槍とテスト
皆大嫌いなテスト
「じゃあ行ってきますね。」
「頑張ってね!」
「…ファイト。」
「絶対に受かるから気楽にな。」
そう言って部屋から出るセフィを見送った後全員座る。
この国でセフィが何かされるとゆう事は無い。
そんな事をしてしまえば今後自然災害で怪我をした住民達を回復できなくなる。
傀儡にしてしまえば今代が死ぬまではいいが次の代は生まれない為メリットが無い。
聖女が誰なのかは神が決めている。
もしも聖女が傀儡になってしまったらもう神託は降ろさないらしい。
「メイ、こっちに来い。」
「…何?」
そう言いながら僕の前まで来た。
膝の上に座らせ頭を撫で始めると膝の上に頭を移動させて寝転がる。
そして……
「なぁ、ルナミス。」
「なっ何!」
「お前もされたいの?」
「えっ……」
そう言って少し悩むルナミス。
……え?
ちょっと待て、何故悩む。
確かにお前が最近性格が変わってるのは知ってるが流石に変わりすぎだろ……
ちょっとだけ時間を置いてからルナミスは話し始めた。
「じゃあ少しだけ……」
「……お前どうした?」
「え、撫でてもらえないの?」
これは……重症だな。
後なんで少し悲しそうなんだ。
「撫でるわけないだろ、メイだから撫でてるんだ。」
「えぇ……」
「お前本当にどうしたんだ?襲われた日からずっとおかしいぞ。」
「……ねぇ、」
「ん?」
そう言ってルナミスはこちらを改めて見た。
その顔は何かを決心した様な顔つきだ。
「私が、もしも私が──」
「すいません、少しよろしいでしょうか?」
ルナミスが何かを喋る所に試験官の人が声を外からかけてきた。
続きは気になるが今はこっちが先だ。
扉を開けて事情を聞く。
「なんですか?」
「実はこちらの試験を受けてもらいたくてですね……」
そう言ってその試験官は紙を渡してきた。
ちゃんと僕達の名前が書いてありこれが僕達に作られたものだと推測出来る。
「なんで僕達が?」
「一応護衛も入学とゆう形を取らせていただきますので。」
「……僕達勉強してないんですけど。」
「あっ、そこは安心してください。何点でも入れる様にしてますので。」
本当に形だけだな。
それなら……受けてみるか。
まぁ受けないとゆう選択肢はないんだけど。
「皆、テストだって。」
「…聞いてない。」
「僕だって聞いてないよ。大丈夫、どんな点数でもいいって。」
「0点でも?」
「……まぁ試験を受けてくれれば一応入れます。」
とゆう事でやる事になった。
教科は全部で四つ、算術と魔術、魔物学に選択科目だ。
算術と魔術は基礎 I、最後の魔物学は I とか無いので基礎。
選択科目は魔道具学か錬金術基礎だ。
取り敢えずやってみよう。
最初は算術基礎 I
難しくは無かったけど問題量が多かった。
魔術基礎 I
これは超簡単。
僕の母さんを誰だと思っているんだ。
光の速さを魔法で実現した母さんの息子だよ?
何も教えられてないものか。
母さん……ありがとう。
魔物学基礎
フッフッフッ、僕の前職は魔買いだよ?
そこら辺の知識は満遍なく覚えてる。
選択科目 魔道具学
これも母さんに教えてもらってたから余裕だ。
免許皆伝貰ってるんだし何も迷わなかった。
「……なっ、なんですかこれはぁぁぁ!」
「?、どうかしましたか?」
「……貴方達、全員満点です。」
へぇ、そうなんだ。
メイはまだしもルナミスも満点か。
「……これはすごい事なんですよ!この試験で満点取れる人なんて数えるくらいしかいないんです!」
「母さんからよく勉強を教えてもらってました。」
「…常識。」
「私は感かなぁ……」
感か、それにしては出来すぎている。
特に算術は感だけでは解けない。
もしかして性格の変化と関係が?
でも、取り敢えずは……
「僕達は合格でいいですよね?」
「……勿論です。」
護衛が遂行できる事を喜ぼう。
こうして僕達は満点を取った従者三人として記録に残されるのであった。
セフィのテストが終わって帰ってきた頃、
僕達は今、正座をさせられている。
「……なんで皆満点なんですか?」
「だって簡単だったし……」
「…常識だった。」
「私は感だから、ね?」
「別に満点だった事は怒っていません。」
少し悔しそうな顔をしながら言うセフィ。
セフィはゆっくりと手に持っていた紙を机に出す。
そこには魔術基礎以外に百の文字が見えた。
「それを見ると残りの一点を逃した私が凄くない様に見えるじゃないですか!」
「セフィも十分すごいよ?」
「…誰にでもミスはある。」
「そうそう!多分些細なミスでしょ?」
「まぁそうですけど……」
そう言って間違えた一問を見せた。
そこには一文字だけスペルミスしている魔法陣の絵が描いてある。
「あぁ……これだと風よ吹けから風よ踊れになるね。」
「…よくあるミス。」
「吹けと踊れじゃ全然意味が違うから気を付けないとね。」
「うぅ……一本線を描き忘れていなければ……」
セフィは凄く悔しそうな顔をして落ち込んでいる。
確かにあと一点は悔しい。
でもこれだけ出来ていれば……
「セフィ、これだけ出来てれば授業は簡単だと思うよ。」
「そうなんですか?」
「勿論、だから僕が更に応用的な事を教える。」
「応用……」
「面白いから期待してね?」
取り敢えず少しだけ不安だった試験は突破か。
次は……勇者召喚だ。
KHRBよろしくお願いします。