槍と人生ゲーム
時系列的には9本目と10本目の間です。
「人生ゲーム?」
「うん、作ってみたんだけど……」
そう言って見せてくれたのは一枚の大きな紙と皆の名前の書いてある紙、そして十個の面があるサイコロが2つあった。
「このサイコロどうやって作ったの?」
「ノリでくっつけたんだ、大変だったけどね」
そう言ってルナミスはサイコロを投げた。
出た目は2、出ると少し残念と思う目だ。
「ね?一緒にやらない?」
「うん、いいよ」
そして集まったのは他に二人、メイとアリーだ。
他の人は忙しかったりしたのでこの二人を合わせた四人でやる事になった。
「で、このゲーム最初は何をすればいいんですか?」
「まずは皆でサイコロを振って順番を決めるんだ」
言われた通りに僕達も順番に振っていく。
振り終わって皆の数を大きい順に並べ替えるとこうなった。
ルナミス 8
スラン 6
アリー 3
メイ 1
「このサイコロおかしくないですか?」
「1出しただけでそんな事言わないの」
メイは文句があるみたいだけどこれは運だし納得してもらうしかない。
僕達はこの順番で円になり説明を聞き続ける。
「そして皆最初に50万え……コールを持ってるんだ」
「随分金を持ってますね、普通そんなに持ってないですよ」
「まぁそこはゲームって事で、後は始める時に種族を決めるの」
そう言って4枚のカードを僕達に見せてくれた。
そこには人間、エルフ、獣人、ドワーフと書かれた紙があり下にはルールが書いてある。
「人間を選べばそのまま遊べるけど、例えばエルフを選べばイベントでサイコロを振る時に成功する数が決められてるんだけどその数の範囲が全て+1されるっていうのになるんだ」
「そんな内容なら人間なんて誰も選びませんよ」
「勿論そこは考えてるよ、代わりにエルフはサイコロを振って進む時毎回-1されちゃうの」
そしてこの後も説明が続いた。
要約すると獣人はエルフの逆で毎回1マス多く進める代わりにイベントのマスで失敗の値の範囲が+1される。
ドワーフはかなりの曲者でコールが貰えるイベントで2倍のコールが貰える代わりにサイコロを振る前に一つ数を宣言してその数が出たら所持金が半分になるというものだ。
この感じだと普通はドワーフ以外を選んで上級者はドワーフを選ぶみたいな感じだろうか?
取り敢えず僕が人間、メイが獣人、アリーがエルフでルナミスがドワーフという選択になった。
どこかでルナミスのお金が0になるゲームになりそうだけど、まぁいいか。
そして最終的に所持金の一番多い人が勝ちの様だ。
1ターン目
「よし、じゃあ私が宣言する数は……8しようかな。じゃあ振るよ」
そう言ってルナミスがサイコロを振った。
出た目はまた8、という事は──
「あっ……」
「……ふっ。」
「最初からこれはきついわね」
ルナミスは最初から所持金が半分になってしまった。
やっぱり難しそうだな、ドワーフは。
「7、8。えぇっと、『占いをしてもらい未来を見る。1-5が出たら次に獲得するコールは半分、6-10は倍になる』じゃあ、4」
そう言って振られたサイコロは3。
少し危なかったけどなんとか同じ目は回避した。
「まぁ、いいわ。うん」
「次は僕だね」
サイコロを振ると4が出た。
「えっと『ゴブリンとの戦闘、1-5が出たら敗北してー5万コール、6-10だと勝利して+15万コール』ね」
僕はすぐにサイコロを振り10が出た。
この引きは進む時に出して欲しいな。
「はい、アリー」
「ありがと、えいっ」
サイコロは2を示した。
けど─
「これは1だよね」
「うん、だから『大魔王の森で薬草採取、+五万コール』になるね」
「なんか、悲しくなるわね」
確かに全然進まないのは面白くないもんな。
そしてメイも引き続いて振っていく。
5、そしてメイは獣人を選んだから──
「『オークとの戦闘、1-6だと一回休み、7-10だと+8万コール』、金銭感覚おかしくないですか?」
「まだ試作段階だから……」
そして出たのは7。
「うっ……」
「獣人だから一回休みだね」
そして一周が終わり所持金はこうなった。
僕:65万 4マス目
アリー:55万 1マス目
メイ:50万 (一回休み) 6マス目
ルナミス:25万 (次回獲得コール半減) 8マス目
2ターン目
引き続きゲームは進んでいく。
「じゃあ、7」
出たのは4、そのまま進んでいく。
踏んだマスには『ダンジョンを探索して8万コール獲得』と書いてある。
「ドワーフの効果もあるからそのまま貰うね」
「うん、よし」
5が出た、『図書館で勉強する、サイコロを振って失敗しない限り成功する範囲+1』らしい。
「強くない?」
「まぁ少しくらいあってもいいかなって」
そういう事なら……次はアリー、5が出た。
「『闘技場で戦う、1-3で-3万コール4-10で+7万コール』ね。」
5、何事もなく成功した。
メイは休みなのでこれで一周した。
僕:65万 (成功範囲+1) 9
アリー:62万 5
メイ:50万 6
ルナミス:33万 12
3ターン目
「よし、じゃあ3」
そう言って出たのは7、『商人と取引をする。1‐5でー5万コール、6-10で+15万コール』だ。
「10」
そう言って出たのは、10。
また半分にされるのか……
「少し痛いけど、+30万だしいい感じね」
「ドワーフ強すぎじゃないですか?」
「まぁ序盤は強かったけど、後半がね」
後半に半分にされたら確かに嫌だな。優しいのかな?
でも元々二倍貰ってるんだし、それが帳消しになるだけだと考えると
そう思いながら振ったサイコロの目は2。
『武器を強化して次の戦闘をするときの成功の範囲+3する。-5万コール』らしい。
次に戦う内容が来ても負ける気がしない。
アリーは7をだして僕と同じマスに止まった。
メイは1、止まったマス『市場で取引をして、+1万コール』だ。
「やっぱり細工を──」
「してないよ!」
僕 60万(成功範囲+1、次回戦闘時成功範囲+3) 11
アリー 57万(次回戦闘時成功範囲+3) 11
メイ 51万 8
ルナミス 46万5千 19
4ターン目
「2」
出た目は1、『お守りを獲得、一度だけ好きなタイミングでマスの悪い効果を無効化する』というマスだ。
僕は1、全然進めなかった。
ただ『ダンジョンで貴重な宝石を発見+8万コール、また次の戦闘で勝利した場合獲得できるコールが2倍』という内容だったのでよかった。
アリーは5、『協会で祈りを捧げ、次回獲得するコール2倍』だ。
メイは2を出し先程僕達が止まっていたマスに止まる。
「細工……」
「もうしつこいよ!」
「なら二回も半分にされた貴女に逆転されなきゃいけないんですか!」
僕 68万(成功範囲+1、次回戦闘時成功範囲+3、次回戦闘勝利時報酬2倍) 12
アリー 57万(次回獲得コール2倍、次回戦闘時成功範囲+3) 15
ルナミス 46万5千(一回イベントの悪い効果無効) 20
メイ 46万(次回戦闘時成功範囲+3) 11
5ターン目
4と宣言したルナミスが出した数は9、本来なら出されたくない数。
「うーん、後1マスだったからこんな数いらなかったんだけど……」
内容は『短いけど危険な道にいくか、それとも安全にのんびり行くか』。
危険な方はほぼ1回休みがある内容であまり行きたくはない。
安全な方はいい事が起きるマスは少ないが足止めを食らう事はなさそう。
「私は短い方ね、あんまりサイコロは振りたくないし」
うーん、僕は着いたら安全な方にしよう、あまりにも離れてたらあれだけど。
僕は2、……
「『魔物の素材を売却して+5万コール、魔物を倒していたら更に10万コール獲得』、ご主人様は倒してたので15万ですね」
まぁ、お金は貰えたしいいか。
アリーは1、1?
「これって……」
「進めないし、何も起こらないよ」
「これテストプレイしました?」
「今してるよ?」
つまり次回やる時の為ってことか。
メイは10を出し一瞬でルナミスに追いついた。
「私も短い方にします、早く進めるのが獣人ですから」
僕 83万(成功範囲+1、次回戦闘時成功範囲+3、次回戦闘勝利時報酬2倍) 14
アリー 57万(次回獲得コール2倍、次回戦闘時成功範囲+3) 15
ルナミス 46万5千(一回イベントの悪い効果無効) 21
メイ 46万(次回戦闘時成功範囲+3) 21
6ターン目
取り合えずここまでは僕が一番お金をもってるけど一番進んでいない、正直サイコロに嫌われたと思う。
ルナミスとメイはもう先に進んでいて追いつけそうにないし……
そんな中でルナミスが8を宣言し振って出したのは1、『木製の古い橋を渡り時間がかかる、一回休み』。
だけどルナミスには1回だけそれを無かったことに出来るお守りがある。
でも、もったいないよね。
「うーん……使うのはやめておこうかな」
僕は6を出してお守りを獲得した。
メイは
「ふんっ、そんなゆっくりでいいんですか?」
メイは2、たいして変わらない数、『大魔王の森で迷う、1回休み』らしい。
僕も今はお守りを持ってるし、危険な方にかけてみるのもありだな。
アリーも引き続き回し3を出した、『ダンジョンで宝を発見!、+12万コール』という内容。
「2倍でしたよね、確か」
「うん、24万コールだね」
「もう少しでダーリンを抜かせそうね」
僕 83万(成功範囲+1、次回戦闘時成功範囲+3、次回戦闘勝利時報酬2倍、一回イベントの悪い効果無効) 20
アリー 81万(次回戦闘時成功範囲+3) 17
ルナミス 46万5千(一回イベントの悪い効果無効) 22
メイ 46万(次回戦闘時成功範囲+3) 23
7ターン目
このターンは僕とアリーだけか。
と言っても、僕は何が出ても関係ないんだけど。
そして4が出て、僕は危険な道を選んだ。
お守りがあるし、少しくらいは攻めても問題はないはず。
次はアリー、ここで大きい目を出さないとと追いつくのは絶望的だけど……
ここでアリーは8を出した、そして選んだのは安全な方。
「流石にエルフで行くのは危ないからね」
まぁ、進まなかったら大変だしね。
僕 83万(成功範囲+1、次回戦闘時成功範囲+3、次回戦闘勝利時報酬2倍、一回イベントの悪い効果無効) 21
アリー 81万(次回戦闘時成功範囲+3) 21
ルナミス 46万5千(一回イベントの悪い効果無効) 21 危険1マス目
メイ 46万(次回戦闘時成功範囲+3) 23 危険2マス目
8ターン目
ルナミスは8と宣言して、10が出た。
内容は『大魔王の森で道に迷った、1回休み』だ。
「うん、ここでお守り使うね」
まぁ使いどころとしては悪くないんじゃないかな?
サイコロを振れば進めるし、何より次のマスは全員止まるマスだ。
僕は7を出し『ダンジョンで謎の石に触ってしまい道に迷う、1回休む』というマスに止まった。
勿論僕もお守りを使った。次のターンに4以上を出せば何事もなく突破出来るからね。
アリーは7をだして何もないマスを踏んだ。
メイは9、内容は……『武闘祭だ、祭りに参加していい成績を残そう!』、だ。
このマスも全員止まらないといけないし、早く踏まないとな。
内容は
1-2:-2万コール
3-4:一回休み
5-6:特になし
7-8:+2万コール
9-10:次に獲得するコールが倍
だ。これは種族とかマスの効果の対象外らしい。
メイはサイコロを振って、結果は──2だった。
これくらいならまぁ問題ないレベルだな。
僕 83万(成功範囲+1、次回戦闘時成功範囲+3、次回戦闘勝利時報酬2倍、) 21 危険7
アリー 81万(次回戦闘時成功範囲+3) 21 安全6
ルナミス 46万5千 21 危険10
メイ 46万(次回戦闘時成功範囲+3) 22
9ターン目
ルナミスは5と宣言し、8が出た。
そしてメイが踏んだマスに止まりサイコロを振る。
「4」
そう言って出たのは5、特に何も起きなかった。
僕もサイコロを回して8が出たので同じマスまで進んだ。
6、僕もルナミスと同じで何も起こらなかった。
アリーは7を出して村人から2万コールを貰う。
メイは5を出して『泉で体を清めた、次の戦闘の成功の範囲+2』を得た。
僕 83万(成功範囲+1、次回戦闘時成功範囲+3、次回戦闘勝利時報酬2倍、) 22
アリー 81万(次回戦闘時成功範囲+3) 21 安全12
ルナミス 46万5千 22
メイ 46万(次回戦闘時成功範囲+5) 28
10ターン目
10ターンが経ったが戦況はあまり変わっていない。
相変わらずの順番だがアリーだけは僕達より少し後ろにいる。
まぁ種族的にこうなる事は分かってし、そういうものなんだろう。
メイも一番先頭なので種族の差は明白だ。
「ここからはなるべく大きな数を出したいわね、7」
?、少し引っかかるけど出た目は2、その願いとは裏腹に
小さい数が出てしまった。
止まったマスは『商人からアイテムを購入、-1万コールされ次の戦闘の成功するダイスの値が+2される。』という内容だ。
僕も回すと8が出て一気に進んだ。
『勇者の像を拝み、次の獲得するコールが倍になる』という内容だ。
「拝んだだけで運が上がるとは思えません」
「これ、ゲームだから」
アリーは9を出したが後1マス届かず止まれのマスに止まれなかった。
何も起こらないマスに止まり、次の次のターンに僕達と同じ道に追いつく事になる。
メイは1を出して僕と同じマスに止まった。
僕 83万(成功範囲+1、次回戦闘時成功範囲+3、次回戦闘勝利時報酬2倍、次回獲得コール倍) 30
アリー 81万(次回戦闘時成功範囲+3) 21 安全20
メイ 46万(次回戦闘時成功範囲+5、次回獲得コール倍) 30
ルナミス 45万5千(次回戦闘時成功範囲+2) 24
11ターン目
ルナミスが7と宣言したサイコロから出た数は10。
『ダンジョンで武器を発見、次の戦闘で成功するダイスの範囲が+3』という内容だ。
僕もサイコロを振って7が出た、『盗賊に襲われ-5万コール』。
「よし、これで私が一位ね」
ついに抜かれてしまった。
元々近かったとはいえ抜かれるのはあまりいい気分ではない。
アリーは7を出して安全な道が終わりあのマスに止まった。
アリーは10を出して、次の獲得するコールが2倍になった。
メイも回し8を出した。
「『ダンジョンで隠し通路を発見、2マス進む』、最高ですね。」
もう、追いつける気がしない。
アリー 81万(次回獲得コール2倍、次回戦闘時成功範囲+3) 22
僕 78万(成功範囲+1、次回戦闘時成功範囲+3、次回戦闘勝利時報酬2倍、次回獲得コール倍) 37
メイ 46万(次回戦闘時成功範囲+5、次回獲得コール倍)40
ルナミス 45万5千(次回戦闘時成功範囲+2) 24
12ターン目
「4」
そして出たのは、4。
なんか多い気がする、同じ目が出る確率って多分一割くらいなんだけど……
「『ダンジョンを探索、1-3で1回休み4-10で3万コール獲得』、4!」
そして出たのは、4。
ある意味豪運の持ち主だ。
「どう、して……」
僕は10を出して一気に前に進んだ。
『魔法使いの実験を手伝い、1-4でー2万コールで5-10で+2万コール』、僕は2を出してしまった。
お金が減るのも嫌だが図書館の効果が消えてしまったのが痛い。
アリーはここで1を出してしまい進めなかった。
メイは7を出して『市場で取引をし-1万コール、次のターンで+4万コール。』を踏んだ。
アリー 81万(次回獲得コール2倍、次回戦闘時成功範囲+3) 22
僕 76万(次回戦闘時成功範囲+3、次回戦闘勝利時報酬2倍、次回獲得コール倍) 47
メイ 45万+8万(次回戦闘時成功範囲+5)48
ルナミス 11万3750(次回戦闘時成功範囲+2) 28
13ターン目
このターンは僕からサイコロを回し7が出た。
『武器を発見、次の戦闘で成功の範囲+3』だ。
これで合わせると+6、早くどこかで戦闘するマスを踏みたいものだ。
アリーは2、『大魔王の森を通過する。1-3が出たら一回休み』というマスに止まり6を出して休みを回避した。
メイは1を出して『大魔王の森を通る。1マス進む』が出る。
アリー 81万(次回獲得コール2倍、次回戦闘時成功範囲+3) 23
僕 76万(次回戦闘時成功範囲+6、次回戦闘勝利時報酬2倍、次回獲得コール倍) 54
メイ 53万(次回戦闘時成功範囲+5)51
ルナミス 11万3750(次回戦闘時成功範囲+2) 28
14ターン目
「6」
出た目は7、『左のプレイヤーと協力してモンスターを討伐する、お互いにサイコロを振り合計が10以上で+2万コール、未満なら一回休み』という少し特殊なマスに止まった。
「左って事はスラン君とだね」
「うん、これってサイコロは──」
「私だけ振ればいいから振らなくていいよ」
まぁ2人合わせて+8されるんだ、2以上なんて獣人でもなければ出せる。
1と宣言したルナミス、がしかし。
「あっ、あぁ……うっ」
「……」
「これは流石に酷いわね……」
1、可哀想としか思えない程に運が悪い。
だとしても僕が振らずとも10は越える。
僕は+8万コール、ルナミスは+4万コールを獲得した。
僕は3を出した、丁度全員止まれの場所で内容は──結婚!?
「……ご主人様?」
「……ダーリン?」
空気が悪くなった気がする。
それと2人が露骨に僕を見ているのだ。
どう考えても"私を選んでくれるよね?"という目にしか見えない。
ルナミスになんとかして──
「……」
期待している、僕に選ばれる事を。
どうしよう、僕が誰を選んでも駄目な気がする。
……そうだ、取り敢えず──
「何をすればいいの?」
「えっ?……あぁごめんね、まだ説明してなかったね」
説明してもらおう、それなら少しは延命出来る筈。
「このマスでは結婚するかしないかを選べるの」
なら結婚しなければこの問題は解決──
「ご主人様は、逃げませんよね?」
どうやらしないという選択肢は封じられた様だ。
たとえここで無視してしなかったとしても「根性無し」とかそれ以上の事を言われかねない。
それは男として言われたくないのだ。
「結婚すると2人で一緒にサイコロを振れる様になれるの。サイコロを振るのは2人の中で早い方の順番で振るんだ」
「よし、これならエルフが選ばれる事はありませんね」
「はぁ?獣人の方が選ばれないでしょ」
「ふっ、進むのが-1マスの相手なんか選びませんよ」
「+1マスされても範囲が小さくなるんじゃ選ばれないわよ」
おそらく僕に選ばれたいが為に相手を貶しあっているんだろう。
ドワーフはどうせ選ばれないからと思ってるのだろう、触れようともしない。
まぁ普通にやるならそんな人は選ばないだろう。
「後はコールをもらう量が2倍、減る量が半分になってからそれぞれ貰えるね。」
「……それ、ドワーフはどうなるんですか?」
「4倍になって貰えるよ?所持金半減も私だけに効果あるし、順位自体も個別だしね」
「なっ!?まさか……」
「……これは、人間と結婚したいならドワーフを選んだ方がいいんだよ?」
「卑怯です!」
「最初からこの為にドワーフを選んだんでしょ!」
「たとえ最下位だとしても、結婚すれば実質私の勝ちなの」
最初から僕がルナミスを選ぶ様に誘導してたのか。
あまり誘導には乗りたくないけど僕にも利がある。
アリーとは僅差だ、それを突き放す何かが欲しかった。
もしアリーを相手として決めたとしても順位を変えられる手段は限られている筈。
なら、ルナミスを選んだ方がいいだろう。
順位も一番下だ、僕が抜かされる事もない。
「じゃあ、ルナミスで」
「やっぱりそうだよね」
「ちっ……」
「……」
という事で結婚した。
ルナミスは僕と同じマスまで前に進みこれからは一緒に進む事になる。
一応この先は2手に別れていて結婚したら長い方を通るらしい。
一応しない人を有利にしようとは考えてるんだろう。
この後メイは4を出した。
惜しくも僕と同じマスには止まれず『神に神聖な契約を誓い次に獲得するコールが2倍』を踏んだ。
アリーも4を出し『魔法の実験をする、1-3で-1万コール、4-10で+1万コール』で3を出し+2万コールを得た。
僕 84万 +ルナミス 9万6875 57
アリー 83万(次回戦闘時成功範囲+3) 26
メイ 53万(次回戦闘時成功範囲+5、次回獲得コール2倍)56
15ターン目
ゲームも中盤に差し掛かってきた。
今の状況が続けばおそらく僕が勝つだろう。
アリーとは僅差とはいえ相当差が開いている。
余程の事が無ければ負けないだろう。
そして今、最悪に空気が悪い。
その原因は明白だ。
「へへへっ、じゃあ一緒に回そうか?」
「くっつかなくてもよくないですか?」
「そうよ、ダーリンにとっても邪魔よ。ね?」
「そんな事ないよ、ねぇ?」
ゲーム内とはいえ結婚というこのメンバーだと面倒な事になる話題だ。
当然、不満は出るだろう。
後で2人に何かしてあげないといけないな。
「1」
そしてルナミスの出た目は9、僕は10だった。
合計で19、長い道とはいえここまで大きいとほぼ意味がない。
内容は『2人で協力する、次の獲得コール2倍』だそうだ。
メイは4を出し僕達と同じマスに止まった。
メイは結婚せずに短い道で僕達に追いつく作戦の様だ。
アリーは7を出して『ダンジョンの罠にかかり-2万コール』に止まった。
僕 84万 +ルナミス 9万6875 57 (次回獲得コール2倍)長い道 19
アリー 81万(次回戦闘時成功範囲+3) 32
メイ 53万(次回戦闘時成功範囲+5、次回獲得コール2倍)57
16ターン目
ルナミスは4と宣言して出たのは7、僕は6だった。
進んでいくと途中で全員止まるマスまで進んだ。
『アイテム屋』らしいけど、一体どんな──え?
「進むマスか成功する範囲を増加するアイテムですか」
「一番高いのは……おかしくない?」
「+10……やりすぎじゃない?」
「その分高いでしょ?今の所誰も買えないんだよ?」
確かに100万コールなんて誰も出せない。
結婚していると2倍かかるらしいし……
「買わなくていいんじゃない?」
「うん、一番前だからね」
僕達は買うのを諦めた。
わざわざ買わなくてもよさそうだしね。
メイは1で『モンスターの討伐、1-3で-10万コール、4-10で+30万コール』を踏んだ。
3を出したが成功扱いとなり+60万コールを得た。
アリーは6、『盗賊に襲われ-5万コール』を踏んでしまう。
メイ 113万 57 短 2
僕 84万 +ルナミス 9万6875 (次回獲得コール2倍) 65
アリー 76万(次回戦闘時成功範囲+3) 37
17ターン目
ルナミスは宣言した1を出してしまいまた半分となってしまった。
因みに割り切れない時は切り上げるそうだ。
僕は5を出したので進むと前に踏んだ魔物の素材を売るマスに止まった。
僕達は倒していたので10万コールの代わりに20万コール貰える。
が、そこにドワーフの能力と先程踏んだマスの効果を含めると──
「80万……」
「これ、勝てるんですか?」
「さぁ?」
メイの60万コールも中々だったけど、それを軽く超えてきた。
一気にお金が倍くらいになってしまう。
メイは9を出し短い道を超え『市場でアイテムを見つけた、1-4でー10万コール、5-10で+30万コール』に止まり2を出してしまいお金が減ってしまう。
アリーは10、『犬にいたずらをされ-1万コール』に止まった。
僕 164万 +ルナミス 84万8438 65 長 6
メイ 103万 59
アリー 75万(次回戦闘時成功範囲+3) 46
18ターン目
ルナミスは5と宣言し8、僕が5を出した。
またもや全員止まるマスに止まり内容は100万コールで一気にマスを飛ばせる、というものだ。
「どうする?しなくていいとは思うんだけど。」
「私は一応飛ばさないで遊んでくれると嬉しいけど……」
という事で飛ばさない事にした。
メイは9を出してさっき止まったマスに着いたが何も買わなかった。
アリーは2で『魔法の実験を手伝い1-4で-2万コール、5-10で+2万コール』を踏み6を出してなんなくイベントをこなした。
僕 164万 +ルナミス 84万8438 66
メイ 103万 65
アリー 77万(次回戦闘時成功範囲+3) 47
19ターン目
ルナミスが10、僕が8を出して進んでいく。
宣言した数字は8なので何も問題はない。
『不思議な魚を発見、次にコールが減らされる時それを無しにする』に止まった。
メイは5を出してさっきまでいたマスに止まりなんと100万コールを出して僕達より先に進んでしまう。
アリーは1だったので進まなかった。
僕 164万 +ルナミス 84万8438(次のペナルティスキップ) 84
アリー 77万(次回戦闘時成功範囲+3) 47
メイ 3万 91
20ターン目
メイが前のターンで前に出たのは驚いた。
そこまで急がなくてもいいと思うんだけどな?
「8」
そう宣言して出たのは3、僕も1なのであまり進めない。
「『忘れ去られた城でお宝を発見、+90万コール』、ね」
「そんなものありませんよ?」
「ここまで来たら内容を考えるのが面倒で……」
「まぁ、楽しければいいんじゃない?」
「うん、そうだね。」
そして僕達はドワーフの効果で360万コールを手に入れた。
メイは4を出した。
「これは、サイコロを振って運試しをするか振らないで進むかのどちらかを選んで進めばいいんですよね?」
「うん、だからメイちゃんだと振らない──」
「勿論振る方に行きます!」
内容的には振る方が貰える金額が高い、メイならそっちを選ぶだろう。
えぇっと、『ダンジョンで宝箱を発見、サイコロを一回振り獲得するコールを決める』だそうだ。
1-3:110万
4-6:130万
7-9:150万
10:180万
2が出たので+110万コールとなった。
アリーは10を出してメイが前に止まってたマスに止まり次の獲得するコールが2倍になった。
僕 524万 +ルナミス 444万8438 88
メイ 113万 95
アリー 77万(次回戦闘時成功範囲+3、次回獲得コール2倍) 56
21ターン目
ルナミスは1と宣言したが出たのは5、また僕は1だ。
そしてメイが止まってた所に止まる。
メイは8、最後のマスに止まった。
「長かったですね、でもこれで私の勝ちは──」
「じゃあ、最後の試練だよ」
最後のマス、それは100万コールを支払いサイコロを振りドラゴンを倒すという物だった。
しかもクリアするには合計100、到底一回では足りない。
勿論サイコロの出た目の数だけ100から引かれるもののどれだけ運が良くても最低10回はやらないといけないだろう。
「まぁ、やるしかないですよね」
出たのは9、そして──
「じゃあ私達の所まで戻ってきて?」
「は?」
「戻って来ないとお金稼げないでしょ?」
「……」
少し不満そうにメイは僕達のマスに戻ってきた。
アリーは7を出して結婚のマスに止まったけど、誰ともせずに行くようだ。
僕 524万 +ルナミス 444万8438 91
アリー 77万(次回戦闘時成功範囲+3、次回獲得コール2倍) 57
メイ 13万 91
ドラゴン残り92
22ターン目
ルナミスの宣言は6、出たのは7で問題はない。
僕は4を出したので両方とも8マスしかない道を選ばずに一気にドラゴンの所まで行く。
「100万、ね」
「一応一気にサイコロを回せるよ?」
「そうなの?じゃあ──」
一応どうするか話し合い900万コールを出す事にした。
なんでも払えない時は+100万コールされるので残すだけ無駄な様だ。
僕が5回、ルナミスが4回回すのでルナミスは1、9、5、10と宣言してから回す。
結果はルナミスが3、5、9、6で僕が6、6、1、7、5だった。
合計は48、まだまだ時間がかかりそうだ。
メイは8、『魔法の罠の回避に挑戦、サイコロを1回回して回避しよう』を踏んだ。
1-3:-100万コール
4-6:-60万コール
7-9:+40万コール
10:+200万コール
出た目は3、-100万コールだ。
でもメイは今そんなにお金を持っていない。
「こういう時はどうすればいいんですか?」
「借金だね」
そう言って置いてあったお金を与えた。
そうしてメイはこの最終局面で借金を抱える事となる。
アリーは1で動けなかった。
僕 24万 +ルナミス 44万8438 91
アリー 77万(次回戦闘時成功範囲+3、次回獲得コール2倍) 57
メイ -87万 91
ドラゴン残り44
23ターン目
2と宣言したものの1が出て、僕は6が出た。
僕達はサイコロを回す方へと進んだ。
『謎の宝を発見、サイコロを振る』だそうだ。
1-3: -70万コール
4-6: -50万コール
7-9:+ 30万コール
10: +150万コール
となっている。
僕は10を出して+600万コールを得た。
メイは8を出したもののお金が足りないので戻っていく。
アリーは2、『商人と取引、10万コール支払い次のターン+20万コール』に止まった。
僕 624万 +ルナミス 644万8438 98
アリー 77万(次回戦闘時成功範囲+3、次回獲得コール2倍) 57 短 1
メイ 113万 99
ドラゴン残り44
24ターン目
8と宣言して4を出した、僕は1だ。
今回は1200万コールを一気に使って倒しにいく。
7、8、9、10、3、3と宣言して7、6、5、5、と出た。僕は5、10、7、3だ。
これでドラゴンが倒し、僕達はゴール。
最初にゴールしたので500万コール貰う。
「よし、終わりだね」
「うーん……1回当たってなければ勝てたんだけどな」
「やっぱりドワーフ強くないですか?」
「……」
僕達はゴールしたけどまだゲームは続いている。
メイはもうサイコロを振らなくてもゴールなので3番目にゴールで貰える+100万コールを得た。
残るは──
「私、後どれだけかかるの?」
「さぁ?」
「一応、救済用のマスがあるから……後10マスだね」
本当に後少しだったんだな。
見ると
最後に通ったプレイヤーは必ず止まる
他のプレイヤーから100万コールづつ貰う
次に獲得出来るコール2倍
次にサイコロを回す時の成功の範囲+2
先頭の人まで移動する
と書いてある。
相当手厚い救済だな、これ。
アリーは10を最初に出してそこでは次の戦闘時成功する範囲+3を得てからゴールとなった。
結果は
僕 424万
ルナミス 422万4219
アリー 377万
メイ 113万
だ。
「なんでこれで最下位なんですか!」
「まぁ、そういう事もあるよ」
メイは最後の最後に逆転され不満そうだ。
「やっぱりドワーフは弱くしないとね」
「うん、流石に差が大きすぎるし」
こうして、僕達は人生ゲームを楽しんだのだった。
KHRBよろしくお願いします。
疲れた……