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107 当たらなければどうということは無い

書き溜めが減ってきたので、更新頻度が一週間に一度くらいになります。これからもよろしくお願いします。

今の戦況は互いに得物の間合いから外れ、仕切り直しといった状況。そこで巫女はすぐに距離を詰める。


対する俺は、まずは場を整えることにした。


【落星】


天井を覆うような巨大な岩石が出現し、それが自重によってこちらへと落ちてくる。周囲が暗くなったために巫女の表情は読めないが、気の抜けるような声が聞こえたので多分だが焦っているのだろう。


しかし、あくまで隕石は重力に従って落ちてきているだけなので、探索者の能力値とスキルをもってすれば回避は容易い。そして隕石が地面と衝突する瞬間に、こちらも回避を行った。


【大地隆起】


土属性魔法によって隕石に穴をあけ、その穴をすぐさま駆け上がる。落ちた隕石は衝撃によって爆散するが、ギリギリで穴を抜けきることができた。


「巫女は.... いた」


隕石を外側から移動して回避した巫女は、バラバラになった岩の影で息をひそめているこちらの姿を未だに捉えてられていない。


【剛力】【砲身】【天穿】


筋力を強化して槍を片手で水平に構え、槍を持つ右腕を砲身で加速。使い慣れた”天穿”をその進化形である乾坤一擲のように、投擲として扱う。


「はッ......」


ズバッと空気を割くような音と共に十文字槍が解き放たれる。その音速を超える投擲は巫女に感知される前に着弾し、身代わりの耐久値を(えぐ)り取った。


「うっしッ!」


しかし、未だに身代わりの耐久は半分を割っていない。巫女はこちらを見つけると、十文字槍を結界の端まで投げつけ、そのまま急接近してくる。


【大地隆起】


俺はその突進を正面から迎え撃つように大地を隆起させ、巨大な土槍を出現させる。だがその槍を避けた巫女は、その槍を足場として更に接近し、スキルによって攻撃を繰り出す。


【飛燕】


薙刀が鈍く光り、その刀身から一筋の光刃が飛ぶ。巫女の攻撃は、今の俺にとってその全てが勝負が一撃で決する必殺技に等しい。なので素直に受けてやるわけにはいかない。


土塊武器(アースウエポン)


【回天】(かいてん)ッ....!」


巨大な土槍を武器として前転させることで巫女を吹き飛ばし、更に磁界(フォースドメイン)の引力によって地に叩きつける。しかしまだ身代わりの耐久は残っているらしい。


すぐに巫女は土槍を吹き飛ばして体勢を立て直そうとするが、俺はその前に上空へ飛んで【落星】を生み出した。もちろん先ほどと寸分違わない隕石であり、巫女の敏捷であれば回避は余裕だろう。本来であれば... だが。


【烈震脚】


隕石は俺の全力キックによって加速し、更に磁界(フォースフィールド)によって落下が加速する。


【天薙】


しかし、隕石は地に着く前に真っ二つに両断された。


「えっぐ...」


俺のレベルが巫女と同程度、三か月ほどオークを蹂躙していた頃にあんなことが出来ただろうか? 答えは否。Aランクの攻撃スキルこそ持っていたものの、あれほど巨大な隕石を一刀両断なんて真似は確実にできなかった。


初めから式神作成を持っていた俺が言うのもなんだが、レベル一からEXスキル三つってチートだわ。


そして、切り捨てられた左右の隕石を足場に巫女がこちらへと距離を詰める。結局この戦いは一撃を当てれば勝つ巫女から俺が逃げ回るという構図であり、今まではその通りに中距離戦闘を繰り返してきた。しかし、圧倒的防御力の前に生半可な攻撃は無意味.... ここは攻勢に出るべきか。


眼と鼻の先まで迫った巫女を磁界で地面に叩き落とし、こちらも磁界で地面に向かって落ちていく。


【烈震脚】


周囲に散らばった隕石の欠片が衝撃でひび割れるが、巫女はその踵落としを薙刀で受け流していた。


【エスケープ】


【縮地】【寸勁】


逃げて体勢を立て直そうとする巫女の裏を取り、すかさず追撃を放つ。が、やはり効きはすこぶる悪い為に、彼女は全く怯まずに薙刀を振るう。


【天薙】


首筋ギリギリに刃が迫るが、磁界による変則的な機動と超集中による動体視力の向上によって、回避しながら寸勁を何度も巫女の体に打ち込んでいく。


勁と付くスキルには衝撃を生み出す他にも、耐久力をある程度無視してダメージを与えるという効果がある。バロムの発頸拳罡ほどでは無いにせよ、この寸勁もキングの浸透勁くらいの防御無視が含まれていた。


しかし、それでも巫女のダメージは未だ二割ほどであり、こちらが先にガス欠するのは必至だ。


「やっぱりコイツ(EXスキル)で決めるしか無いか...」


磁界によって巫女と俺を反発させて距離を取り、真銘契約で繋がった十文字槍を召喚する。


【魔槍式】


そのスキルを使ったと同時に磁界の効果が途切れ、巫女にずっとかけていた重力による移動阻害も効果を失った。


そうして戦況はまたしても仕切り直しといった状況に戻り、俺が放った独白に巫女は得物を構えつつ口を出してくる。


「貴方のペースに飲まれてしまったのは確かだけれど、もう勝ち目は無いわ。虎の子の魔法(EXスキル)、もう使う魔力すら残っていないのでしょう?」





それは確かな事実だった。


磁界と落星に大地隆起、そんな大技をポンポンと放っていれば、レベル250にも満たない体ではすぐに打ち止めになる。確かに肉弾戦も熟せるが、EXスキルを持たない以上、EXスキルで強化された肉体に大きなダメージを与えることは難しい。


しかし、その考え方は大きな間違いだ。




ここまでの戦いで撒いてきた布石によって、既に俺が勝つ未来は見えていた。しかし、それを表に出すことはせず、俺は百武さんの顔で苦虫を噛み潰したような表情を作る。


さて、隠者(ハーミット)らしく勝ちを拾うとしようか。



リアクション 喜び Lv.1

ブックマーク 喜び Lv.2

評価     喜び Lv.3

感想     歓喜

レビュー   狂喜乱舞

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      作者の反応



○スキル解説コーナー


磁界

影界と同系統の結界系スキルで、引力と斥力を自在に付与できる。


落星

隕石を生み出すスキルで、高いところから落とすべし。


大地隆起

地に類するものを自在に変形させる事ができるスキル。


魔槍式

魔法効果を槍にエンチャントできるスキル。

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― 新着の感想 ―
悔しがる巫女の姿が楽しみだ(笑)
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