槍と色々
色々ね、あるんだよ。
……武技はなんとなく分かった。
よし、やってみるか!
「紫電一閃!」
「……」
はい、今とても重要な事を思い出しました。
……技名が決まってない!
そういえばそうだった!
どうしようかな……
「武技かぁ……反転とかあったなぁ。」
考えていると誰かの声が聞こえた。
反転?……こうかな?
「槍技:反転!」
「なっ……」
こちらに突進してきた紫電は真っ直ぐに伸ばした槍を躱す。
……ここまでは計算通り。
紫電はこちらに再度突進をしようとしたが出来なかった。
何故なら躱した筈の槍が紫電の背中に当たったからだ。
「くっ……」
「槍技:監獄!」
さっき当たらなかった監獄を発動してこちらの勝ちだ。
……一応とどめを刺しておこう。
「槍技:破壊。」
二つ合わせて脱獄ってゆう所かな?
死んではないだろうけど確認しておこう。
「……僕の勝ちだね、スラン君。」
「え……」
振り向くとそこには紫電がいた。
……え?
「……負けました。」
「ふう、危ない危ない。危うく負ける所だったよ。」
「いつから後ろに?」
「最後の槍を収縮させる所くらいには後ろにいたよ。」
破壊した時くらいにはもう後ろにいたんだ……
でもどうやって後ろに来たんだろう?
「まさか奥の手を使わされるなんて思いもしなかったよ。」
「……奥の手?」
「あぁ、紫電分散と紫電集合って言う技の事だよ。」
「教えちゃっていいんですか?」
「勿論、君が武技を知らなかった時点でフェアじゃないしね。」
……なんか納得いかないけどいいか。
取り敢えず僕は武技の名前とその内容を決めとかないとな……
「お疲れ様です、負けちゃいましたね。」
「僕の訓練が足りないからね、時間もないし。」
「あはは……」
そう言うとセフィが目を逸らした。
時間がない理由って大体セフィ関連だから逸らしたんだろう。
別に気にしてないんだけどね。
訓練場の片付けをした後勇者達の力を確認した。
訓練していけばどの子も強くなれるくらいの才能はある。
勇者の力を見た時に特に気になったのはこの子だ。
「『メテオ』!」
そう宣言すると小さい魔法陣が現れその中から小さな石が出てきた。
威力や規模など魔法使いにとっては小さいのだが出てくる物が凄い。
「星見君、今の所これを何回出来るかな?」
「えぇっと……多分今のを入れて十回が限界だと思います。」
「なんと!十回も出来るのですか!」
「……?」
「これで出てくるこの物質の名前はメテノン、今の所最高硬度の物質です。」
「これが……」
「これがあれば皆さんの武器がこれで作れます。どうしますか?」
「……頑張ってみます。」
初めてメテノンを見たから少し驚いた。
正直メテノンは魔力を流しにくいのが救いで魔鉱石に魔力を通すと攻撃が通るのだ。
それ以外の物質では刃毀れしてしまってまともに攻撃が通らない。
全員この装備だったらいくら魔王でも負けるだろう。
勇者達は学園ではなくここで勉強するらしいので暫くは会えなくなる。
戦える機会があったら戦ってみようかな。
「セフィ、今日は入学式だよ。早く起きて。」
「……後三十分。」
「そんな時間無いって!早く起きてよ!」
「Zzz……」
「あっ!……はぁ……
早く起きないと全部準備しちゃうよ?」
そう耳元で囁く。
「……どうぞ。」
セフィから許しが出たので早速全部準備する。
まずはセフィの寝間着を取って普段着に──
「ちょっと!!何するんですか‼︎」
「え?だって今自分で準備してって……」
「そこは遠慮してくださいよ‼︎」
「取り敢えず起きたね、早く準備して。」
「……因みに今何の時ですか?」
「八の時だよ、入学式は八の時半からだから遅れるかもね。」
「どうしてもっと早く起こしてくれないんですか!」
「結構前から起こしてたよ。」
そんな逆ギレされても……と思いながら登校する準備を始めた。
幸い荷物は準備しておいたので後はセフィの準備だけだ。
セフィは早速着替えて髪のセットをしている。
朝御飯はどうせ早く起きないと思ったのでおにぎりを一つだけ用意した。
ルナミスとメイは学校で待機してもらっているので遅れる心配があるのは僕らだけだ。
「え!これだけですか!」
「もっと食べたいなら朝早く起きてよ。」
「うぅ……」
そう言いながらご飯を食べ始める。
三分くらいで食べ終わり歯を磨いて出発した。
「スラン!急ぎますよ!」
「平気だよ、時間には余裕があるし。」
そう言っても聞いてくれる様子無く走るセフィ。
……あっ、人とぶつかって転ぶな。
ウインドサーチで感知したので間違いない。
しょうがなくウインドスピードを使ってセフィを止める。
丁度止めた時に人が通ったのでやっぱり正解だった。
「あ……」
「このまま行くよ!」
「えぇぇ!」
そう言ってセフィをお姫様抱っこして学校まで走る。
暫く走るとルナミスが下駄箱の前で佇んでいたのでそこまで走る。
「わっ!……どうしてウインドスピード?」
「聖女様が人とぶつかりそうで少し距離が離れてたから怪我させないのはこれが確実だったの。」
「あっあの……そろそろ下ろしてください……」
「あっはい。」
そう言われたのでセフィを下ろす。
多分間に合ったかな?
「そういえばメイは?」
「先に会場入りしてるよ、今は安全確認してるんじゃない?」
「OK、じゃあ僕達も行こうか。」
「……今の聖女かな?」
「やっぱりそうか、俺このゲームで一番好きなの聖女なんだよねぇ。」
KHRBよろしくお願いします。
さて……次はヒロインだな。