106 勝てばよかろうなのだ
めっちゃスランプしてたので改稿しまくるかもしれません
先ほどまでは対等な試合が出来ると考えていた俺の思考は、すがすがしいまでに裏切られてしまった。
....なんなん? 巫女は既にEXスキルを二個ほど発動したようだが、その両方が純粋な強化系スキル。闘気の動き的にも身体強化と武器強化ってさぁ.....
小手先の技術や経験で封殺できるEXスキルじゃない、シンプルな分だけ厄介なやつッ!
ふぅ、冷静になれ... 俺。
勝てばいいんだ、勝てば。既にこの戦いは多少のハンデマッチから下剋上戦へと転じているが、どちらだとしても俺は技術という強みで圧倒するしか勝ち筋は無いのは変わらない。
こちらの敗北条件は、もちろんこの試合に負けることと、俺の存在を気取られること。そこさえ回避してしまえば情報は洩れないし、百武さんTUEEEEEEで終わらせられる。
...たぶん。
そうと決まれば、まずはこちらの手札の把握から。
【精査】
⇒【種族】人族 Lv.230 【Name】 百武 勇仁
【天職】 魔槍士(A) Lv.5 【状態】-
【称号】 律令 探索者(東京ダンジョン:49階層)...
◇ 能力値
HP 1202/1202 MP 1553/1553 SP 1321/1321
筋力 1533 魔力 1445 耐久 1125 敏捷 1326
◇ 耐性
⇒無効
状態異常無効(C)Lv.-
⇒耐性
物理耐性(B)Lv.5 精神異常耐性(A)Lv.3
苦痛耐性(D)Lv.15 恐怖耐性(D)Lv.13
◇ 職業技能
⇒魔槍士(A) Lv.5
魔槍の担手(S)Lv.3 一番槍(A)Lv.4
魔槍術 Lv.10 – 魔槍式(S)Lv.4 天穿(A)Lv.5
旋刃(B)v.7 回天(B)Lv.5 影縫(C)Lv.3
飛脚術 Lv.6 – 烈震脚(S)Lv.2 縮地(B)Lv.5 空歩(C)Lv.9
◇ スキル
・武技スキル
⇒体術
砲身(C)Lv.7 寸勁(C)Lv.5 肘打(D)Lv.3
・法術スキル
⇒強化
剛力(A)Lv.3 超抗体(B)Lv.3
・魔法スキル
⇒星属性
磁界(EX)Lv.1 落星(S)Lv.2
⇒土属性
大地隆起(S)Lv.3 土塊武器(B)Lv.2
・特殊スキル
⇒パッシブ
自動回復(S)Lv.3 魔力強化(D)Lv.2 身体強化(D)Lv.7
⇒アクティブ
超集中(S)Lv.3 鑑定(A)Lv.15 応急処置(B)Lv.7
以心伝心(B)Lv.3 武器庫(C)Lv.6
百武さんのスキルの中でひときわ異彩を放っているスキルが目に留まった。それは、星魔法と”磁界”。さっそく距離を詰めてくる巫女に対して試してみよう。
【磁界】
ブォン... という、蛍光灯が点灯するような音と共に、体からごっそりと魔力が抜けていく。そうして、こちらへと距離を詰める巫女に対してその効果を発動した。
瞬時。巫女の体がこちらの突き出した手と反発し、吹き飛ばされたまま結界に叩きつけられる。
これが磁界の効果... 引力と斥力を自在に操る結界の展開。俺の持つ影界に匹敵するか、それを上回るほどに強い。
これは扱い甲斐がありそうだ。
あとは、もう一つ。百武さんの天職である魔槍士のスキルで”魔槍の担い手”という物があった。俺自身は槍を獲物として扱ったことは無いにせよ、スキルに魔槍とあるならば、武器は魔槍を使うのがいい。
【真銘契約】
元はAランクの魔法武器だった十文字槍は、その内に秘める魔力を増大させ、魔槍へと進化する。
「これで準備は完了だな」
そう呟くと同時に、巫女は体勢を立て直してこちらへと語りかけてくる。
「驚いたわね、いきなり大技を使ってくるなんて正気なの? それとも、勝負を捨てたのかしら?」
たしかにMPは半分ほど消し飛んだが、巫女のEXスキルで強化された能力値を突破するには、同じEXスキルを使わなければ難しい。それに、むしろ勝負中でさえも呑気に話しかけてくる方が正気を疑う。
ま、こちらは貪欲に勝ちを拾わせてもらうだけだ。
「反応なしと... じゃ、こっちから行かせてもらうわね!」
そう言って、巫女はスキルを使った加速により、瞬時に目の前に現れる。その手に持った薙刀は的確に首を狙っており、俺は斜め前に半歩進んでその柄をつかみ取った。
【砲身】
スキルによる肉体の加速が乗った蹴りが巫女のみぞおちに突き刺さる。しかし、彼女はそれを何てこともないように無視し、薙刀を弧を描くように振るう。
強化された耐久が身代わりにまで効力を及ぼし、まともに入った蹴りですらダメージを与えられていないらしい。
【円舞斬】
握力が足りず、スキルによって回転力を得た薙刀は手から離れてしまい、そのまま流れるようにこちらのみぞおちに打突が迫る。
俺は槍で薙刀の柄を巻き取るが、やはり相手の方が長柄武器の技量は上手。すぐに結技によってその隙を補われ、今度はスキルを伴った下段からの脛打ちが放たれた。
武器主体の近接戦はこちらの完敗。完全に押し負けているし、槍は扱いなれてないせいで、スキル使用後の隙が致命傷につながりかねない。それに能力値はこちらと巫女でかなりの隔たりがある現状...
【烈震脚】
しかし薙刀を見切る程度、敏捷が千ほどの体でも余裕でできる。それがスキルに縛られた単調な攻撃であればなおさらだ。
薙刀の峰を足で踏み抜き、薙刀を押さえつける。そして俺は手に持つ槍で巫女を目掛けて全力で突いた。しかし巫女は躊躇なく武器を手放すと、こちらの懐へと潜り込んでのインファイトで隙を無くす。
「なかなかね」
そんな軽口と共に放たれる掌底にスキルは乗っていないが、能力値が膨れ上がっていれば素の体術でも脅威と言える。俺はすぐに距離を取って攻めを誘うが、巫女は迂闊にこちらを攻めずに薙刀を拾って構える。そのまま攻めてくれれば槍のリーチ分スキルを使いやすくなったのだが、そう上手くはいかないか。
....正直。ここで薙刀をぶっ壊せればよかったのだが、遠目で見ても刃こぼれ一つしていない。世界六位の武器は伊達じゃないらしい。
武器破壊は無理で、近接戦も分が悪い。しかし、ここまでの百武チュートリアルで、今回の戦闘スタイルは目星がついた。
槍は振るなんて考えず、とにかく突いて突いて突きまくれば良い。足技と魔法でその稚拙さを穴埋めて、止めを刺す。これで決まりだな。幸いにも、百武さんのステータスは魔法と武技へ均等にリソースが割かれている。なので、俺の魔法技術と経験を存分に発揮でき、決定打とすることも可能だろう。
「よし」
正確にはちょっと違うかもしれないが、久しぶりの格上相手の戦いだ。ここ最近の生活で錆び付いた実力を研ぎ直すとしよう。
リアクション 喜び Lv.1
ブックマーク 喜び Lv.2
評価 喜び Lv.3
感想 歓喜
レビュー 狂喜乱舞
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