスキルを解禁しての模擬戦をしよう! と言ってみたはいいものの、エルにあげた防具である戦乙女の鎧(ヴァルキリーメイル)のEXスキル【戦乙女】がマズかった。


【戦乙女】は自在に変形可能な全身鎧を展開するというスキルであり、これを応用したエルはかつての100階層ボスだった時のような姿に鎧を変形させたのだ。つまりは、ロリ体形ではなく成人女性くらいの体躯ってわけ。そこからはもう一方的なもので、エルの.... まるで水を得た魚のような挙動と剣技を以て、俺はフルボッコにされてしまった。


いやぁ... 本来の体格よりも、身長を一メートル弱も盛ってそうな鎧姿の方が実力を発揮できるのってどうなんだ? 最近の、やっとエルに剣技で並んだぜ☆ っていう自信を完全に打ち砕かれたね。ついでに体も全体的にミンチされた。具体的には、騎士剣の平たい部分で食肉を柔らかくするかのようにボコボコ殴られた。いたい。


「うぉ... 痣になってやがる」


エルもレベルカンスト勢なだけあって、まともに剣をくらった箇所はかなり痛かったね。【自動回復】のおかげで既に腫れは引いているものの、内出血は残っている。


そうして患部を冷水で冷やしていると、不意にリビングから電話の着信音のような音が響いた。


「なんだなんだ?」


ちょっと待ってみても、その着信が鳴りやむことは無かった。しかし、今の状態で取りに行っても.... リビングだしな。アネモイに「そんな粗末な物を見せないでください」とか言われて、俺の息子が悲惨な末路を迎えるだろう。


なので俺は、リビング横の部屋でゲームをしているであろうバロムに向かってこう叫んだ。


「バロムぅッ! 電話に出てくれぇーーーーー!」


「心得たァぁあああ!」


丁度ゲームがひと段落していたのか、快く返事が返って来た。この前のこともあって若干不安だが、まぁこの家のメンツであればバロムが安パイだ。


そうして俺は全身を温水で洗い流し始めた。



◇ Side バロム


プルルルルr....


と、そんなけたたましい音を鳴らすゴツいスマートフォンを、吾輩は手に取った。そうして通話ボタンを押し、右耳に当てる。すると、聞こえてきたのは野太い男の声だった。


「早川さん、緊急で対処してもらいたい案件があってお電話いたしました。浸食型である上野ダンジョンで、一個体強化の迷宮氾濫(スタンピード)が発生。その特異個体(ユニークボス)の討伐を依頼します! 報酬は...」


そこで吾輩は話を遮り、一つの口約(こうやく)を行った。


「その依頼、吾輩が引き受けた」


そう言って電話を切り、吾輩はベランダへと続く窓へと歩を進める。しかし、そこで一つの声が掛けられた。その声の主は普段からここ、リビングを根城にしている者であり、吾輩の天敵でもある者。


風の神。大精霊。そして、悠久の時を生きるBBAだ。


「行くのですか」


「貴様には関係なかろう?」


「はぁ~ 貴方が自滅することは喜ばしいですが、マスターまで巻き込ませるわけにはいきませんからね。これを付けていきなさい」


そう言ったBBAは、一つの仮面を差し出した。材質は精霊樹か何かで、見た目は鳥のくちばしが生えたような、いわゆるペストマスクというヤツ。製作者が目の前のコイツだという事実が誠に遺憾だが、デザイン自体は吾輩の琴線を刺激するに足る一級品だ。


「これは?」


「顔くらいは隠すべきでしょう。それに、口の部分には声を(いつわ)る”風”を仕込んでおきました。他にも瘴気や覇気も散らしてくれるので、これである程度は正体を誤魔化せます」


「ふむ....」


正直に言って、こやつからの貰い物など受け取りたくはない。なにせ、こやつは風の精霊.... 究極の自由者であり、自らの感性に従って風のように(うつ)ろう者。そんな、悪魔からしてみれば信用に足らない存在だ。


「....しかし、貴様の献身(・・)は知っているのでな。そのマスターのためという発言を(かんが)みて、有効活用してやろう」


いつかの鮮烈な記憶を想起し、吾輩はそのマスクを装着した。多少の不快感はあるが、それはあくまで生理的嫌悪感にすぎない。いわゆる種族柄だ。機能的な不備はなく、戦闘にも支障はないだろう。


ふむ、では気を取り直して... 降って湧いた好機を掴みに行こうではないか。


「よぅし。吾輩の財力と神力のためだ。少々の荒療治、悪魔の本懐をマスターに御照覧(ごしょうらん)いただこう」


まだ昼前であるはずの空には暗雲が立ち込めており、その台風の目にはかなりの大物が居ることが肌で感じられる。そこを目掛けて、吾輩はカメラを片手にベランダから飛び去った。

リアクション 喜び Lv.1

ブックマーク 喜び Lv.2

評価     喜び Lv.3

感想     歓喜

レビュー   狂喜乱舞

        ↑

      作者の反応

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
バロムさんや、暴走はダメだろ? しかし、主人公の貧相な息子を世に出す訳にもいかんか、Good Luck!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ