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If 剣と魔王 終

色々考えた結果、ここでこの話は終わらせます。

なので短めです。

「ねぇ、ここは貴方のお見合いをする場所じゃないの、わかる?」


「いやまぁ……」


入学してから数ヶ月、僕は王女様に怒られていた。

納得はしている、僕がいなければこんなに人がこの部屋に来る訳がない。

聖女様達に獣人のお姫様、そして……


《本当に惜しいなぁ、スラン君が風だったらよかったのに。》


「だね。」


エルフの族長の子と大精霊のシルフィード様が追加された。

この前助けた子でシルフィード様が僕の事を気にいったらしい。

ここまで好かれると逆にこの後何か悪い事が起きそうで嫌だな。


「本当に分かってるの?はぁ、まっいいわ。ほら、全員帰りなさい!」


《私に指図する気?》


「まだ甘え足りないから嫌です。」


「わかりました、私もこの後用がありますので、丁度いいですね。」


そう言って聖女様がルナミスさんを連れて部屋を出ていった。

用があるとはいえ結構すんなりだな。


「聖女様は出ていったけど、どうするの?」


「うぅっ……」


《関係ないわ。》


「シル、ここは出た方がいいって。」


《えぇ!》


芋蔓式に皆部屋から出ていってくれた。

シルフィード様は嫌がってたけど、いいか、気にしなくて。


「やっと静かになったわね、それにしても、ミラも大変よね、魔法科の相手をして。」


「全力を出しても平気な場所が学校で出来るだけで全然楽だしね。」


ミラさんは今魔法科で魔法を受ける役割を担っている。

ミラさん程魔法科が欲している人材はいない。

敷地内では弱めの魔法しか使えなかったのにその制限が無くなった影響は大きすぎる。


「……聖女様、そろそろやるのね。」


「何やるか知ってるの?」


「はっ?知らないの?あんた、もう少し世間に目を向けなさいよ。」


「だってあんなに人が来てたら確認する暇なんてないよ。」


「まぁ、そうね。勇者よ勇者、予定より遅めらしいけど。」


「遅めなの?」


勇者の召喚に遅めなんてあるのか?

そもそも何か基準でも……


「どっかの誰かさんのせいで少し遅らせたらしいわ、誰かさんのせいでね!」


「僕のせい?」


「優先する神託は基本聖女様次第らしいわよ、今回だって催促されていなければ伸ばしてたと思うわ。」


流石に神様も催促せざるを得なかったか。

勇者ってどんな人なんだろう?

明日にも公表されるだろうし楽しみだ。






「──えぇ……」


翌日新聞の一面は勇者一色だった、だったんだけど……


「三十五人はおかしくない?」


「双子の勇者で最大だし、そうよね。」


「でも、魔王とか出てきたって事だよね。大丈夫かなぁ?」


その懸念自体は長年続く勇者への問題の一つ。

勇者がいるから魔王が出てくる、そういう考え方だ。

実際は逆だけど、そう考えてしまうのもわかる。


「ミラさんなら心配する事ないと思うけど。」


「いやいや、もし力押し系の魔王だったら私無力だよ?」


「それだけで魔王になるって難しくない?」


強い人は大体少なからず魔力を使ってる。

何も使わない人なんていないだろうし。


「会える機会は、少ないだろうね。」


「まだまだ特訓段階だしね。」


「知ってる?勇者って覚醒しないと強い止まりらしいわよ?」


「「覚醒?」」


そんな事聞いた事もないぞ?


「あっ、これ機密情報だったわ。忘れて。」


「タルトちゃん、気をつけてよね?」


「はぁ……」


王女様は結構口が滑る。

正直王族には向いてないと思う。

機密になってるのは十中八九民衆に不安を与えないためかな。


「ただ、覚醒したら凄いわよ。並の魔王なら一撃よ一撃。」


「一撃は流石に盛りすぎじゃない?」


「資料によると初代以外、一撃か数分で決着よ。」


次元が違いすぎる、覚醒、か。

僕もその次元にいつか、いや、自惚れ過ぎか。


「さっ、この話題はおしまい。文化祭までに仕上げるわよ!」


文化祭、大抵の生徒にとっては楽しい行事だが僕達は違う。

研究成果の発表をしなければならない。

王女様の研究発表の準備はもう殆ど終わってはいるので気は楽だ。


そう思っていると急に大きな揺れが起きた。


「うわっ!?」


「何何何!?」


「こんな揺れる?収まったら外に出ましょ。」


王女様はこの揺れに全く動じないのは肝が据わってる。

普通驚きそうなもんだけどなぁ。

暫くして揺れが収まると同時に大きな爆発音が城の方から聞こえた。


「色々起こりすぎじゃない?早く出ましょ。」


「タルトちゃん冷静だよね、羨ましいよ。」


「まさか、魔法で無理矢理落ち着かせてるだけ。解除したら冷静じゃなくなるわよ。」


こういう時他人の固有魔法は羨ましい。

僕なんて一種類だし、不公平だ。

外に出ると城から煙が勢いよく空に昇っている。


「待機よ、私を守りなさい。」


「広場に行こうか、他の生徒が肉壁になるし。」


「そうだね、そっちの方が楽そう。」


固まってると魔法系以外の範囲攻撃が怖いけど魔法系じゃないなら王女様の魔法で傷は付かないから一番安全な場所だ。

広場に着くと大勢の人が集まっていた。


「一応貼っておくね、ミラーフィールド!」


ミラさんの一言で上空に対魔法性能完璧の結界を貼った。

これがあるだけで安心感が段違いだな。

敵対したらこの結界が向けられるわけでしょ?

絶対に勝てないだろ、本当ミラさんは本当に強いな。


「さて、騒ぎが終わるまでゆっくりしましょ。」






騒ぎが一通り収まって分かった事がいくつかある。

まず、勇者が殆ど死んだらしい。

これが一番大きい打撃だ、 魔王に対する有効打が少なくなったわけだし。


生き残ったのは三人、その内一人は大人だ。

大人は勇者にはなれない。

つまり、勇者が実質二人だけになってしまったというわけだ。


次に、マルマー帝国の第二皇女様が死んだ。

それにより帝国は大混乱状態になり学園も変わった。

大きいのは王女様達外国の身分の高いの帰国が決定した。


当然だ、安全が確保できない以上、いさせるわけにはいかない。

ただ先代聖女は学園の要望によりこっちに残るそうだ、それほど彼女の学園への影響力は絶大だった。


「短かったわね、まさかあんな事が起こるなんて。」


「ダンジョンも各国に出てきたんでしょ?大丈夫かな……」


僕達が国に戻ってきてしばらくして落ち着いてきた時、空に見慣れない物が出てきた。

国民達も見慣れない光景で困惑している様子だ。


「何あれ!?」


「何が起きてるの!?」


僕達も焦っていた所に見慣れない物に見知らぬ人が現れた。

少年の様な人物だけどどこかに覇気を感じる。


「やぁ、皆。私は魔王だよ。」


「魔王!?」


その自称魔王と名乗る少年が僕達の方に手を振ってる。

笑顔が印象にとても残る少年だな。


「今から君達には私の仲間が攻めて来るから殺してみてね。」


「仲間?」


本人が攻めて来る訳じゃないのか、なら安心──

その瞬間身体中から冷や汗をかき始めた。

絶対に逆らってはいけない気配を感じた、もしかしたらあの魔王より強い。


そう感じるほどの威圧感だ。


「他の大陸とか国ははもう全て滅ぼしたから、頑張ってね。」


そう言ってその男がいなくなった。

それと同時にギリギリ感知出来る即死級の攻撃が放たれた。

僕は魔法を全力で使って自分に向かって来る攻撃を全て防ぎきる。


「嘘、だろ……」


防ぎきった後の世界は信じられない光景だった。

僕以外が全て綺麗さっぱり無くなっている。


「貴方、中々見込みがあるわね。」






「……これで満足かしら、()()の魔王さん?」


「えぇ、助かりました。まさか貴女がこちら側につくとは思いませんでしたよ。」


「私は彼の場所を知ってるって言うから協力したまでよ。」


「正直獣人を殺している時に貴女がいる時はどうなるかと思いましたがね。」


「どうでもいいわ、早く案内してちょうだい。」


「えぇ、では横の大陸に移動してください。話はそれからです。」






「こんな所があるなんてね、よく見つけたじゃない。」


「苦労しましたよ。」


「……やっと見《世界の時間を停止します。》


「この世界はもうダメね、取り返えないと。」


そう言って、アイラは世界を取り出して別室に移動した。


「ゼオナ、今少しいいかしら?」


「あっ、アイラがここに来るなんて珍しいね。」


ゼオナ、アイラと同列の存在の一人であり生物以外の全ての物質の管理の管轄を任されている。

アイラが来た目的は世界を元に戻す為だ。


「これを直して欲しいんだけど、どれくらいかかるかしら?」


「貸して……八百年あればいけるよ。」


「結構早いのね、もう少しかかると思ったんだけど。」


「最近あの人が新しく作ってくれたの。」


「なるほどね、なら納得ね。じゃあ私は仕事が残っ──また出てるわね。」


アイラが見たのはテレビで出演していた一人の少女、ゼオナの娘だ。


「うん、私はここからあんまり離れられないからこういう形でも嬉しい。」


「そうね、じゃあ仕事頑張ってね。」


そう言ってアイラはこの部屋を去った。

来年は来年で他の話にします。

これからも誠心誠意頑張っていきますのでよろしくお願いします。

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