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【更新再開】朝起きたらダンジョンにいたんだが ~異世界転移?いいえここは現実世界です~  作者: sei10
第三章 学校編

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幕間① 憤怒の悪魔、バイトする?

ある休日の昼下がり。オタク部屋と化している部屋の一角では、いつも通りにバロムと俺が娯楽にふけっていた。


「なあマスター、ちょっと話があるのだが」


そんな中で、パソコンで流れるアニメに齧り付いているバロムは、不意にそんな事を言い始めた。


「デイリー消化しながらで良い?」


「うむ、でだ。実は吾輩、バイトなるものを始めてみようと思うのだよ」


「.......へ?」


バイト...  バイトか。俺もコンビニバイトくらいなら経験があるものの、バロムがバイト?


「んー なあ、別に少しくらいなら俺が出すぞ? バロムがいなかったらダンジョンで野垂れ死ん出たかもだし、命の対価になら安いもんだ」


「いや、そういう問題ではなくてだな...?」


少し言い淀むバロムだったが、戸籍すらない中年を雇ってくれるような店が今どきあるのだろうか。というのが、俺の感想だ。


清潔感とかの面では指摘されないだろう容姿をしているものの、はたから見れば無職・中年(見た目)・職歴無しと、色々と残念な人に見えるだろうこと請け合いだろう。


「....難しいと思うぞ?」


「なぜだ? 日本ではドラゴンでもバイトが出来るのだろう?」


「メイドなドラゴンがいる時空から戻ってこい。法治国家の日本には、戸籍ってものがあるんだよ」


「魔王でも戸籍を持てるはずだ」


「そんな簡単だったら難民問題とかも解決してるっつーの。あと、マックなんてそれこそ審査厳しいだろ。飲食店だし」


「うぅむ....」


現代社会を漫画やアニメから学んだ悪魔が働ける場所など、今の日本に在るのだろうか。それこそ田舎のコメ作り農家で雇ってもらう位しかないだろう。つまり東京にはバロムを雇ってくれるような所は皆無だ。


しかし、今までは漫画とアニメとゲームで満足していたバロムが急にこんな労働意欲を見せたことに対して、俺の中で疑問が芽生えていた。


「なぁ、なんで急にバイトしたいと思ったんだ?」


「買いたいものがあってだな、その為にマイ貯金を貯めたいのだよ」


「具体的には?」


「推しのグッズをだ」


「あーね、やっぱり自分のお金で買いたくなるよね」


「うむ、吾輩は憤怒の悪魔。己が力で望む物は手に入れるのが悪魔としての在り方だ。しかし、郷に入っては郷に従えともいうだろう? ここが日本であるなら、単純な暴力ではなく金で、己が財力で望む物(グッズ)を手に入れるのだよ」


「んー、分かる。俺も高校生になってバイト始めたのはそれが理由だしな」


しかし、しかしなぁ….. 率直に言って、バロムには人間社会の常識は備わっていない。表面上はアニメや漫画の知識で取り繕っているが、行動の節々で悪魔としての本能を滲ませている。いや、仕方のないことだよ? だって、バロムは幾星霜の人生の内、たった一ヶ月しか人間社会に触れていないんだから。


だが結局は、常識知らずなことに変わりないし、問題が起きるのは必然だ。


バロムの言い分は痛いほどわかるが、その主張を容認することはできない。そんな板挟みで悩んだ俺は、その結論を一旦保留することにした。


「ちょっとフェルの散歩に行ってくるから、話はまた今度ってことで」


「仕方ないな」


そうして俺は、魔力を通しやすいミスリルをワイヤーのように編んだリードを片手に、伏魔殿の入り口に歩いて行った。


前に式剣を作ってから、俺は本格的にフェルとクズノハの伏魔殿から出られない問題を改善する手法を模索していた。そして、フェルの問題の解決策がこのリードなのだ。


「フェルー!」


伏魔殿に向かって呼びかけると、その亀裂からにゅっと顔を出すフェル。まずは通常の大型犬サイズまで小さくなるよう指示し、その首に特製のリードを繋げる。そして、そのリードに魔力を流し込んだ。


これで、フェルはダンジョン外でも一日以上は実体化できるようになるのだ。仕組みで言えば、魔力の伝導率が高い素材で作ったリードで魔力を供給しているため、魔力供給時のロスがほとんどなくなったからって感じ。そのままフェルは全身を伏魔殿から出すが、後ろ髪を引かれるように伏魔殿へと振り返っていた。


「ごめんなフェル。クズノハは、まだ出られそうにないんだ」


その言葉の通り、クズノハとフェルの問題は全く別のものらしい。フェルは実体化に必要な魔力さえ供給できれば問題ないが、クズノハはモンスターを直接テイムした式神であるからか、ダンジョン外では肉体が魔力に還元されてしまうのだ。


それに、フェルは魔石に戻るだけだが、クズノハは肉体を失えばそれ即ち死だ。軽々しい実験なども出来ないため、その試みは遅々として進んでいない。


「行ってらっしゃいませ〜 お土産はカステラでお願いします」


しかし、そんなクズノハの軽い返事は、申し訳ない気持ちを払拭してくれた。そうして散歩に出かけようと廊下を歩くと、オタク部屋からバロムの何気ない声が届く。


「せっかく紐を二本編んだのだから、エルは連れていかんのか?」


「は?」


確かにエルは擬人式神、つまりはフェルと同じくリードで外を出歩ける。が、その光景を側から見たらどうなるだろうか?


答えは、幼女にリードをつけて歩く性犯罪者だ。首ではなく手首に着けたとしても、逆に俺が警察のお縄になるだろう。


「お前にバイトは当分無理だ」


「何故だ!?」


ドメスティックでバイオレンスな悪魔にバイトは早すぎる。いや、逆に悪魔らしいのか?





リアクション 喜び Lv.1

ブックマーク 喜び Lv.2

評価     喜び Lv.3

感想     歓喜

レビュー   狂喜乱舞

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      作者の反応

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― 新着の感想 ―
何も人間社会でバイトしなくても、一緒にダンジョンへ入って魔石やアイテムを回収すれば良いだろ? その売却益で推し活でも何でも出来ると思うけど? 組合の会長に「召喚しました!」とだけ言えば、組合のカードも…
腰縄なら迷子紐扱いでギリギリセーフ?
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