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コボルト増加

「ミャオ〜ミャオミャオミャオォ〜」


 まただよ〜もう嫌になるなぁ〜と言った気がする。家に戻ってきたテトは少し疲れた顔をしていた。椅子──木レンガ製──に座って布団用の生地を縫っていた俺の側まできて、ズボンの裾を咥えて引っ張る。


 ついて来い。と言うように。


「また出たのか。最近は多いなぁ」


「ミャオォ〜」


「レンガトラップの餌にするかなぁ。本当は布団作りたいんだけど……」


 と言いつつも、テトの後を付いていく。テトはマルス領から出ると森の奥へと進んでいく。湧水の泉のある方だ。


 風が血生臭い。臭気はどんどん強くなっている。もうすぐだ……。


「やっぱりコボルトか」


 人間でいうと十歳児ぐらいの大きさの魔物。犬みたいな顔をしていて毛むくじゃらだ。少し前はゴブリンをよく見かけていたのに、最近はこいつらがやたら多い。


「イチ、ニー、サン、ヨン、ゴ。五体か」


 首を刎ねられたコボルトが五体、折り重なるように地面に倒れている。辺りは血溜まりだ。テトがやったのだろう。


 最近は流石にテトを普通の猫だとは思わなくなっていた。何かしら力を持っていることは間違いない。


 ナイフを抜いてコボルトの死骸に近付き、胸元を抉って魔石を取り出す。


「五体もはいらないよな」


「ミャオ」


 テトと相談して、一体だけレンガトラップに使うことにした。残りは木レンガでピッシリと覆って固定。簡単には漁れない様にする。あちこちに餌が落ちてたらレンガトラップに引っかかってくれないもんね。


 足首を持って引き摺りながら森を進む。魔物を警戒してか、テトが少し歩いては立ち止まり、首を振って周囲を見渡していた。



 レンガトラップに辿り着くと、罠部分にコボルトの死体を放り、監視部屋に入った。前は茂みに隠れて魔物や動物が来るのを待っていたけれど、最近はレンガトラップと直結した監視部屋で待つ事にしている。勿論レンガ製で人間が一人ゆったり座って待つことが出来るスペースがある。


 匂い消しのハーブが置かれた監視部屋は爽やかだ。そこに隠れて覗き穴の向こうを見ている時間は無になれるから結構好き。テトは退屈なようで監視部屋には入らないけれど……。



#



「なんだ、これは……!?」


 人間の男の声がして、慌てて覗き穴の向こうを見る。危ない危ない。つい、ウトウトと居眠りをしていたようだ。


「レンガ造りの檻かしら? コボルトの死体があるけど、どういうこと?」


 女の声もした。覗き穴から見えるのは男二人と女一人の冒険者パーティーのようだ。男が一人負傷して肩を借りている。


「ギルドの情報だと、この辺りにレンガ造りの集落がある筈だ。その集落の施設だろう。これで助かるぞ」


 助かる? どういうことだ?


 しばらく覗き穴から様子を見ていたい気もするが、怪我人がいる。あまり余裕は無さそうだ。そっと監視部屋のレンガを崩して、外に──。


「わっ!!」

「ひっ!!」


 めちゃくちゃ驚かれました。


「あの、剣はしまって下さい。俺は人間です」


「……済まない。つい反応してしまった」

「ごめんなさいね。敵意はないの」


 男と女の冒険者はすぐに剣をしまって謝意を示す。


「あの、その男の人は大丈夫ですか?」


 怪我をしているらしい男はグッタリとして口も開かない。明らかに不味い。


「この辺りに安全に休めるところはないか? 治療するにも追手が激しくてな……」


 追手……。さっきのコボルト達のことだろうか? 何にせよ、放っておくことは出来ない。


「ウチで良ければ。歩いてすぐです。割と安全だと思いますよ?」


「本当か?」

「ありがとう! 助かるわ」


 マルス領に初めて、人間の客が来ることになった。どんな反応をされるのだろう……。ちょっと緊張するなぁ。


「どうした?」

「何かあったの?」


「えっ、いや! 大丈夫です! 案内します。ついて来てください!!」


 俺は三人に冒険者を引き連れて歩き始めた。

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